スナイパー

心が止まる
殺して運ばれる
人じゃなくてもいい

行き先が違う列車に
乗り込んだ後
酔いが酷くて
何度も吐いた

とにかく
あそこを出たかった
それだけで
飛び乗ったんだった

「お前はいったい何をしている」

四方八方から
手や足が伸びてきて
見えない急所を
上手いこと
絞めつけてきて
出ていけなくするように

何も考えられなくなっていた

絶望や不安で
見えない壁を
ありありと見せる

引きちぎりながら
残った魂分
時間を取り戻すと
決めたのは
僕一人の力じゃないだろう

次に死んだら
もう二度と
這い上がれないと

知っていた誰かさん
その他大勢

見えない壁越しに
「やっちゃえ」
なんてささやいて
人生丸聞こえな
レジスタンス……だよな、これ

……翼を取り戻したかい？
まだなら早くしな
本当に乗る予定の
最終列車が
次の駅から出ちまうよ

ぐずぐずしないで
お前の人生だろ？

じゃあ
やっちゃいな

ああ、俺だよ、俺

ここで見えなくなるまで
見ててやるから

危なくなったら
これで撃ち抜いてやるよ

大丈夫だって
きっと上手く行くよ
お前なら絶対