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将来の夢は指気の脱毛かもしれない


今日は雨か。
最近はやりたいことが多すぎる。指毛の脱毛したい。模様替えしたい。その前に掃除したい。
どうしても夫の部屋が片付かない。K-popやらアメリカのロックやらのCDと映画のDVDで埋め尽くされている。人のことは変えられないので気にしても仕方がない。その部屋を自分の手で片付けられない鬱憤を晴らすように自分の部屋の断捨離をする。

が、なんだか「捨てられない」ことが増えた。この間までは無感情でボンボンとごみ袋や段ボールに不要品を入れてスッキリしていた。「まだ使えるかも」などと微塵も思わなかったのに、いまや購入したお菓子のパッケージに使われていた不織布の袋さえ捨てられない。これは私ではない、とすら思う。捨てたい。引き出しの中の謎の紙類とかも捨てたい。でも捨てたらきっと良くないことが起きる。そんな呪いを誰かにかけられているのかもしれない、と考える私はまだ「人のせいにする」自分と向き合えてはいない。

昼休みに雑誌ポパイのWebサイトを見ていたら、「生きのびるための事務」(坂口恭平 (著), 道草晴子 (イラスト) マガジンハウス)という本が出ると書いてあった。「事務」という言葉が大好きなので買ってみた。

著者の坂口さんのことは「いのっちの電話」の代表だと知っていた。自分の電話番号を公開して、死にたいと思っている人からの電話を受けとる活動を行っている。私はかけたことはまだないが、死にたいと思うことがないなんて確信は一生持てないし、どちらかといえば死にたいと思うほうが近い人間だから、覚えておこうと思ったのだ。

さてこの事務の本では坂口さんの学生時代のことも漫画になって描かれていて(イラスト漫画がまた不思議で2色刷りで妙に不気味でかわいい)、とはいえ内容は濃い。自分が考えていた事務的なこととは違ったが、あらすじとか内容とか一切読まずに購入したので必然的に当たりである。

それでこちらの本は夢をかなえたかったら「将来の現実」をまず考えてみようという提案がなされており、要はまず実生活に目を向け、お金の問題とかも洗い出してみると将来の現実が夢につながっていく、という素晴らしい発明みたいな本だ。読む人にとっては当たり前なことなのだろうけど私のような漠然と生きている人間には世紀の発明くらいの気分。実践編がありやってみようとしたが、手が止まる。「やりたいこと」がないのである。ちなみに私は根暗なわりにある一部が妙に楽観的なようで「もうこんな年だし」「できない」と思うことがあまりない方なのだが、いかんせんずっと長くやりたい、みたいなことがない。

しかし冒頭で「やりたいことが多すぎる」と書いた。そうだ。将来への距離が短い、ちょっとしたことならたくさんあるのだ。指毛の脱毛、掃除、iPhone新しくしたい、長谷川潤になりたい。
スパンの短いやりたいことはあれど、それが生活につながるような、やりたいことをやっている日々を考えるために設定する「やりたいこと」が、ないのである。

こんな書評で読みたくなる人なんて皆無だろうが、本はとてもとっつきやすくてスバスバ読めてしまうので漫画が苦手じゃなければぜひこの「将来の現実」を考え出すくだりは読んでみてほしい。
本では「将来」を10年後として設定して考えてみる。私の10年後のことを考えると更年期による体の不調とお金の不安、社会情勢への不安、親が生きているかの不安、などなど不安だらけである。しかし不安を洗い出すと、今からできることをやるという課題ができる。ネガティブなことを洗い出すとそのために明るい道を今から準備しようと思えてきた。なんかこんな展開になるとも思わなかったので、やっぱり書き出すことってなにか意味があるのかもなーと思った午前中である。ちなみにこのだらだらと脈絡のない文章はやっぱり、「生きのびるための事務」を読んだ影響もある。

気づいたら著者の坂口さんのインタビューがポパイウェブサイトに掲載されていた。正直こちらを読めば本の説明についても十分である。
それにしてもご尊顔を拝したのは初めてである。

ところで一昨日、夫が寝言で「ルセラフィム」とはっきり言った。午前2時35分。寝言ってこんなにクリアに聞こえるんだなと暗闇の中で思った。

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