見出し画像

やっぱり男女格差はあるが、男尊女卑とは限らない求人の話

私は前職で求人広告の制作をしていた。超大手だったこともあり、WEB・IT・事務などのデスクワークから建築・福祉・サービス業などの現場系の仕事の求人も書いていた。

ほとんどの場合は企業担当者や社長に取材をする。募集の経緯・仕事内容・待遇など基本的なことから、その企業の理念・今後の展望という経営部分に踏み込んだ話もするし、社長の趣味を聞くこともあった。

取材で必ず聞くことの一つに「どんな人材が欲しいか」がある。求人だと『求める人物像』『採用条件』などに該当する部分だ。

これを聞くだけでその企業の人材観というか、社員をどう思っているかがよくわかる。

・年代
・性別
・経歴、実績
・性格
・期待していること

主にこういった項目を聞くことになるのだけれど、ヒアリングした通りには記載できないことが多々あった。求人広告の記載ルールがあるからだ。例えば採用条件は基本的に年代・性別を限定してはいけない。
「25歳くらいの元気な男の子がほしいんだよね」
と言われても、どストレートには書けない(本当にこのケースは多い)。

だから“長く働けます(本音:だから若い子入社してね)”とか“明るく挨拶のできる人歓迎(本音:体が丈夫であればいいよ)”みたいな書き方をするしかない。

それに業界・職種によっては男性・女性のどちらがが欲しいという指定がある。というかどっちでもいいよ、みたいなケースは少なかった印象がある(中〜大企業だと性別不問が多かった気がする)。

ではどんな職種が男女どちらを求めているのかといえば、結局世間のイメージ通りだ。建設・土木系は力仕事が多いから男性がいいと言われる。これは多くの人が理解できることだと思う。

営業系になると、顧客が法人か個人かで変わるケースが多かった。法人営業の場合は先方になめられず、長い付き合いができる営業を求めるため男性が求められる。業界によって例外はあるけれど、法人営業の場合、女性はまだまだなめられることが多い。それに女性は産休育休で会社を休むものだと考えられているので、長期間かけて関係を作る法人営業には向いていないと考えるようだ。

一方で顧客が個人の場合、女性が求められるケースが多かった。特に半分サービス業のような営業はなおさら。ケータイショップ・不動産賃貸などの営業と言ったらイメージしやすいと思う。なんなら「男はいらない。使えないから」と堂々言い放った男性担当者もいた。実際、女性営業の方が成績が良かったらしい。

男性にとっては申し訳ないのだけれど、男性を採用したい理由の中に「男性の方が仕事ができるから」というものは一度も聞いたことがない。ちなみに「女性の方が仕事はできるんだけど、産休とか寿退社が怖くて」という理由で男性限定にしている企業はいくつかあった。

なぜ男性の方が仕事ができないと思われているのか、そこは求人内容に関わらないので聞いたことがない。けれど、この「女性の方が仕事ができるんだけど…」という認識に日本企業、いや日本全体の負の側面が隠れているような気がする。

とにかく業界・企業・地域によって様々だと思うが、やはり男女平等が叫ばれている昨今でも採用で男女差別はある。けれど一辺倒に女性差別とは言い切れない状況がある。だが選べる職種が、ある程度性別で決まってしまうのも現実なのだ。

この男女差別はいつまで続くのだろうか。一人ひとりの認識を改めて人材を上手に活用する方法を見出さないと、すぐに日本経済は立ち行かなくなるだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?