見出し画像

文字書きだったら絶対に買うべき本10選

まず、前提条件として僕はこの文章を「エンターテイメント小説」、ないしは「読んでて楽しい文章」を書きたい人のために書いています。純文学派の人にはあまり参考にはならないかも知れません。

+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

世の中には「ライトノベルの書き方」やら「小説家になるためには」やら、ハウツー本(あるいはWeb)が溢れていると思います。

でも、今一度冷静になって考えてみてください。これ読んで本当に小説家やライトノベル作家になれるのであれば、さすがにこれらの本の出版部数と同じとは言いませんが、世の中に作家が溢れてもおかしくないはずです。
つまり、これらの本を読んでも作家にはなれないのです。

中国拳法には功夫(クンフー)という考えがあって、これは練習・鍛錬・訓練の蓄積、また、それに掛けた「時間や労力」のことを示します。
つまり功夫を積んだ人はそれだけ強くなれるポテンシャルを持っている訳です。
小説などの作文技法についても同じ事が言えます。
正しい知識と正しい練習を積み重ねて初めて同じ土俵に立てる訳で、そこを一足飛びにすることは不可能であると僕は思っています。

ここは一つ、物事を裏側から見てみましょう。
あなたは『作家』と聞いた時にどんな人物をイメージしますか?
おそらくは

✅ 博識で
✅ 言葉を綴る事が上手で
✅ 特に専門分野については深い造詣がある

人物を想像すると思います。
で、あるならば、作家になりたい人はそういう人になる事を目指さないといけないのです。

画像1

「そうは言ってもさー」と多くの人は思うかも知れません。
しかし、考えてみてください。ご自分にもどこか人よりも優れた部分はあるはずです。例えば主婦の方で異常にシャツを洗うのが上手だったり、あるいは片付けに関しては絶対に負けない自信がある、あるいは100円ショップでゴージャスなコーデを楽しむ方もいるでしょう。
男性でも部下の育成には自信があるとか、人たらしの技術は誰にも負けないとか、どこかいいところがあるはずです。
これはいずれもその分野で功夫を積んだからこそである訳で、上で書いた条件にも局所的になら当てはまるはずです。
それなのに最初から諦めてしまうのが実は一番勿体ない。中国ではそういうのを「自分の足を自分で縛るな」と言うそうです。

✅ 博識 → 博識っていいますけど、要は雑学です。人が知らない事を知っていたら、たとえそれがどんなに下らん内容だとしても十分博識であるとも言えます。
✅ 言葉を綴る事が上手 → これはちょっとトリッキーです。練習以外に知識が問われます。それについては後述します。
✅ 専門分野に深い造形がある → 最近ではGoogle先生という強い味方が現れましたが、やはり地道な努力には敵いません。地道な努力を続けた人の知識はきっと誰かの役に立ちます。Google先生よりもよっぽど大切です。

さて、この中で僕が手助けできるのはおそらく真ん中の言葉の綴り方です。
僕はこれを読書と練習で身につけました(別に僕の文章が美文だとは言っていませんよ。でも、平易で読みやすい文章は書いていると信じていますし、自信も持っています)。

自分の経験を踏まえて、僕はとりあえず以下の本を購入する事をお勧めします。図書館などで読むだけじゃダメです。ちゃんと手元に置いて、いつでも読み返せるようにしてください。
それに買うなら紙の方がいいですね。紙だと付箋を挿せるし、書き込みも出来ますから。

では、行きます。

本田勝一の人間性はともかくとして、この本は絶対に読まなければなりません。この本を読むだけで確実にあなたの日本語は良くなります。ちなみに僕はこの本を二冊読み潰しました(綴じがほどけてばらばらになっちゃった)。

一般論として良く売れている作家は自分の秘密を語りたがりません。それに忙しいので入門書を書いている暇なんてありません。
クーンツは言わずと知れたアメリカのベストセラー作家ですが、これは彼がまだ若い頃に書いた本です。でも内容的には現代でも十分に通用します。
特に彼の口癖、「書いて書いて書きまくれ、読んで読んで読みまくれ」は今でも僕の座右の銘です。

文章書きたるもの、国語辞典くらいは紙で手元におきましょう。Webではダメです。書き込めませんから。
その上で、国語辞典であれば三省堂の新明解国語辞典一択です。
新明解国語辞典は例文が非常に踏み込んでおり、それ単体で読み物になるほど完成度が高いのです。これは他社の辞典にはない大きな長所で、そのために「明解さん」なるファン層がいるくらい。辞典は絶対にこれにしてください。
ところで三省堂の新明解国語辞典は現在最新版が確か第8版だったと思うのですが、編さんに金田一京介が参加しているという点で僕は4版以前の版を強く推します。
ちなみに広辞苑はダメです。あれは鈍器なので辞書ではないですし、そもそも持ち歩いて読むのには適しません。

ググる暇があったらこっちで調べた方が、余計な雑学が身についてとてもためになると思います。この辞典も読み物です。「へー」とか「ふーん」とか言いながらお茶でも飲みながら読む事をお勧めします。

この人は修行時代にいろんな文豪の本を写本して文章を練習したそうなのですが、おかげで座っていた場所がお尻の形に凹んでしまったという逸話を持つ人物です。
最近はちょっと純文学に傾いていて個人的には残念なのですが、このプリズンホテルにはエンターテイメントとしての小説が持つべき全てのエッセンスがこれでもかと詰め込まれています。
今小説の教科書にするのであれば、この本だと僕は信じます。
読みましょう。

世紀の巨匠がラノベを書くとこうなります。ラノベのお手本として買って損はなし。

惜しい人をクダラン事故で亡くしました。
この本には冒険小説のエッセンスが詰まっています。実はただ単に個人的に大好きだから挙げたのですが、今読み返してみてもストーリーと世界観の設計、それにキャラクター造形が素晴らしい。
ちなみに続編もあるのですが(遥かなる虎跡)、僕はこちらを推します。

レトリックをなんとかして駆使しようとしているライトノベルをたまに見かけますが、日本語のレトリックは実は1989年の段階でこの本によってほとんど全て研究し尽くされています。
レトリックを語るなら、この本を読んでからにしてください。

+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

これで11冊かな? 11選になってしまいましたが、多めにみてください。
本当は技術論に特化しようかとも思ったのですが、読んでおいた方が良い本も結局含めました。

もちろん、この他にも読むべき本はたくさんあります。例えばライトノベル作家を目指すのであれば、やっぱり「ソード・アート・オンライン」は読むべきでしょう。
ファンタジーを目指すのであれば、僕はトールキンの「指輪物語」よりも上橋菜穂子の「精霊の守り人」シリーズを推します。

作家は知識に対して貪欲であるべきです。できる限りたくさん本を読んでください。マンガでもなんでもかまいません。読めるものを手当たり次第に読んで、それを自分の栄養にするのです。
そうやって栄養が溜まれば、放っておいてもいつか文章を書きたくなるはずですよ。

画像2


よろしければサポート(投げ銭)お願いします!実は自費出版ってすごくお金がかかるんです。『魔法で人は殺せない』の第二巻も出したい(ネタはあります)のですが、これに300万円くらいかかります。有料記事が多いのもそのためです。お金を貯めてぜひ第二巻を出したいのでご協力をお願いします💖