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「あのテレビ台の下は、わたしの宝の山だった」

 ちいさい頃の宝物は、いくつもの映画を録りためたビデオテープ(VHS)だった。

 ビデオテープに録画する方法を学んだのは、わたしにとってとても衝撃的だった記憶がある。
 わたしはちいさい頃とにかく映画が好きで、「金曜ロードショー」「日曜洋画劇場」、、、、あと土曜日にもなんかあったよな?の洋画を録画しまくっていた。
 当時のわたしは邦画やアニメ映画は嫌いを通り越して、怨みに近いものを感じていた。とくに「男はつらいよシリーズ」「釣りバカ日誌シリーズ」「ジブリシリーズ」なんかの週は本当に悲しかった。
 その気持ちを抱えたまま成長した現在のわたしは、ジブリ作品は何作か観て、今では好きになれたが、未だに「男はつらいよシリーズ」「釣りバカ日誌シリーズ」を観たことが1度もない。
 観たことがないのに、ちいさい頃にもった怨みは凄いものだ。

 そしてもう一点。
 予約録画のトラブルとなる野球のナイター中継による、時間の繰り上げや番組の中止なんて大嫌いだったので、その気持ちは今もひきずっているのか、、、、プロ野球が大嫌いだ。とくに巨人戦がやってたな!
 そんなわたしはとにかく洋画が大好きなカワイイ坊やだった。

 あれも、それも、これも、どれも、何度も何度もビデオテープが擦り切れるぐらい観た。実際にテープが切れたり、ビデオデッキの中で壊れたりしたこともあった。きっと親や家族はわたしのことを気狂いだと思っていたに違いない。毎日毎日本当に毎日観ていたから。
 そんなビデオテープの中でもたぶん1番か2番によく観ていた作品が「The Goonies」だ。
 この作品に関しては吹き替えの台詞ではあるが全て丸暗記してたぐらい観た。
 何にそこまで心が惹かれていたのか?実際年を重ねてから観ると凄く面白くない。懐かしさに2度観る機会があったけどそんなにおもしろくはない、、、、夢中になったあの頃の気持ちは覚えているけど、観れば観るほどわからなくなってしまう。なんだかよくわからいけど、これ以上あの頃の大切な気持ちを汚したくないので、もう2度と観ることはない映画となってしまった作品。

 たいしておもしろくない映画だけど、わたしのとても大切な映画作品。

 あの頃のわたしは家から飛び出し、冒険にでる人への憧れが強かった。
 
 大人になった今、わたしは冒険の人生に振りまわされて生きている。
 それもこれも「The Goonies」のせいかもしれないな。

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