碧空戦士アマガサ 第1話
空は青いのに土砂降りの雨が降っているし、周囲の水溜りは"底なし"で人々が沈んでいくし、目の前には刀を持った怪人がいる──異常事態の連続に、晴香は自分が夢を見ているのかと思った。
しかし、袈裟斬りにされた痛みが、吹き上がる血の匂いが、否応無しに現実を突きつけてくる。
その怪人は、自らを"雨狐"と呼称していた。
顔と狐面が一体化し、髪はなく、代わりに頭部を黒い鱗が覆っている。着流した白い浴衣の隙間から見える皮膚も同様だ。足元は水を入れすぎた絵の具のように滲んでおり、判然としない。
雨狐は晴香に歩み寄り、刀を振り下ろす。
──その時、銃声が響いた。
遅れて、爆発音と共に怪人が吹き飛ぶ。晴香が振り返ると、公園の入り口にひとりの男が立っていた。白い雨合羽を着たその男は、晴香が追う重要参考人──"アマガサ"。
「行くよ、カラカサ!」『おう!』
彼は叫び、先端から白煙が昇る番傘を天に掲げる。
そして、高らかに叫んだ。
「変身!」
(つづく)
***
↓↓↓ 2018.11.02 連載開始しました ↓↓↓
🍑いただいたドネートはたぶん日本酒に化けます 🍑感想等はお気軽に質問箱にどうぞ! https://peing.net/ja/tate_ala_arc 🍑なお現物支給も受け付けています。 http://amzn.asia/f1QZoXz