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「感情的な言葉が入っていたら、削って削って整えていく」

報道キャスターとしてカメラの前でニュースを伝えるときは、「主観を挟まず伝える」ことを大切にしています。重要なのは「事実」なので、どの事実が最重要なのかを見極め、感情的な言葉が入っていたら、削って削って整えていくのです

たとえば「30もの」という原稿は「30の」にして、「も」の1文字を削ります。理由は、30という数字は多いもの、という制作サイドの主観が入っているから。この数字をどう判断するかは視聴者の方々次第で、その意識は決してコントロールしたくない。だからとにかく客観的にお伝えすることを心がけているのです。

こう考えるようになったのは、司会を担当した「東急ジルベスターコンサート」で、ジャズピアニストの小曽根真さんとご一緒したことがきっかけでした。「小曽根さんの奏でる美しい音色をお楽しみください」という原稿に、彼は「音色の感じ方はお客様次第。『美しい』は必要ないのでは」とおっしゃいました。ガイドをつけることが、意識を誘導する可能性があると知り、目からうろこが落ちたことを覚えています。

   大江 麻理子
   (テレビ東京・報道局キャスター)

PRESIDENT WOMAN


言葉には興味があるので、言葉に敏感な人には憧れがある。

報道番組のキャスターは、言葉に対して厳しく感性を磨いているんだろう。


講師をしていた知人の影響もあり、キャスターには及ばないが、私も「言葉を削る」ことは意識するようにしている。

書く時もそうだし、話す時も。

日常会話ではその意識が薄れがちだけど、人前で話す時や誰かに何か説明する時は、省いてもいい言葉は省くように心がけている。

「○○になるかと思います」ではなく「○○です」と、言い切れる時は言い切るといった具合に、削れるものは削る。

「絶対」「めっちゃ」「かなり」といった副詞や、「おもしろい」「ありえない」「変」といった主観的な感想は、仕事の話の時は使わないようにしている。

雑談に近い打ち合わせでは、空気に流されて使ってしまうことが多いので、改善の余地があるけど。


文章にしてもスピーチや説明にしても、テンポと「間」は大事にしたい。

私も昔はそうだったけど、人前で話す時、間が空いてしまうのが怖かった。

その時にやりがちなのが、間を作らないように言葉で埋める。

でも、聴き手からすると、これはあまり有効ではない。

それよりも、沈黙を恐れず、1つ1つの言葉をしっかりと相手に届けるつもりで話すと、自ずと必要な間がとれるようになる。

間を埋める話し方に長けている人よりも、1つ1つの言葉を伝えようとしてくれる人の方が、私は話していて居心地がいいし、好感が持てる。


話し方については、たまにではあるけど、褒めてもらうことがあるので、自分の強みとして持ち続けたいと思っている。

このスキルを意識させ、伸ばしてくれた知人には本当に感謝している。

そういえば、その人に、「『とか』といったあいまいな表現を使わないよね」と言われたことがあって、とても嬉しかった。

あまり意識してなかったけど、雑談レベルでも余計な言葉が省けているのであれば嬉しい。


相手を選ぶけど、私は短い一言でツッコミを入れて笑いをとるのが好きなんだった。

相手もそのノリについてくる人だと、負けじとさらに乗ってしまう。


仕事ではシンプルで伝わりやすく、雑談では楽しく会話できるような話し方のスキルを鍛え続けていきたいな。



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