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D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略

今回はDX時代に台頭したD2Cブランドについて下記の本からまとめて行きます。

D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略 (NewsPicksパブリッシング)
Amazon.co.jpによる
詳細はこちら: https://www.amazon.co.jp/dp/491006303X/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_32AdFb4KS9S5Z


まずD2Cとは?

辞書的な定義でいうと

新しい消費の価値観をもつミレニアム世代以下のターゲットに対し、ユニークな世界観を下敷きにしたプロダクトとカスタマーエクスペリエンス、SNSや店舗を通じた顧客とのダイレクトな対話、垂直統合したサプライチェーンを武器に、VCから資金調達を行い、短期間に急成長を目指すデジタル&データドリブンなライフスタイルブランド


これだけではまだ腹落ちしない部分もあるので従来の伝統的なブランドとD2Cブランドとの対比によって説明していく。

①ものづくり企業ではなくテック企業である。

D2C企業にはデータサイエンティストが存在し、店舗展開をデータを元に戦略立てたり、SNSマーケティングを積極的に行う。またプロダクトのクオリティを競争優位性の源泉にしていない。

②「関節販売」ではなく「直接販売」である。

顧客と直接コミュニケーションをし、間に広告代理店を挟まない。それによりデータが自分でとれ、より深く顧客を理解できパーソナルな顧客対応が可能になる。(だれがいつどこでなんの商品を買ったか)

③「高価格化」ではなく「低価格化」を志向する

小売を全く通さず直販を徹底し、中間マージンを発生させず販売する。

またブランディングにこだわるが値段を釣り上げるようなことはしない。

④「着実な成長」ではなく「指数関数的成長」

SNSなどを通じ一瞬でターゲット層の間で認知を広げ、優れたUXによりトライアル・購入までの導線を貼ることができる。またVCからの援助により爆発的な成長を期待できるようになった。

着実な成長でも良いがD2Cは技術的参入障壁が低いため競争が激化。指数関数的成長を見込まなければ即淘汰されてしまう。

⑤「プロダクト」ではなく「ライフスタイル」を売る

D2Cブランドはプロダクトを販売しているわけではなく世界観、ライフスタイルを販売している。現在、消費者は機能だけではなく、感情を買っている。

例:「Casper」というマットレスを販売している会社は睡眠を通じた新しいライフスタイルを提供している。

ニューヨークには「The Dreamery」というベッドを配置したブースをオープンし25ドルで45分昼寝することができる。

⑥「X世代以上」ではなく「ミレニアム世代」をターゲット

リーマンショックを経験したことによる倹約精神、スマホをはじめとしたデジタル感度の高さ、社会問題・環境問題への関心の高い世代(1980~1990後半生まれ)への対象マーケットへのシフト

アメリカではミレニアム世代の人口の多さからこのシフトが生まれた。

⑦「顧客」ではなく「コミュニティ」として扱う

顧客からのフィードバックなどを元に新製品の開発をし、商品がでれば顧客が積極的に口コミで広める。マーケターであり共同開発者である。


上記がD2Cブランドの特徴である。さらに大きな視点でいうとインターネットサービスで「コト」的な側面を持ちつつ、リアル店舗をもつなど「モノ」を核とし顧客との関係性を深める。このハイブリット的な要素がD2Cの一番の特徴である。つまり「コト付きのモノ」である。

D2Cにおける2つの軸

まず一つは⑤の説明にもなるが,あくまで「機能」ではなく「世界観」を売っている。

例:「Away」というスーツブランドが「HERE」という雑誌を販売し美しい写真やイラストなどのビジュアルと、何万字もの長文記事が並び、読者にブランドが創り上げる世界観に没頭してもらうようになっている。

これは実は従来のブランドでも言われていたことだがD2Cブランドはプロダクトをコンテンツ化し、ブランドをメディア化している。

例:ユニクロがとある雑誌編集長をヘッドハンティングする

彼らの世界観の作り方として従来CMなどの「有限の枠」からユーチューブなどの「無限の枠」で広告を打ち出している。

それにより刺激を生むビジュアルや印象に残るキャッチコピー(刺激-反応モデル)より長く語りかけて世界観を訴えるスタイル(語りかけ-理解モデル)がD2Cでは主流になった。

例:ポッドキャスト・雑誌・映像

D2Cでは意味レベルの価値を顧客に伝えるためにブランドの意図を長尺のストーリーにて発信し、かつそれが思わず語りたくなるストーリーでなければいけない。

そしてもう一つは特徴の⑦と重なる部分もあるが「他人」ではなく「友人 」に売ることである。

顧客自体がマーケターになったり、ロイヤリティの高い顧客は社員の一員になり商品開発に携わるなど今まで以上に深く長い付き合いが求められるようになった。

それによりリレーションが大事にされKPIがLTV(顧客生涯価値)になる。

そしてD2Cの特性からビジネスのフレームワークは4Pから4Eに変化した。

Experience(体験)どのような体験を提供できるか?

Exchange(交換)何をすれば何を得れるのか?最適な見合いでの値付け

Evangelism(伝道)どうやって伝播させて行くか?

Every Place(あらゆる場所)オンラインとオフラインの融合

以上がD2Cについてのまとめでした。