アフターデジタル 〜オフラインのない時代に生き残る〜


DX時代の到来がコロナによって早まったと言われている昨今。リテール4.0、D2Cに続き今回はアフターデジタルについてまとめさせていただきます。

中国でのデジタル事情

デジタル後進国と言わている日本。デジタル先進国と言われる中国。

そんな中で中国での話。ある会社でコーヒーマシーンが設置してコーヒーを飲みたい人は3元〜5元を電子送金で支払うシステムがあった。以前は小銭箱があり、そこに直接現金を入れていたがあるときアリペイのバーコードが印刷されたものが壁に貼られてそこから払うようになっていた。

なぜ突然バーコードが貼られたかと言うとアリババが「この人はコーヒーのマイクロビジネスを行っている人だろう」と想定し、アリババのロゴ付きのQRコードを送ったそうです。

ここではそれくらいキャッシュレスが浸透しているのと同時にあらゆる消費者の購買行動のデータが取れるようになったことが重要です。

そしてデジタル化による行動データ取得で信用・評価社会が出来上がりました。

その代表が「ジーマクレジット

支払い能力を可視化したもので・個人特性・支払い能力・返済履歴・人脈・素行がデータとして残り、スコアリングされる。そのスコアリングは出身大学や職業などでも上下する。点数が高いとあらゆるサービスが優遇されたり個人融資が受けやすくなるなどがあげられます。

これにより中国人の素行がかなりよくなったと言われています。

エクスペリエンスと行動データのループを回す時代へ

あらゆる行動データが活用可能になったことでビジネスでの鍵としては具体的に以下のようなことがあげられます。

・オフラインの行動のデジタルデータ化、そして保有・活用

・そのためにはユーザーとの接点は高頻度であること

・行動データを貯めるには「楽しい・便利」といった体験品質の高さが必須

・データ活用により顧客に対して更に最善なアプローチが可能になる。

ビフォデジタルとアフターデジタル

では本書のタイトルではあるアフターデジタルについて述べさせていただきます。

「オフラインのリアル世界が中心で、付加価値的な存在として新たなデジタル領域」という図式を「ビフォデジタル」

ex)リアルでいつも会えるお客様が、たまにデジタルにも来てくれる。

モバイル・IoTが偏在し、現実世界でオフラインがなくなる状況になると「リアル世界がデジタル世界に包括される」という図式になる。こういった現象の捉え方をアフターデジタルと呼ぶ。

ex)デジタルで絶えず接点があり、たまにデジタルも活用したリアルにも来てくれる

上記のようにもはやリアルがツールになります。

アフターデジタルに必要な思考法「OMO」

アフターデジタルに置いて「OMO(Online Merges with Offline)」という概念が重要になってきます。オフラインが存在しないという前提のもとオンラインとオフラインが融合し、一体ものとして捉えます。

OMOにおける重要な考え方をまとめます。

チャネルの自由な行き来

オンラインとオフラインは既に溶け合って違いはなくなり企業は全方位的に全てで接点を持つビジネス設計をすべき。(顧客はそのとき一番便利な方法で選びたいだけ)

・データをUXとプロダクトに返すこと

行動データをフル活用し、ユーザーにプラットフォームにいかに長く滞在してもらうかが大事。そしてより良い体験をユーザーに提供する。

・リアルも含めた高速改善

リアル接点でもウェブサイトのユーザー行動のようにデータを取得し、プロダクトとUXを高速改善する。

一例:アリババによるOMO型ネットスーパー「フーマー」

フーマーの最大の特徴はオンラインで注文すると店舗の3km圏内であれば30分以内に配送してもらえるという利便性があります。

フーマーにはたくさんの従業員が店舗におり、接客だけではなくオンラインからの注文を受けピックアップ作業もしている。ピックアップが終わるとハンガーに専用のバックを引っ掛けベルトコンベアーから天井まで上がって店内を通り抜けたあと配送センターまで届く。

顧客はフーマーに行くと上記の天井を走るバックやフードコートにある海鮮コーナーの生け簀、鮮度の高い商品に驚く。

ここではECだと魚の鮮度に抵抗がある方でも配送スピードと生け簀から店員がピッキングしてその場で調理する光景をみて安心する。

また視覚的に楽しめるため「リテールテイメント」の役割も果たしている。


アフターデジタルに対応するため企業に求めること

・全社戦略やビジョンは企業を主語にするのではなく顧客・社会が主語に

顧客体験に沿ったビジョンが理想なので今までは「将来成し遂げたたい絵としてあげられるもの」から「顧客にこうなってもらう、社会をこのようにする」といった姿勢が必要

・状況志向化

今まではSTPに基づいた「人・属性」ターゲティングから「状況」に基づいたターゲティングが重要になってくる。

デジタル化により行動データをリアルタイムで取れることができる。

そのため「特定の状況に置かれた人」が持っている「解決したい用事、課題」を解決すること、つまりジョブ理論の考え方が大事。

・バリューチェーンからバリュージャニーへ

今まではその製品がどれだけ売れたかが論点になっていたが、アフターデジタルでは高頻度で良い体験を提供することが鍵なのでいかに長い時間顧客に寄り添えるかが大事。話は戻るがこれを達成するにはOMOの考え方が改めて重要になってくる。(製品はあくまで接点の一つにすぎない)