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如月睦月は代書屋を営んでいる。 昔ながらの代書屋。 識字率が低かった時代同様、誰かの代わり…
探偵が悩んでいる。 珍しくはない。橋村夫人が留守の日は大抵こうして悩む。 「渡邊」 独白が…
先日、武器工場の爆発で大破した工業ロボットは、P社から輸出されたものだった。しかし、それ…
再会して、しまっていた思いに気がついた。 「あー。戸棚の奥のレトルト食品みたいな?」 「何…
小学4年の秋だった。 私は父方の親戚の住む町に、父と一緒に泊まりがけで遊びに行った。 おそ…
「閏年の閏と書いてじゅんと読むらしい」 「へぇ。この字も名前に使えるんだ」 「余分な子だっ…
帰り道、猫に会った。 珍しいことではない。 猫の多い町だ。会わない日の方が珍しい。 だけど、彼に会うのは久しぶりだった。 「やぁ、元気でいたかい?」 彼はチラリとこちらを見た。 相変わらずつれない。 でも、素通りせずに立ち止まってくれただけでも良しとするべきだ。 彼はこのあたりの猫の顔役だ。 特別体が大きいわけではない。オッドアイで体のほとんどを白い毛で覆われている。 だが、彼がいるから、この町の猫は人間との共存がうまくできているのだ。 と、少なくとも僕は思っている。 「とこ
洞窟の奥にある飲食店に面白半分で履歴書を送った…ら、面接したいと連絡があった。 面接会場…
ー春は春 春めく春も 春なりけりー 「巫山戯やがって」 吉祥寺は舌打ちする。 受け持ち担当…
昨日買った古い辞書に絵葉書が一枚挟まっていた。 ページからするりと滑って床に落ちた。 古い…
俺たちは会社の資料室からわけのわからない迷路に迷い込んだ。 「迷路というよりか洞窟って感…
バイトから帰ってきて家に入る路地を歩いていたら、Kさんが前を歩いていた。 キャリーケースを…
「『梅の花』という店だった」 「ほう。今回の怪異に似合いの名じゃねぇか。飲み屋か何かか?…
「舌先三寸は舌の先から虚空に向かっての三寸なのか舌先から奥に向かっての三寸なのか?」 「は?」 「考えたことない?」 「ねえよ。棚卸しの作業中に話しかけんなよ。どこまで数えたかわかんなくなるだろう?」 「俺さぁ、舌先三寸のことを考え始めると夜も眠れないんだ」 昔の漫才に「地下鉄の電車。どこから入れたのか考えると夜も眠れない」というネタがあった。まさにそれだと僕は思っている。 「それは何より。眠らずに数えてくれよ」 部品工場の棚卸しはキツい。 何種類もある螺子を一個一個数えてい