修学旅行のおもいで~ヤドカリの宿借り~
私の高校時代の修学旅行は沖縄だった。
ふつう高校の修学旅行って3泊4日くらいだと思う。しかし、我が校は2泊3日で沖縄満喫ギチギチスケジュールであった。
沖縄と言えば、海!もちろん日程の中に海系イベントが埋め込まれていた。
沖縄に行ったのは9月末。まだ台風シーズンで、案の定台風が直撃した。
直撃と言っても直撃したのは夜だったので、日中は雨に降られることは無かったが波に影響がモロに出た。
海系イベントはダイビングかグラスボートか選べたので、私はグラスボートを選んでいた。
「台風の影響でグラスボートは中止です。なので浜辺で貝殻を拾って写真立てを作ります。ダイビングはできます。」
とのことだった。
ダイビングの方が危なそうなのにボートの方が危なかったらしい。
私は思ったより青い海じゃないな~と思いながら浜辺で貝殻を拾うことになった。(これも台風の影響で濁っていたらしい)
ただ、関東に帰って沖縄に思いをはせながら東京湾を見たら、沖縄の海がとても青かったことに気づいた。
ダイビング施設のお姉さんが写真立てづくりの面倒も見てくれたが、そのお姉さんがとても女子サッカーの澤穂希さんに似ていた。今にも海に飛び込みそうなスタイルでめちゃくちゃカッコイイ女性だった。
友人と貝殻を一生懸命拾っていると、フレンドリーな沖縄の澤穂希が「見て!」と手を出してきた。
そこには数匹のヤドカリがいた。
虫全般苦手な私は甲殻類もちょっと苦手なので叫びそうになった。
でも叫んだら沖縄の澤穂希とヤドカリに失礼すぎる。
ヤドカリを見たのは人生で初めてだったので、少し観察した。
友人と「ヤドカリってけっこう小さいんだね」「こんなにゴロゴロいるもんなんだね」などと話していたら、友人がヤドカリの貝殻の部分を持った。すると、貝殻から本体がポロっと出てきた。
宿を追い出されるヤドカリ……
宿を借りていない、何物でもない生き物になってしまった。
なんて残酷なことを……と思ったが、貝殻を近くにおいてやると中に戻ったのだった。頭がいい。
証拠写真と言いたいところだが、分かりづらい……
写真同好会に所属していたのにデジカメしか持っていなかった私は、一眼レフに対抗して写ルンですを沖縄に持っていった。
写ルンですは接写に向いていない。ボケボケの写真だが、写真中央の小さい丸い物体がヤドカリちゃんだ。
この沖縄の浜辺でヤドカリが宿を出る瞬間と借りる瞬間を見れたことは、修学旅行の心に残った出来事トップ3に入る。
その他の出来事は、美ら海水族館で触ったナマコの柔らかさと、そうめんチャンプルーとゴーヤチャンプルーと麩チャンプルーの味がすべて違ったことだ。
おわかりいただけただろうか……もちろん人の頭っぽい黒い影は正真正銘生きている人の頭だ。
現像してもらったネガフィルムを家でデータ化したために、どんよりとした心霊写真みたいな写真になってしまった。
じゃあデジカメなら…と思ってデジカメのデータを見てもどんよりしていた。曇っていたからだ。
ヤドカリの宿の話しかしていなかったが、我が校が借りた宿は朝食ブッフェにマンゴーがある良いホテルだった。
今は自由に旅行ができないけれど、次沖縄に行けるならまたヤドカリを見たり、今度はダイビングしたりグラスボートに乗りたいなと思う。
戴いたサポートは自分の勉強のために使わせていただきます。