夜記（よるき）

　日記は、わたしには似合わない。真夜中、ページを開いて、君は失った人のことを想っている。わたしは、手加減をしない。

　10月6日水曜日　君よ、願いを叶えて。
　今夜は月の見えない日です。
　今年は2021年、来年は2022。今の君は何年の何月何日にいるのでしょう。
　月がない夜は、月を見上げて、真っ暗な夜に
　わたしはこっそり、夜のお祭りをする。

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　陽の光が欲しくなってくると、外へ出掛ける。
　夏と間違えていると、光が少ないから。夏よりも強めに光って歩いてね。
　今年の、色づいた柿を忘れないで。それから
　願いを続けて。明日も。
　わたしはお話を考えてくる。

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　古い書物になれたなら、君に何を話そう。
　こころに似合う頁を開いて。わたしには、限りがある。

　一日目。終わり。