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野薔薇が蕾を付けました。育ての親として蕾の気持ちを代弁してみます。

 拝啓

 今日は些細なことなんですが、いつも些細なことですが、報告させて下さい。

 野薔薇が蕾を付けました。

 わたしはとても嬉しいですし、野薔薇の蕾は単純に可愛い。だけど野薔薇の蕾はこんなこと思うかもしれない。

 蕾から言わせてもらいますと
 あなたはそんなに喜んで驚いて
 わたしもうれしいけれど、一言いうと
 わたしは昨日今日突然この世に出現したわけではないのですよ
 
 いつかふくらんでやろうと思って
 あなたは比較的まめまめしく水をくれて
 光を浴びせてくれているけれど
 わたしはわたしで必死に土の中の水を吸って
 寒い日は、ここで凍えるわけにいかないと思って
 
 あなたがカーテンを開け忘れた日も
 影にいるなりに光を集めた
 あなたはわたしに話し掛けました
 謝っていることが多かった
 
 もう少しふくらまないと咲けないから
 まだ油断はできません
 わたしは鉢植えの野薔薇だから
 わたしが咲いたら、あなたは
 自分の力だとおもって、喜んで下さい

 その通り、その通りだから
 どうかわたしがこの鉢の中で生きていることを、忘れないで

蕾の気持ちを代弁してみる

 思うかも知れない。
 わたしはこの野薔薇が咲いてくれるように、朝に夕に、様子を見ます。
 わたしは少しくらい酷い環境の中でも、勝手に生きる強さも持っているけれど、やっぱり光が感じられなくて、倒れそうな気持ちの日もある。

 みんな野薔薇。
 だから胸には水と光を。 草々不備

 令和4年2月16日 水曜日付
 Y.J




11.729光年彼方へ枯渇しても愛を湧かす


難しいです……。