かたち
同じ夜に
見えない壁が
張り巡らされる
そこを伝って
過去を紐解くように
涙がそっと
斜めに落ちていく
ため池で
僕らは出会うのさ
人である必要はなく
ただいればいい
そう語る言葉も
特にいらない
そっと
寄り添ってくれれば
昼のかたちは
仮初なんだと
通じ合うから
涙の痕跡も
見えない時代だから
お互い気づきもしないで
ドラマは
前世紀に終わったみたい
でも
同じ夜に
何度も
見えない壁は
張り巡らされて
同じような
涙は今も
流れている
気付かないだけ
見えないだけ
想像するのも
疲れるくらいに
僕らは
昼のかたちに
擦り減っている
涙が霧状に
朝をぼやけさせて
忘れながら
明日が来るなんて
誰も
信じていない
そうやって
やっと
みんな生きているのさ
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