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鬼のミイラに会いに行った。

  5年ほど大分県北に住んでいて、周りは寺社仏閣や歴史好き観光に詳しい人も多いのに「見に行った。」という話を誰からも聞かない場所に行った。

『鬼のミイラ』があることでコアな方面で有名な、十宝山大乗院という真言宗の寺だ。

ミイラ嫌いなのになぜ見に行く気になったかと言えば、自分に輪を掛けて好奇心旺盛な姉が旅行に来ていたのとその寺の近くに住んでいる友人に軽く薦められたから。

幼稚園の時に、国立科学博物館に遠足で行きミイラの展示を見るという恐怖の通過儀礼がありそれ以来大の苦手。

『鬼のミイラ』なので、国立科学博物館で対面した本物のミイラとは別物だろう。

ということで、拝んでみることにした。

全国的に『鬼の手』とかあんまり深刻じゃないトーンの珍名物・遺物はあるし、その位のノリで行ったらどうも違った。

駐車場に車を停めてお堂に上がる石段の下に行くと、トップ写真の説明看板とお清めの塩が置いてあってあんまりポップな雰囲気ではないことが判明。

人気もないので心細い気持ちで、石段を登りきるとかなり新しい綺麗なお堂が建っていた。(これも想像と違った。)

境内には弘法大師像やお地蔵さんがあり、お参りを済ませてからお堂に入った。

中は綺麗な畳敷きで、冷房と空気清浄機が完備されていた。自宅の一部を解放している雰囲気だ。

ご本尊にお参りをしてから、いよいよ向かって右側に座している鬼のミイラを拝んだ。(撮影禁止。)

顔がすごく大きくビックリしたような表情で、あばら骨のようなものがゴツゴツと浮き出ていた。

体育座りしているような形で安置されているが、伸ばしたらかなり大きそうだ。
(実際2m近くあるそうだ。)

そもそもミイラ苦手だし、あんまり凝視するのも何なのでそれ以上はよく見てない。が、やはり正直気持ちの良いものではなかった。

ただ、地域でも大事にされている存在だということなので姉と線香をあげ手を合わせてご挨拶をして帰ってきた。

その後は宇佐神宮に行ったりまた別の寺に移動したりと、鬼のミイラを振り返る間もなかったが

夜、寝る前に
「それで、あれは一体なんだっだんだ?」
とふと思い出したら気になって仕方がなくなった。

止せば良いのにいろいろweb検索してみた。

当然あれは、動物の骨や土面や何かを繋ぎ合わせて細工して作ったものだと思っていた。

が、

X線で科学的調査をした時に一部女性の人骨が入っていることが判明した。

という、記載を見つけて一気に怖くなった。

鬼という異形の存在として人生を全うした、身体の大きい女性が居たんじゃないか。

その一部を繋いで、ミイラにしたんじゃないか。。

妄想が恐怖を呼び、恐怖が妄想を呼ぶ。

久しぶりに、タオルケットを頭まで被って布団に入った。

やっぱり幼稚園の頃とあまり変わっていないようだ。

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