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視界

泥人形のように
崩れたままで
まどろんでいたい
 
疲労の山を
他人事のように
遠くから見ていたい
 
乾いた砂が
さらさらと
風に運ばれて
私じゃなくなる
その感じが
心地いい
 
自業自得の
愚かな過去も
武勇伝に拵えて
承認を集める
道具に
すり替えながら
 
どこかが
壊れていても
どこかが伸びて
明日に届けば
それでいい
 
もう
純粋には
届かなくても
月が見下ろした
この大地の上で
誰もが長く
生きるために
 
振り返らない
扉に鍵をかけて
自分を
更新していく
 
それでいいと
たどり着いた
この街が
埃まみれだとしても
 
いずれ
繰り返される
日常の中
視界は開けていく
 
 

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