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海が私を呼ぶなんてかわいい

 久しぶりに『ゴーストブック』を観た。劇場公開されていたとき以来だ。久しぶりに観たらきっとまた新しい発見がいっぱいあるんだろうなと思っていたけれど、今回は始めから終わりまで一つのことだけが気になって、ずっとそのことばかり考えながら観ていた。  橘湊。桧吏くん演じる主人公一樹の幼なじみで、一樹がひそかに?思いを寄せるクラスメイトの名前だ。湊…。この映画で「海」を連想させる存在は彼女だけだ。桧吏くん(一樹)は何しろこの映画では「山」なので、その桧吏くんが命を懸けて助けようとする

    • 城桧吏という不思議な山

       山際の一面の緑の中を自転車で疾走する一樹の声から始まるこの映画は、桧吏くんの新しい魅力でいっぱいだ。私にとって桧吏くんはいつも海のイメージだったけど、映画『ゴーストブック』の桧吏くんは山のような雰囲気だ。ふと視界が開けたように広がるのが海なら、山は圧倒的な存在感で視線を一点に集中させる。車の中から富士山が見えたとき、見えたり見えなくなったりするその姿をずっと目で追ってしまうように、映画館の中で私が追いかけていた山についての話。  桧吏くんのことを知った頃と比べると、ぐんと

      • いつも海が見える

         どんな人にも光を放つ一瞬がある。その一瞬のためだけに、そのあとの長い長い時間をただただ過ごしていくこともできるような。『海の鳥・空の魚』 「私、楽しかったからさ。こんなんじゃお釣りが来るくらいだよ」  信代にとっての「光を放つ一瞬」がいつだったのか、とてもよくわかる台詞だなと思う。治にとってもそれは同じだったはずで、「そのあとの長い長い時間をただただ過ごしていくこともできるような」眩しい光を、あの家族の中に見ていたんだろうなと思う。  祥太にとってはどうだっただろう。あ

        • 斑のもやう

          あをぞらの加減を鼻でふれてみてきりんはけふも斑のもやう/山崎郁子  キリンの首は長い。いつも高いところにいて、私には見えない景色を見て、私には届かない世界に触れている。  自分がいる場所は地面から近く、いつも見通しが悪く、気が塞ぐことばかりだ。キリンはいいな。キリンが見ている景色はきっと広々として、明るく、気持ちがいいんだろうな。キリンが見ている景色を見たいと思う。地面からは高いほうがいいし、空にはより近いほうがいい。そう思い込んでいる。  そんなことをすっかり忘れさせ

        海が私を呼ぶなんてかわいい

          食べることは生きること

           何かを好きであることにはいつも理由があるわけではないとわかってはいるけれど、「おいしい給食」を観ているとやはり甘利田先生と神野くんが給食を好きな理由が気になってしまう。とは言うものの、甘利田先生が給食を好きな理由はドラマの初回、二言目にはすでに明らかにされている。母の作るご飯がまずいからだという。一方、神野くんが給食を好きな理由はドラマでは触れられず、劇場版のエンディングでようやく語られる。  甘利田先生と神野くんは給食が好きという点では一見同じようだけど、実は二人にとっ

          食べることは生きること

          城桧吏という人の「軽さ」

           映画『都会のトム&ソーヤ』を観た。城桧吏くん(以下、桧吏くんと呼びます)の13歳の誕生日に制作が発表されたその映画を、私は2年も待った末に見逃し(肝心なとき私はいつもいない)、この前ようやくスクリーン越しに観る機会を得て、ついに映画初主演の桧吏くんとの対面を果たした。  原作を詳しく知らないこともあり、ストーリーについては正直よくわからなかった。わかるのは桧吏くん演じる内藤内人という人物が冒険の主人公であるということくらいだったが、そのことさえ、観ているうちにしだいにわか

          城桧吏という人の「軽さ」