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酒蔵の働き方改革

龍力ではコロナ禍において、醸造する酒造りのタイムスケジュールを変更いたしました。

伝統産業である酒造りは、朝5時から働き、15時頃一日の仕事が終わるというような働き方でした。
これでは、若者が働く環境としてはなかなか難しく、募集しても来ないと思い、現代の働き方に変えるべく、8時から17時までの酒造りに変更しました。
もちろん、麹造りなど夜間作業が必要な場合は、当直します。

ではなぜ、朝5時から働いていたのか?という疑問がでてきます。
伝統だから、それが当たり前だからというのは、ちょっと理屈ではないなと思い、調べておりました。
そうすると、面白いデータがありました。江戸時代の農家の一日です。
慶安の御触書には「農民は朝早くから起きて雑草を刈り取り、昼には畑を耕して夜には俵用として縄を編むこと」と書かれておりました。
これを現代の時間に合わせると、朝3時に起き、5時頃から動きはじめ、15時頃から19時頃が夜となります。電気がない時代ですから、夜のイメージが現代より相当早いのです。
農民が農閑期に酒造りに行く事から、その生活リズムがそのまま酒造りに適用されたと考えるのが妥当でしょう。
恐ろしい話です。酒造業界の当たり前は、江戸時代から進歩していませんでした…
明治、大正、昭和、平成、令和の時代を経て、生活リズムがどんどん変化する時代にいかがなものかなとも思いました。

変えるべく所は変えて行く。
酒造りは、朝働くことが美味しいにつながることはありません。
時代に則した、新しい形の酒造りを追究していかないと、過去の遺物になってしまうかもしれません。
日本の文化の一端を担うものだと、私は思っています。
バーナード・ショーの言葉に「変化なくして進歩は不可能であり、自身の考えをかえることができない人は、何も変えることができません」との言葉があるように、我々の当たり前を更新していく事が未来への道につながって行くと考えます。

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