失われた40年にならないために

小さいころに「失われた10年」といわれ、大学のあたりではそれが「失われた20年」になり、最近は「失われた30年」になっているそうです。

私の人生失われてばかりです。

失い続けるために生まれてきたといっても過言ではないかもしれない。(それはさすがに過言ですね)

いったい日本はいつまで失い続けるのでしょうか。

失われた40年にならないために個人的に期待している経済理論があります。

それがMMT(現代貨幣理論)です。

備忘もかねて、いくつかのyoutubeで見聞きしたことに考察を加えてまとめます。

MMTとは?

MMTを一言でいうと「変動相場制で、かつ、自国通貨建てで国債を発行している国はインフレ率の許す限り国債を発行できる」という理論。

もっと簡単に言うと「いくら国債を発行しても財政破綻しない」ということで、これを当てはめることができるのが、「変動相場制」で「自国通貨建ての国債発行」かつ「インフレ率が許す限り」の三条件を満たす国です。

で、日本もその一つなので現在の超低金利を考えるとほぼ無制限に国債を発行できるらしいです。


もともとは国債を発行しすぎたら財政破綻すると考えられていました。(ここ以降これを「古典的な考え方」と呼びます)

その基本的な考え方は個人や一般企業の会計と同じ。収益(税金)があって支出した費用がそれを超えれば赤字。個人や企業はその赤字分は借金で補填します。国の場合は国債発行で補填します。個人や企業の場合は借金が返せなくなったらデフォルトになる。それと同じように国も国債をこのまま発行し続けたらデフォルトする。

つまり彼らが重視するのは収益費用がバランスしているか。

だからプライマリーバランスの黒字化が最重要命題になる。

で、これに「そもそも財政破綻とはなんぞや?」突っ込みを入れたのがMMT提唱者の方々。

個人や企業が破綻するのは借金が返せなくなった時です。赤字になった時ではありません。つまりキャッシュがなくなった時です。極端なことを言ってしまえば何百年赤字を垂れ流し続けたところで資金が供給される限りつぶれることはない。

では国が破綻するとは?

個人や企業の例に照らせばお金が返せなくなった時に財政破綻するということになる。

つまり国で言えば発行した国債を償還できなくなった時。

で、円建て国債を償還できないなんてケースが果たして起こりえるのか?

日本円を発行しているのは日本政府なんだから円がなくなれば発行すればいい。(これが米ドル建てとかになると米ドルが足りなくなればデフォルトになるので「自国通貨建ての国債」という条件が付いている)

今は金本位制でないから金とかの実物資産の裏付けはいらないし、発行しようと思えば無制限に発行できる。(ただ無制限に発行してしまうとハイパーインフレになってしまうからインフレ率には気を付けなければならない。だから「インフレ率が許す限り」という条件がある)

結論として彼らは円建て国債の発行で財政破綻はあり得ないと結論付けているからどんどん国債を発行して民間にお金を渡すべきだと主張している。

税金なんてとらなくても国は回る

個人的に面白いなと思ったのはこの二つの考え方は税のとらえ方が真逆だということ。

古典的な考え方では税は「国が事業を行う際の財源である」と捉えています。

つまり道路や警察などの公共サービスは税金を徴収することによって成り立っている。

しかしながらMMTに照らせば国債発行による財政破綻はあり得ないのだから税を財源とする考え方になじまない。

むしろ発想としては逆で、まずは国がお金を使う。するとインフレになるのでそれを調整するために税金を取る。(また税金を取ることによって自国通貨をみんなに使わせるという役割もある)

つまり極端な話、税金なんて取らなくても国家運営は可能ということになります。

古典的な考え方とMMTはまるで言っていることが真逆で、だからこそ仮にMMTが正しいとしたら我々は「豊かな国になる道」を逆走していることになる。

そしてMMTにはそれなりに説得力があるように聞こえる。少なくとも私が大学の頃勉強した経済学よりははるかに。

いろいろ考えたけど特段欠陥は見つからなかった。(もしあるのなら教えてください。本を読んで勉強したわけではないので抜けがあるかもしれないので)

財務省にはぜひMMTの考え方を取り入れて政策に反映してもらい、姪が成長したときに「失われた40年」なんて言わせないようにしてもらいたいなと思います。

なので基本的なスタンスとしてはMMT賛成なんですよ。あくまで基本的には。

MMTの問題点

いろいろ考えたところ、唯一MMTの問題点を上げるとすればそれはお金の使い道については何も言及していないことでしょう。

MMTは「国はいくらでもお金を使っていいよ」という理論だけれど、「何にお金を使うか」は言及していない。

もちろん現代貨幣理論の名前の通りそこに言及する理論じゃない。

ただ実践的な考え方であることを売りにしているのだからMMTを提唱する人たちはそこまで踏み込むべきじゃないかとも思います。

だってとても大事なことですよ。

極端な話、利権まみれの政治家が「MMTにのっとってお金をバンバン使おう。まずは甘い汁を吸わせてもらったハンコ業界に500兆円使おう」とかいいだしたらいつまでもハンコを押すために出社しないといけない文化はそのままになり、日本の電子化は遅れ、巡り巡って世界的な競争力を失うかもしれない。そういうことの積み重なりで日本円の価値は下がり、インフレ率は上がり、国債を発行し続けることができなくなる。

日本がここまで成長してこれた理由の一つに官僚主導で成長産業に投資してきたからというのがある。国が扱うお金とはそれだけ莫大なもの。だからこそ何にお金を使うかは未来の日本の行く末を決定してしまう恐ろしさもある。

その議論を置き去りにしたまま「MMT万歳!」とさけぶのもまた危険なことだと思います。

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