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あの夏、ヒロトは泣いていた

いつかの夏。日比谷野音で見たライブ。

ハイロウズが憧れのトム・ロビンソンを招いたイベント。トムは70年代にゲイであることを公表して活動していたパンク・ロッカー。ハイロウズ、特にヒロトのテンションは最初からいつになく高ぶっていた。

最後のセッションで「I shall be released」をトムと歌ったヒロト。歌う前のMCから、ほとんど泣いていた。

渾身のMC
「多くのミュージシャンがカバーした歌だけど、僕にとっては1970年代後半において、トム・ロビンソンのこのバージョンが一番リアルだったんだよ!」
そんな事をヒロトは語った。

そして歌い始めた。
トムは大らかに。ヒロトは感情をむき出しにして。

 諦めない人など
 いるわけないって言うのかい?
 人はみな誰でも 
 挫けちゃうって言うのかい?

原曲のメロディに乗せて、ヒロトは自分の言葉を歌う。自分を変えたロックへの、変わることのない思いを。

 騙されたのか? 
 騙したんじゃないのかい?
 間違ったのはどっちだ? 
 僕じゃないって言えるのか? 

ビデオも持っていたけれど、久しぶりに見た。
ヒロトの、泣き顔のような笑顔を見てほしい。

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