見出し画像

バリバリライトニングエレクトリックサンダー!

(OPテーマ)
 エナジー充填、マガジン装填、今日のワンピはお気に入り!
 今日こそ彼をモノにする。即・放・電の恋心!
 エネミー殲滅、シナジー重点、彼のトコまでもう少し!
 バレルロールで踊りましょ!
 バリバリ・ライトニング・エレクトリック・サンダー!


第1話 気になるあいつは、ゴム怪人!?


 屋上が、揺れる。

 三段打撃からの渾身のロケットキックが、ヨーコの掲げた右手にヒット!

 迸る電撃、雷撃、衝撃。私はひらりと着地して、ヨーコに駆け寄り問いかけた。

「ねぇねぇ、今の技はどう?」

「10点満点で、円周率くらい」

「桁数の話かな?」

「ンなわけないでしょ」

 ヨーコは笑いながら、読んでいた本(電撃で黒焦げ)を床に捨てた。私の攻撃の余波で屋上の床には焦げ跡がたくさん残ってるのに、ヨーコは全くの無傷だ。

「むう、今回はイケると思ったんだけどなー」

「岩に電気が流れるわけないでしょ」

 ため息をついて、ヨーコはパチンと……いや、ゴリッと指を鳴らす。屋上の床面が粘土みたいに歪んで、焦げ跡と本の残骸を呑み込みはじめた。

 私はそんな"事後処理"を眺めながら、口を尖らせる。

「でも、今回は工夫したんだよ? ヒットの瞬間、電気を熱に変えてみたりとか……」

「ああ、それでなんか温かったのね……でもまぁ、私に攻撃するなら岩くらい砕けないと」

「うーやっぱ筋トレ? やだなぁ」

「まぁ正直、拳が無事なだけでも相当凄いと思うよ」

 そうこうする内、屋上は元通りになり──その時だった。


『警報! 警報! 未確認ミュータントが正門に到達! 非戦闘生徒は速やかに──』


「正門!?」

「いきなり!?」

 ──町門からここまでの間に、誰も発見できなかったの!?

 私は慌てて柵際に駆け寄り目を凝らす。ヨーコは目が悪いので後ろで待機。

「どうミサキ、見えた? またゾンビ型? それともオーク?」

「ちょっと待って……あれ?」

 ヨーコを宥めながら正門を見て──私は思わず声をあげた。

「……ただの、男の子っぽいな?」

(つづく/800字)

🍑いただいたドネートはたぶん日本酒に化けます 🍑感想等はお気軽に質問箱にどうぞ!   https://peing.net/ja/tate_ala_arc 🍑なお現物支給も受け付けています。   http://amzn.asia/f1QZoXz