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「著・有川ひろ『倒れるときは前のめり』」 〜こらむちっくno.1〜

はじめに

もう少し定期的に文章を書かないとな、なんて思いつつ、就活始まるしな、なんて言い訳をしていたのだけれど、結局就活でも文章は書かなくてはいけないし、その先もずっと書き続けたいのならどんな時も書き続けた方がよかろうということで、今日から「言葉探しの旅をしている」というタイトルで、程々の頻度で(具体的に明示しないあたりが逃げですね…)文章を書いていきたいと思う。自分の大学での専攻などなども相まって最近触れた作品(やアーティストなど)の中から何か一つを皆さんに紹介する、みたいな文章が多くなるかな、なんて今のところは思っている。と言っても時間が経つにつれて中身は変わっていくかもしれないし、頻度もタイミングも変わっていくかもしれない。だからこそ汎用性抜群なタイトルなわけだ。

著・有川ひろ 『倒れるときは前のめり』

とこんな感じで言い訳がましくはじまった記念すべき第一回だが、今回紹介したいのは有川ひろさんのエッセイ集『倒れるときは前のめり』(角川文庫)だ。
有川ひろさんは僕にとって音楽で言うところのセカオワのような作家さん(つまり小説の原点的な存在)だ。小学生のころからずっと有川さんの作品が好きで、多分これからもずっと好き。有川さんの作品に出てくる登場人物はみなカッコイイ。流れる人生の中で生きていると言うより、自分で人生を動かしていくような、そしてその挙句周りの人達をも動かしていくような(それも主人公だけがそうなのではなく全員がそうなので物語は無限のエネルギーとあらゆるベクトルで突き動かされていく)、力強いエネルギーを持っているように感じる。そしてさらに、作品の登場人物のみならず、有川さんもカッコイイ。自分で考え、決めて、行動する。自分の行動や発する言葉には責任を持つ。自分の信念や大切にするものを持ち続ける。僕が持っていない人間力のような何か(?)をたくさん持っていて、いつか自分もそんな風に生きることができたらと思う。この『倒れるときは前のめり』にはそんな有川さんの持っている力の秘密の一部が隠されているように感じた。


「好き」への予防線

僕が個人的に一番刺さったエッセイは自分の好きなものを語るときに有川さんが感じたことについてのエッセイだった。「〜がけっこう好きなんですよね」と有川さんがインタビューで答えた時に、その「けっこう」は予防線だった、他の人から「え、こんなの好きなの」と馬鹿にされることを恐れて無意識に予防線を張ってしまった。本当は「けっこう」なんかじゃなくてめちゃくちゃ好きだったのに、それを後悔しているという内容だった。実はこのエッセイにたどり着く直前くらいに僕は同じようなことをしてしまっていた、しかも有川さんの作品で。有川さんの作品はライトノベルに近い雰囲気を持っていたりすることもあって「批評家ですが!」とか「読書家ですが!」的なタイプの人(?)にとやかく言われることがあることは薄々感じていた。そして、そう言われてしまうのではないかと無意識に僕は「有川ひろさんの本とかまあまあ読みますよ」と予防線を張ってしまった。「まあまあ」。最悪だ、と思った。あまりにも最悪だ。他人の顔色を伺って好きなものを好きと言えないことも最悪、好きなものに対して失礼なことを無意識にしてそれに気づいてすらいなかったことも最悪。とにかく最悪だと思った。


だからここで改めて言い直す。

有川ひろさんの作品がめちゃくちゃ好きです。有川さんの作品がなければこんな風にコラムとか小説とかを書きたいなんて思っていなかったと思います。有川さんの作品は僕の文学の原点です。
自分の好きなもの全てに対して、もう同じことは繰り返さない、と胸に誓った。このコラムでも、好きなものを好きと全力で言い切っていきたい。


最後に

これはほんの一例なのだけど、この『倒れるときは前のめり』はこのように有川さんのイケメンっぷりがつまったエッセイ集だ。東日本大震災や阪神・淡路大震災の中でのエンタメのあり方、被災者以外の人たちのあり方なんかを考えてみたり、言葉の持つ力について、そしてそれに対する関わり方を考えてみたり、自分では気づけなかったようなことにも色々と気付かされた。
僕はあまりにも頼りないし優柔不断だし臆病だし、、、と有川さんのようにかっこよく生きることができるようになるには長い長い年月がかかりそうだが、それでもほんの少しでもそのかっこよさを吸収出来たらと思うし、みなさんにもそのかっこよさを感じて欲しいと思ったのでこの作品を紹介した。

またこれからここでも有川さんの作品に触れていきたいなと思っているのでそちらも楽しみにしていただければと思う(ちなみにこんな風に「言葉探しの旅をしている」を書きたいと思ったのも『倒れるときは前のめり』の影響だったり)


それでは、また

(実はこの文章自体はめちゃくちゃ前に書いてあったのだけど、以後定期的に書く決心がつかずに投稿しないままだったのでした())

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