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中国の患者さんと美容医療について考える

こんにちは!
今日も、僕のnoteを読んでいただき、ありがとうございます。

何かとやることが山積みで、
相変わらず、あわただしい日々を送っていますが、
noteを更新して
少しでも、みなさんのお役に立てる情報を発信できたらと思っています。

コロナ禍があけ、聖心美容クリニックにも、
徐々に中国人の患者さんが戻ってきてくださっています。

やはり、患者さんに来ていただけるのは、
嬉しいものですね!

そこで、今回は中国の患者さんと美容医療について
お話ししたいと思います。

■中国人は美容医療に対して極めてオープン

近年、中国では、国民の生活水準や所得が向上し、
それに伴って、美容への意識も高まっています。

医療ツーリズムが活発になり、
最近では中国や韓国だけでなく、
タイやマレーシア、シンガポールなどからも患者さんがいらっしゃるようになりました。

中国の美容医療レベルは、今ではかなり高くなっていますが、
美容に対しての捉え方は日本人と少し異なるようです。

聖心美容クリニック上海院は、
上海のなかでも比較的日本人が多いといわれている古北(ぐーべい)エリアの聖ミカエル病院に間借りして、2011年にスタートしました。

上海院を開院して思ったのは、
中国人は美容医療について、極めてオープンということです。

というのも、こんなことがありました。

日本の聖心美容クリニックでは、患者様のプライバシー保護の観点から待合室はすべて個室になっています。

上海院でも同様に、当初は患者さんのプライバシーに配慮して、
患者さん同士が会うことがないよう個室のあるつくりにしていました。

ところが……

中国の患者さんたちは個室に入らず、
なんと、みんなのいる一般病棟の長椅子に座るのです。

どうやら、中国人にとって個室は、“閉じ込められている感”があるらしく、苦手なのだとか。

そこで、上海院は個室をやめて、今ではオープンにしています。

韓国の美容クリニックも同じで個室がなく、
患者さん同士が包帯を巻いたまま会話している光景が見られます。

中国も韓国も、
美容に対する根本的な考え方が日本人と違い、
周りにどう思われようと、自分にとって得なことはやるという、
合理的な考えをもっているようです。

■中国の美容医療レベルは高くなってきている

欧米から学び、アジア圏で最初に美容医療に力を入れ始めた日本。

その後、韓国のドクターたちが日本に来て美容を学び、
韓国に持ち帰って普及していきました。
そして、今では、逆に日本から韓国へ学びに行くことも多くなっています。

中国も同様に日本人ドクターに学びながら、
明らかに、美容医療の技術レベルは高くなっています。

圧倒的な症例数が追い風になっているのは間違いありません。

中国は世界へ目を向けており、
美容に限らず、医学の英語論文数はアジア圏ではダントツです。

日本の人口は減少していますが、それでも美容医療を受けたことがある人の割合は、韓国などに比べれば低い。

そこで、中国人や韓国人のドクターの中には、
日本で美容クリニックを経営することに勝算があると見込んで、日本の医師免許もダブルで取得して開院しているケースが珍しくなくなっています。

「日本の医療はレベルが高い」と思っている中国人は多く、
日本にまで来て治療を受けてくれるのですが、
今の中国の技術はすいぶんと高いレベルになってきていると思います。

■インバウンドでは、コミュニケーションと帰国後のフォローが大切

日本の美容クリニックのなかには、
インバウンドの患者さんを受け入れないところがあります。

その理由として、言葉の問題があります。

カウンセリングをする場面で、海外の患者さんとは、
どうしてもコミュニケーションが不十分になります。

そして、もうひとつ。
日本で治療をした後、帰国してしまうと、
何かトラブルがあっても、フォローができないのです。

一方で、積極的にインバウンドを受け入れているクリニックもあり、聖心美容クリニックもそのひとつです。

聖心美容クリニックは上海でもクリニックを運営していますが、
一般的には、中国でクリニックを作るのは法律の観点から非常に難しいものです。

だからこそ、日本のクリニックにインバウンドで来ていただけるのは
大変ありがたいと思っています。

■医療ツーリズムでの不安点 

中国人の日本への医療ツーリズムでは、
中国人の患者さんと美容クリニックを仲介してくれる業者さんが活躍しています。

美容医療の治療を受けるため、ツアーで訪日するのですが、
面白いことに、中国の患者さんたちは、
鼻は○○クリニックの△△先生、
目は××クリニック……と、
パーツによって治療を受けるクリニックを決めて来られるんです。

みなさん、それなりに、日本の慣習やルールを知っていますし、
日本の技術を信頼している患者さんが多いので、
僕たちとしては、対応しやすいのは確かです。

ただ、懸念点もあります。
僕たちが、中国人の患者さんに手術の説明をするとき、通訳が入るのですが、例えばこちらがリスクの説明をしているときに、きちんと患者さんに、リスクを伝えてくれているのかな?
と、不安になることがあります。

仲介業者は、患者さんに手術をしてほしいわけですから、
リスクについて、意図的にきちんと伝えていない可能性を否定できません。

また、聖心美容クリニックの中国人対応スタッフが説明するにしても、
専門用語を使った、小難しい言い回しをしてしまい、
患者さんに治療内容がきちんと伝わっていないのでは?

と心配になることがあります。(ならば自分が中国語で伝えればいいじゃないか、とつっこみたくなりますね笑)

仲介業者の質はピンキリ。

手術後、本土に戻ってから何か問題があったときに、
連携してケアしてくれることが大事なのですが、
いい加減なところだと、紹介だけして終わりになってしまいます。

中国は広いので難しい面はありますが、
どのような治療をしたのか、
きちんと申し送りできるところがあるといいですね。

■勉強熱心な仲介業者さん

聖心美容クリニックが信頼してお付き合いしている仲介業者があるのですが、
そのメンバーの方たちが、日本美容外科学会(JSAS)に参加し、
発表を聞いて勉強している様子を見たことがあります。

熱心にメモを取りながら、聴講している様子を見て、
こうやって勉強しているんだなあと感心しました。

また、中国に進出した当時は、ネット広告が規制で難しかったため、
上海院の集客はほとんどが紹介でした。

聖心美容クリニックがお世話になっていた当時のある営業の男性は、
患者さんを連れて来院し、カウンセリングの通訳をしてくださるのですが、(彼は日本語を話せないのですが、理解はできるのです)

日本語の美容医療の教科書を持っていて、きちんと勉強し、美容の知識を得ているようです。

このような営業の方々であれば、安心して、患者さんを紹介していただけそうですよね!

やはり、信頼できる仲介業者さんを選ぶことは、クリニックとして重要だと思っています。


最後まで、お読みいただき、ありがとうございます!

日本の医療技術と高品質なサービスは世界でも高く評価されており、
日本での治療を選択してくださる患者さんが増えています。

中国人は、国民性なのか要求がはっきりしているし、
細かいところまで気にする傾向があります。

声が大きいため、怒っているように感じるときがありますが、
1回つながると礼を重んじる気質で、ずっと通ってきてくれます。

最近は、ソーシャルEC「小紅書(RED)」によるインバウンド集客が盛んになっていますが、医療関連コンテンツへの厳しい規制などもあり、スムーズではなさそうですね。

どちらにせよ、コロナ禍のようなことがあると、
中国人の患者さんは一気にいなくなってしまうので、

インバウンドの患者さんを必要以上に期待しすぎず、
プラスαくらいの認識のほうがよいと思っています。

では、今日はこの辺で。
次回のnoteをお楽しみに!

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