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お金を貰ったとたんに仕事の質が下がるのはなぜか【本から学ぶ】

皆さんこんばんは、福田達也です。

今日は書籍から学んだことについて、自分の身の回りの事に照らし合わせて考えてみたいと思います。

本日の書籍はこちら。『行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』より、第四章『社会規範のコスト なぜ楽しみでやっていたことが、報酬をもらったとたん楽しくなくなるのか』です。

書籍についてはこちら。

内容のまとめ

わたしたちはふたつの異なる世界――社会規範が優勢な世界と、市場規範が規則をつくる世界――に同時に生きている。社会規範は、友達同士の頼みごとのような、即座にお返しをする必要がない世界だ。一方、市場規範は賃金・価格といった支払った分に見合うものが手に入る世界である。

そしてわたしたちは、お金が絡まない社会規範の頼みごとの方が熱心に取り組む傾向がある。しかし、悲しいことに社会規範と市場規範が衝突すると、社会規範は長い間どこかへ消えてしまう。社会的な人間関係は、一度崩れるとそう簡単には修復できないのだ。

結局のところ、人をやる気にさせる方法としては、お金に頼るのがたいがいもっとも高くつく。社会規範は安上がりなだけでなく、より効果的な場合が多い。

社会規範と市場規範

今回のトピックは、『なぜ楽しみでやっていたことが、報酬をもらったとたん楽しくなくなるのか』でした。

実際、友達や家族とのやり取りの中で、ちょっと手伝ってと言われると快諾するような事が、小銭を払うからなどと言われた途端やる気がなくなるということはよくあります。

例えば、引っ越しの手伝いを頼まれた時をイメージしてみます。困っているから手伝ってと言われると気持ちよく「いいよ」という風に応えられます。ですが、100円あげるから手伝ってと言われると、「お金のためにやっているわけじゃない」や「自分の1日仕事は100円の価値しか無いのか」という考えがむくむくともたげてきて、手伝おうという気がなくなってきます。

合理的に考えれば、ただ手伝うよりも、手伝ったついでに1円でもお金を貰える方がお得です。なのに反発するのは何故なのでしょうか。

本書によると、お金が介在しない世界では私たちは社会規範の中で生きているようです。それは、お互い持ちつ持たれつのような、すぐにお返しする必要がない世界です。

ところが、お金という物差しが入ってきた途端、私達の関係は市場規範へと塗り替わります。自分が労働対価報酬を貰っている労働と比べて、この仕事は割に合っているのかという、お金を基準とした相対的な尺度に切り替わります。

上記の手伝いの例でも、10万円あげるからと言われれば話は変わってきます。友達に悪いとは思いながらも、「それだけもらえるなら、(普段自分が市場規範の中で働いている他の労働よりもお得だから)やろうか」という気持ちになります。ですが、これは友人関係という社会規範が優勢になったのではなく、あくまで市場規範の中でドライに判断を下した結果なのです。

自分を高める仕事は無償で

また、これに近い話として先日ある経営者さんが面白い話をされていました。有志でサービスを立ち上げて提供する中で、最初はスタッフにお金を支払っていたそうです。しかし、あまりにもサービスの質が悪いとクレームが多かったとのこと。

そんな中スタッフの人達から、お金は貰わずにサービスを提供したいという話が出てきたそうです。ならばやってみようかと、無給でのサービス提供としたところ、なんと質が大幅に上昇したそうです。

これはまさに、社会規範と市場規範の関係でしょう。報酬が発生しているうちは、自分の仕事は貰っている報酬に見合っているかという考えが優勢になりがちです。そして、報酬以上の苦労をするのは割に合わないという考えになります。

一方で報酬が発生しないケースでは、これは社会規範の範疇におさまります。あるいは、人間関係を作るための社会規範という目的以上に、自己を成長させるための時間や労力の純粋や投資という風に自然と捉えられます。

労働対価報酬として市場規範の中でお金をもらうのか、あるいは労働を投資して自分の価値を高めるのか。やっていることは同じでも、取り組む私達の前提が変わってしまう。だからこそ、今の取り組みにお金を介在させるべきかは慎重になる必要がありそうです。

終わりに

今回は「なぜ楽しみでやっていたことが、お金をもらうとやる気が無くなるのか」、それは社会規範と市場規範の関係であるという事について紹介しました。

合的に考えれば、お金は無いよりもあった方がよく、したがって報酬は支払わないよりも支払った方が良いと考えがちです。同じように、報酬は受け取らないよりも、受け取った方が良いと考えがちです。

しかし、今回の話を通して、お金というものが介在することで、私達の捉え方がドライな市場規範に切り替わってしまうことがわかりました。そのために、目的によってはお金を介在させるべきではなさそうです。

稼ぐための仕事や労力なのか、あるいは違う目的のためのものなのか。一つ一つの目的を明確にしながら、それに見合った対価にするように心がけていきます。

本日も読んでいただき、ありがとうございました。
また次の記事でお会いできることを楽しみにしています。

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