カボチャの収穫
私の小さな農園で育ったカボチャ。
お盆頃からついに収穫が始まった。
これまでに追肥をしたり、子づるを切って整理したり、泥がつかないように干し草を敷いたりとお世話してきたが。
母から「これは茂らせすぎだ」と注意されるほど、つるが伸びまくり、葉も大いに茂った。
そして病気にもなった。多くの葉に白い粉状のものがついたのだ。カボチャ畑の隣で育っていた、母のキュウリも同様だった。母の本によると、通気性が悪くてカビが生えたのだとか。今年はしょっちゅう雨が降ったから、そのせいだろう。
本によるとカビがついた葉は落とせとあったので、遠慮なく切り落としていった。しかしそれではほぼ全部の葉を落とすことになるので、カビがひどい根元の方の葉だけを落とす。
母には「落としすぎだ」と呆れられた。
ま、これも勉強である。
カボチャは2種類。ひとつは「坊ちゃん」。もうひとつは、苗を買ったときについていた説明札に「グッドテイストカボチャ」と書いてあったが、品種名ではないと思う。
「グッドテイストカボチャ」の方は、収穫したらすぐに食べられると書いてあった。普通は1週間くらいおいてからになるのだが。
お盆頃から「グッドテイストカボチャ」の皮がコルク状になり、いよいよ初収穫を迎える。
全体的に実をつけすぎてしまったから、これは味がぼけるだろうなと心配しつつ、とりあえず煮てみた。
「……これ、砂糖入れたの?」
一口食べて、母が問う。
「入れてないよ」
「あらそう。んじゃこれ甘いわ。これは美味しいよ」
意外にもお褒めの言葉をいただく。
なるほど看板に偽りなしのグッドテイストだったわけだ。
「んじゃ、お姉ちゃんにも送ろうか」
箱にカボチャを詰めるところを想像する。そうだ、農園新聞とか作って一緒に箱へ入れようか。――ちょっと楽しくなってきた。
「だりゃー、お姉ちゃんたちが食べきれるわけないよ」
「あ、はーい」
ウキウキ気分はすぐにしぼんでしまった。残念。カボチャは冷凍保存もできるから、まるまる1個送ってもいいと思うのだが、母はそもそも冷凍してまで野菜を食べようとは思わない人なのである。毎日次々と野菜が成るから。
(とは言え、トマトやニンニクは毎年冷凍してある)
「あんだ、マデ(まめ)にカボチャ見て、収穫してどんどん食べなさいよ」
「頑張りまーす」
数日後、2個目を収穫。
煮物用と焼き用にカットして、大部分を冷凍。その夜はバーベキューのようにただ焼いて、好みのドレッシングやマヨネーズをかけて食べた。
「うん。やっぱり甘みあって美味しい」
今回も母からお褒めの言葉をいただく。
さらに数日後には、冷凍していたカボチャとホットケーキミックスを使って、お昼にカボチャのタルトもどきを作った。
「うんめ。これ、好きだわ。好きです」
母から今までで一番のお褒めの言葉が出た。
また作ろう。
畑にはまだいくつもカボチャが転がっている。うかうかしていると畑に負けそうだ。
せっかく育てたのだから、マデ(まめ)に収穫して、ちゃんと食べきりたい。
来年は、もうちょっと少なめに育てよう。