田山 田(たやま でん)

カメムシの世界からやって来たカメムシのカメ子。 人間の世界で色々な人と交わりながら様々…

田山 田(たやま でん)

カメムシの世界からやって来たカメムシのカメ子。 人間の世界で色々な人と交わりながら様々な問題を乗り越えていく。 やがて宇宙からの侵略者が現れると、カメムシにしか無い ”力” で愛する人を守る為に戦うことを誓う。 その結末は・・・・・・

最近の記事

51 、侵略者~  呼び戻せ人間の世界へ、呼び戻せカメ子とカーメルを。。。2/7

カメ爺にとって人間の世界から戻って来たカメ子とカーメルとの再会は思わぬ再会であったが、喜びの再会となった。 戦いに出れば再びこの地に戻る事は出来ないかもしれない、もしかしたらこれが最後になるのかもしれない、と、何をしている時もそんな思いが常にカメ爺の頭から離れず、戦いを決意し仲間を募ってから、いつも通りの日常が緊張の連続だった。 それは自分だけではなく一緒に戦うカメムシの仲間たちも死に向かわせる事になるかもしれないからだ。 しかし、帰郷してきた二人を前にするとカメ爺のその憂え

    • 50 、侵略者~  呼び戻せ人間の世界へ、呼び戻せカメ子とカーメルを。。。1/6

      カメ子とカーメルの姿が完全に消え去ってしまった後、僕は茫然としたまま二人が消えた空間を見つめていた。 だけど僕がどんなに目を凝らしてその空間を見てもそこにはもう二人の痕跡は微塵も残ってはいなかった。 いつかはこの時が来るだろうと分かっていたけど、こんな急に行ってしまうなんて夢にも思わなかった。 足元で床にへたり込んだままのお母さんもきっと同じ思いでいるだろう。 しかし少しずつ時間が立つと静まり返っていた部屋から、段々と人の話し声やがちゃがちゃとパソコンのキーボードを打つ音や空

      • 49 、侵略者~  愛する者のために。。。5/5

        「サチコさん。サチコさんいらっしゃる?」 ミヨはカーメルと暮らすようになってから菱形家とは家族ぐるみでの付き合いをするようになり互いの家を頻繁に行き来するようになったが、ミヨが人の家に黙って上がるような事は今まで一度もなかった。 それどころかチャイムも鳴らさずドアを開けるという事すら今まで無い事だった。 そのミヨがサチコの名を呼びながら人の気配を探し上がり込んできた。 「あら、ミヨさん」 ミヨは勝手にごめんなさいと言うとカメ子はどうしてるかと聞いて来た。 その声と表情は

        • 48 、侵略者~  愛する者のために。。。4/5

          「じゃあ洗濯しちゃうからカメちゃんは二階のお父さんと丸男の部屋のお掃除しといてくれる?」 「はーい」 菱形が出勤し丸男が学校へ行くと家事を始めるサチコとカメ子。 これが二人の最近のルーティーン。 しかし一つ目が現れるまではこの時間にサチコが先生となりカメ子とカーメルに文字を教えていた。 それは一時間ほどのものだったがカメ子とカーメルから生活する中で気になったものを聞きサチコがその説明をしながら手本になるひらがなを書き二人はそれをノートに書いていくという簡単なものだった。 こ

        51 、侵略者~  呼び戻せ人間の世界へ、呼び戻せカメ子とカーメルを。。。2/7

          47 、侵略者~  愛する者のために。。。3/5

          よう。やあ。おはよう。あっざーす。 皆、様々に朝の挨拶を交わしている。 学校が再開してからはそれまでの日常の生活に戻ったような感じがする。 しかし、今は平時ではない。 ベータの一件以来ドールは鳴りを潜めているがこの生活がいつどうなるのかなんて誰にもわからない。 もしかしたらカメ子とカーメルも戦いに行ってしまうのかもしれない。 このまま何事もなくいなくなってくれればいいと思う。 しかしそういう訳にはいかないだろう。 なんていったってカメ子とカーメルは一つ目の中で実質実力ナンバー

          47 、侵略者~  愛する者のために。。。3/5

          46 、侵略者~  愛する者のために。。。2/5

          その頃カメムシの世界ではカメ爺の元に多くのカメムシ達が集まっていた。しかし集まって来るカメムシ達の思いは様々で、二つの群れに割れていた。それはカメ爺も想定した事であった。 一つは戦いに臨む為に集まったカメムシ達で、このカメムシ達は戦いが始まれば自分達がその最前線に立ち命を危険にさらす事も理解しての事だった。そしてもう一つは人間に対して友好的では無いカメムシ達だ。 それは人間によって仲間を死に追いやられたり住む場所を奪われた事への怒りを持つ者達だった。 今までの事から考えると後

          46 、侵略者~  愛する者のために。。。2/5

          45 、侵略者~  愛する者のために。。。1/5

          「ねぇ、お母さんあいってなに?」 「あい? なにそれ?」 久しぶりに家族そろっての夕食の時、カメ子からお母さんへ突然の質問。 カメ子の口から出たのはあい。 それは会いに行くのあいではなく、逢いたいのあいでもない。 カメ子の聞きたいのは所謂LOVEの事だというのを僕は知っている。 だけどまさかこんな時に聞くとは思わなかった。 「人間が使う言葉であるでしょ? 愛してるとかって言うんでしょ、その愛。 お母さんは言ったことないの?」 「えっ?! ちょっと何よいきなりカメちゃん。愛

          45 、侵略者~  愛する者のために。。。1/5

          カメムシのカメ子 第44話 侵略者~  一つ目ベータ。。。8/8

          「ベータは無事だよ。お父さんも気を失ってるだけだから大丈夫。ぼ、僕もなんとか大丈夫」 丸男は苦しそうにそう言うと一つ目の足元に崩れる様に倒れ込んだ。 「丸男!」 カメ子とカーメルは慌てて丸男の元に近ずこうとするが、一つ目は足元の丸男を片手で摘まみ上げると盾にして二人の動きを制した。 「お前達は何者だ?」 その問いには答えずにカーメルが言った。 「あら、あなた達見た目も同じだけどやる事も同じなのね。でもね、そんなことしても無駄よ」 「なんだと?」 「あたしはカーメル

          カメムシのカメ子 第44話 侵略者~  一つ目ベータ。。。8/8

          カメムシのカメ子 第43話 侵略者~  一つ目ベータ。。。7/8

          「し、死んだのか?」 あおむけに倒れたきり動かなくなった一つ目の姿を不思議そうに見ながら増田がそう言った。 カメ子もその姿を見ると不思議に思った。 一つ目への攻撃は一瞬の事でカメ子としてはほんの少し力を出しただけだった。 それなのに一つ目はあっという間に断末魔の叫び声をあげ崩れるように倒れるとぴくりとも動かなくなった。 秘密の場所でジークと向かい合った時、コロを殺された怒りで我を忘れたとはいえ、相手を倒すのにカメ子は自身の出せる力をすべて使った。 それこそカメ子自身がその場

          カメムシのカメ子 第43話 侵略者~  一つ目ベータ。。。7/8

          カメムシのカメ子 第42話 侵略者~  一つ目ベータ。。。6/8

          カーメルと増田がジークの遺体の部屋へ来るとジークの遺体の前で呆然としている一つ目がいた。 「まさか、これがジーク様なのか?」 「そうよ」 カーメルがその後ろ姿に声を掛けると一つ目はゆっくりと振り返った。 「誰だ貴様は?」 「あたしはカーメル。カメムシのカーメルよ」 「貴様がジーク様をこの様な姿にしたのか?」 「そうよ。あたしがやったの」 「そうか。なら話が早い。我々の調べたところではこの星のどのような武器をもってしてもジーク様に危害を加える事はできん。それどころかそのお

          カメムシのカメ子 第42話 侵略者~  一つ目ベータ。。。6/8

          カメムシのカメ子 第41話 侵略者~  一つ目ベータ。。。5/8

          「こうやると開くんだ」 ベータがカプセルの中心に手をかざすとかざした辺りが淡く光り出した。 すると光り出したところを中心に光の筋が上下へ伸びそれぞれが上部下部に達するとカプセルは音も無くゆっくりと左右に開いた。 カプセルは閉じている状態だと切れ目や継ぎ目の様な物は全く見当たらず前後左右はおろか上下さえもわからないというのが見た目の印象で何の情報も無ければこのカプセルが乗り物であるという事がわかる者はいないであろう。 しかし開いた状態のカプセルを見るとその構造が理解できた。

          カメムシのカメ子 第41話 侵略者~  一つ目ベータ。。。5/8

          カメムシのカメ子 第40話 侵略者~  一つ目ベータ。。。4/8

          「よく来たね丸男」 「何言ってんのカメ子。よく来たねじゃないわよ。“なんで来たの” でしょ」 研究所にやって来た僕に対してのカメ子とカーメル反応はいつものように対照的だった。 普段ならこれでいいんだと僕は思う。 だけど今は違う。 この部屋にはカメ子とカーメル、お父さんに東岸さんに増田さん。 そしてもう一人、絶対にいちゃいけない奴がいる。 僕は東岸さんの推測に納得していたので今になって突然一つ目が現れたという事が不思議でしょうがなかった。 だけど今僕の目の前にその一つ目がいる

          カメムシのカメ子 第40話 侵略者~  一つ目ベータ。。。4/8

          カメムシのカメ子 第39話 侵略者~  一つ目ベータ。。。3/8

          「それじゃあいってくるよ」 お母さんもミヨさんも止めたけど僕はどうしても気になったので研究所へ向かうことにした。 僕には何の力もない。 それはわかってる。 もしかしたら足手まといになるかもしれない。 それだってわかってる。 でもカメ子とカーメルがまたあの一つ目と戦ってるかもしれないっていう時に僕だけ家でじっとしてるなんてできない。 前に研究所で死んだと思っていた一つ目が息を吹き返し僕達は襲われそうになった事があった。 あのとき一つ目はもう一度カメ子に会う為に周りの人達に自分

          カメムシのカメ子 第39話 侵略者~  一つ目ベータ。。。3/8

          カメムシのカメ子 第38話 侵略者~  一つ目ベータ。。。2/8

          元々一つ目は丸男達が通う中学校の裏側にある公園で発見された。 そこは公園と言っても滑り台やブランコ等の遊具は無く整備されたグランドがあるだけで休日になると少年野球のチームやサッカーチームが交代で借り試合や練習をする場所だった。 平日は近所の小中学生のいくつかのグループがそこにやって来て思い思いにキャッチボールやドリブルの練習をしたり、時にはグループ同士の話し合いがつくと簡単な試合をしたりしていた。なのでここには母親に連れられて来る様な小さな子供の出入りはほとんど無く、やって来

          カメムシのカメ子 第38話 侵略者~  一つ目ベータ。。。2/8

          カメムシのカメ子 第37話 侵略者~  一つ目ベータ。。。1/8

          僕が朝いつものように起きていつものようにテレビの部屋へ行くとそこにはお母さんだけじゃなくミヨさんもいて二人して食い入る様にテレビを観ていた。 その画面には繰り返し航空機が撃墜された映像が流されていて、それを観ながら専門家が一つ目の戦力を分析していくというもので、具体的にはこれはどこかの国のミサイルと同じくらいの破壊力でそこから推察すると敵、すなわち一つ目達の持つ戦力はこれくらいでは無いかというような話だった。 他の局でも専門家が違うだけでどこも似たような番組ばかりだった。 確

          カメムシのカメ子 第37話 侵略者~  一つ目ベータ。。。1/8

          カメムシのカメ子 第36話 侵略者~  招かれざる者。。。4/4

          東岸はこれまでの少ない情報の中、必死で今後の対策を考えていた。 航空機を撃墜した時、こちらの戦力を知り尽くしていると言った一つ目の言葉に嘘はないだろう。 しかしこちらの戦力を知り尽くしているはずの一つ目はカメ子達を差し出す様に言う他はこちらに攻撃を仕掛けてくる気配は今のところ無い。 やはりそれはカメ子とカーメルを恐れて慎重になっているからではないかと東岸は考えていた。 でももし一つ目達がカメ子とカーメルがこの場にいないという事を知ったら、有無も言わさず攻撃を仕掛けてくるだろう

          カメムシのカメ子 第36話 侵略者~  招かれざる者。。。4/4