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<まえがき>在宅でリモートワークをしている間、子供の世話に追われて、全然仕事が進まない…なんて経験をした方、いらっしゃいませんか? 今回、お話を聞いたのは、まさにそんな方。会社の経営、実務、そして子育て…コロナとは直接関係ありませんが、色々と振り回されているようです。取材中も、お子さんが飛び入り参加。笑顔が絶えない時間でした(舘澤史岳)

―どんなお仕事をされていますか。
会社経営と、生まれたばかりの子供の世話に追われています。
首都圏近郊でWebの制作・運用を手掛ける会社を経営しています。会社と言っても、基本はWebデザイン・コーディングなど実務を手掛ける私と、ディレクターを務める妻の二人のみ。週1、2回、アルバイトスタッフに手伝いに来てもらう程度で、規模はそれほど大きくありません。仕事はWebサイトの制作から運営まで一貫して手掛ける固定案件がメインですが、「このキャンペーンのランディングページ(LP)を作ってほしい」など、単発の依頼に急ぎ対応することもあります。プライベートでは2020年2月末に子供を授かりました。今は仕事以外の家事や育児にも積極的に関わるようにしています。

―コロナ以前と比べて、どんな変化がありましたか。
メリハリをつけるために「時間割」「チャイム」を導入しました。
一番大きいのは働き方の部分です。3月に子供が退院して家にやってきてからは、ライフスタイルが全て子供中心になりました。初めての子供ということもあり、とにかく可愛くてしょうがありません。残念ながら授乳はできませんが、その分、お風呂、おむつ交換、夜泣き対応などでがんばりました。でも、気づいたら全然仕事がはかどらなくなってしまい…本当なら自宅から歩いてすぐの場所にオフィスがあるので、そこに出社すれば区切りがついたのかもしれませんが、その時は緊急事態宣言が出てたため、そうもいきません。そこで、5月の連休明けから「時間割」と「アラーム」を導入。たとえば、9~12時は仕事と決めて、その前後でアラームを鳴らし、メリハリをつけるようにしました。今はようやく落ち着いて仕事に取り組めています。

売上よりも、働き方の部分で課題を感じています。
コロナで主にダメージを負ったのは実店舗を持つ会社だと思いますが、その点うちのクライアントはもともとオンラインビジネスを手掛けているところが多いので、それほど影響を感じていません。また、Webの場合、紙と違って作るだけでなく、大体が「コンバージョンが落ちてきたのでコンテンツを新しくしたい」「デザインをリニューアルしたい」など、その後の更新・運用業務を含みます。契約も長期間に及ぶ場合が多いため、1、2カ月でどうこう言うことはできません。今、確実に影響が出ているとしたら、仕事の進め方・取り組み方の部分です。何人かのアルバイトスタッフにデザイン・イラストなどの手伝いをしてもらっているのですが、今はリモートワークということもあり、マニュアルのない新しい業務やアイデアや感性を活かす部分ではなかなかマネジメントしづらいというのが実感です。たとえ、緊急事態宣言が解除されたとしても、すぐにリモートワークが解除されるわけではないので、何とか上手く対応していきたいですね。

―これから業界(世界)は、どう変わっていくと思いますか。
オフラインがあって、はじめてオンラインが活きてくる。
今、仕事も飲み会も何でもオンラインに注目が集まっています。自分もこういう仕事をしていると、やろうと思えば何でもオンラインで済んでしまいます。でも、本当にそれでいいのかは疑問です。私はむしろ、オフラインでのつながりを強くするべきではないかと思います。たとえば、この自粛期間中、妻と一緒に近くのピザ屋、お弁当屋、コーヒー屋などでテイクアウトを積極的に利用しました。自分達の好きな飲食店に「もしものことがあってはならない」という思いで、応援の気持ちも込めて、マスクやお花を渡したりもしました。苦労を共にしている感じがあるせいか、金額としては微々たるものですが、ずいぶん喜んでもらいましたし、私達も普段以上に幸せを感じることができました。こういうのはオンラインではできないことです。また、先日リモートワークに切り替わったスタッフのうち、一人が入籍することを決めたのですが、お祝いにみんなで協力してイラストを作ったり、動画を作ったりすることになりました(やりとりはもちろんオンラインでw)。オンラインだけのつながりだったら、こうはいかなかったと思います。その前提として、職場でリアルなオフラインの付き合いをしてきたからこそです。やっぱりリアルな“場所”は大事です。一時は自宅近くにあるオフィスも、賃料がもったいないので引き払うことを考えましたが、彼らが帰ってこられる場所を残すためにも、このまま続けていきたいですね。

Webだけではなく、形あるモノ作りにチャレンジしたい。
Web業界では技術の進歩が続いています。制限はあるものの、専門知識がなくてもホームページを作る事ができる良い時代になりました。その中で、私たちに求められる価値も一昔前と比べると、だいぶ変わってきています。今はホームページを「作る」ことに価値はなく、その先にある、根本的な課題を汲み取り、オンライン・オフラインを組み合わせたりしながら「解決」できる能力が必要だと考えています。そのために、今後はWeb事業に加えて、課題解決方法の幅を広げる手段として、プロダクトの開発に力を入れたいと考えています。そして、それを販売するECという形で発展させていきたいとも思っています。人に喜んでもらうのが大好きなので、ゆくゆくはリアルな店舗を作り、たくさんの笑顔を作っていく事が夢ですね。今は未来に向けた“点”を作っている状況ですが、ゆくゆくは“線”として結び付けていければと思っています。(Tさん/Web制作・新米パパ)

マスクの向こう側では取材対象者を募集しています。
「コロナの影響でダメージを受けた」
「コロナをきっかけに、こんな変化が起こっている」
「業界としてこういう課題を抱えている」
職種にとらわれず、家事・育児等でも何でも構いません。
それぞれの現場の状況をお知らせください。
可能な限り取材いたします(オンライン・1時間程度)。
※対象者の氏名等、個人情報は基本匿名にします。
【連絡先】
masukunomukougawa-2020@yahoo.co.jp
コロナ前後で大きく世界は変わると思います。1年後、5年後、10年後、あの時、何があったのか」をしっかり振り返ることができるように書き残していきたいと考えています。フォローしてもらえるとすごく嬉しいです。twitterもやっています。

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