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【読了】モリさんの狩猟生活

先月、東京の姉との物流交換で手元にやってきた本。

こちらで、よく罠にかかった鹿や猪の肉を頂いたり解体を手伝いに行く機会があるというのを知っていてか送ってくれた。

『モリさんの狩猟生活 群馬・奥利根の名クマ猟師が語る
語り:高柳盛芳 文:かくまつとむ 出版:山と渓谷社
「いくら鉄砲がよくてもクマは獲れねえ。クマはな、度胸で獲るんさ−。」群馬・奥利根の名クマ猟師・モリさんこと高柳盛芳が語る狩猟生活。高齢過疎化、獣害…。「野の人」は時間の変化をどう見てきたのかをあらためて問う。
最近注目をされている狩猟についての知識&技術、猟師になるための方法などを、長年群馬県奥利根で熊、鹿、イノシシなどの猟をする高柳盛芳氏の経験をもとに解説。これから猟師をめざす人、狩猟に興味のある人へ贈るハウツー本。そのほか、山菜、イワナ、マイタケなどの見つけ方や採り方と調理法、狩猟の道具(ライフルやナイフなど)も紹介。

             ーハイブリット書店サイトhanto 紹介文より

狩猟のノウハウや大物との歴戦についてなど臨場感たっぷりに語られていて面白かったが、それ以上に興味深かったのが山に沿う暮らしと狩猟に対しての考え方。

幼い頃から罠を手作りで仕掛けてはうさぎやスズメを狩り遊び、家計の足しにしたり食料として活かす暮らしをしてきた。

山菜採りにキノコ狩りもレジャーではなく生活に基づくもの。親から子へ心身を駆使し実地でしっかりと受け継がれてきた。

そういった知恵を受け継いでいる人が、私の住む里山ひいては日本中でどのくらいいるのだろうか。この語り手のモリさんも60代半ば、これより若い世代のではガクッと数が落ちるだろう。

なんとかして、その知恵をアーカイブできないものだろうかと思うがその土地の自然と人あってこその知恵なので「知恵」だけ残っても意味がないのだろう。

それと、近年増加し続けている獣害に関して
・本来、自分の家の作物は自衛するものなので罠を自力で仕掛けるくらいの努力をして欲しい。
・自力の先に、猟師や猟友会を頼るくらいならば良いけど。

というモリさんの見解で、その通りだと思った。

そもそも、日本の山にオオカミが居た時はこんなに鹿も猪も増えることができなかった。人間がオオカミの代わりをすることは出来ない。

変わっていく環境に合わせて他力ではなく自力で考え工夫をして生きていくことが、狩猟や罠に限らずこれからは必要なのだと強く感じた一冊だった。

ちなみに、私がごくたまに解体をお手伝いするお宅も猟師さんではなく農家さんだ。まさに、作物の自衛のために罠を仕掛けている。掛かった獣は責任を持って解体し、そのノウハウ(知恵)もお肉もシェアしてくださっている。大ぴらには出来ないが、本当に素晴らしい取り組みだ。

私も、環境維持と勉強のために罠免許だけはどこかで取得してみようかと思う。

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