『あの日、選ばれなかった君へ』
『あの日、選ばれなかった君へ』を読みました。
選ばれなかった経験って、特に思い当たらないな。
なのにどうして、ざわざわするんだろう?
そう思いながら、その理由が分からないまま、しばらく読み進めました。
いや選ばれる/選ばれないという視点で考えていなかっただけだ。
失恋もあったし、就活で苦しんだこともあった。
そうかあれは、選ばれなかった経験だ。
電車の中でそう思い至り、窓の外を眺め続けました。
誰かが見ていたら、本、読まないのかなこの人、と思ったことでしょう。
さらに「君」の話に触れるうち、選ばれた経験にも思い至ります。
作文で賞をもらったこと。受験。部活。
本を開いて会社の階段を上っているのに、顔は斜め上に向け続ける私。
不審人物です。人通りがほとんどなくて助かりました。
読了した日の夜は、思い出したことを書き出しました。
記憶はつながって、これまでやってきたあれこれも頭にのぼります。
あぁ、ずいぶんと色々あったな。
どう思っていたか、どう考えていたのか、当時の記憶をなぞりました。
今の自分と変わらない、ということもあれば、よくあんなことしたな、ということも。
思うに私たちは、悪かったことはもちろん、良かったことさえ忘れてしまいます。何気ない選択、そしてその動機に至っては、忘れたことさえ忘れてしまう。
慌ただしい日常の中で、過去を振り返るのは貴重な機会だと思います。
『あの日、選ばれなかった君へ』は、そんな時間をくれる、そして、今日ここからまた進んでいこうと思わせてくれる、そんな一冊でした。
赤裸々な告白をありがとうございます(ダイヤモンドの記事も読みました)。
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