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体が弱い人の生きる道。

僕は、昔から体が弱かった。

体が弱いというのは、体調を崩しがちとか怪我をよくするとかそういう話ではなく、身体機能が弱かった。

既にもうかなり弱くなった視力。
慢性的なアレルギーを持つ鼻。
大きな音に耐えられない耳。
すぐに様子がおかしくなる三半規管。

眼鏡やコンタクトが無ければ頼りにならないし、季節になればマスクなしではいられない。

ライブにいけば軽く耳を塞ぎながら聞くし、船や飛行機なんてとてもじゃないけど酔いが酷くて乗れない。

仕事をするにも、恋愛をするにも、身体機能の優劣でかなり行動の幅に差が出るんだろうなと、最近はひしひしと感じている。


仕事はまだいい。

自分の体質に合った職場なんて、いくらでもある。

何回か転職してれば、それなりに自分の体質に合った職場や部署に落ち着いて、そこで自分に無理のない仕事を覚えていくもんだ。


でも恋愛って、明らかに身体機能が強い人が楽しんでいるように思う。

女性の体って男性よりも丈夫にできてるっていう話はよく聞く。

体が強い男たちは、きっと彼女と飛行機で行きたいところに行ったり、フェリーで旅をしたり、耳の様子なんか気にしないでアトラクションやライブで飛び跳ねたり、激辛のラーメンなんか食べてふざけあったり。

いいなぁ。

刺激を受けたい人生だったな。

ライブに行くたび耳をふさぐ彼氏と一体誰が付き合いたいものか。
海外旅行にも連れて行ってやれない彼氏と一体誰が付き合いたいものか。
激辛にも激甘にもチャレンジしない彼氏と一体誰が付き合いたいものか。

明らかに自分より弱そうな彼氏と一体誰が付き合いたいものか。


僕は静かな川辺で、ひとり本を読んでいるだけで今も充分幸せだ。

本は良い。

川辺にいるだけでいろんな世界に連れて行ってくれる。

爆音が怖くて入ったこともないパチンコ屋。
飛行機や船に乗らないと行けないたくさんの国々。
体が強い人しか入れない警察学校。

僕には歩めない人生がそこにはたくさん詰まっているのだから。


おかしいなぁ。

こんだけ器官が弱いんだから、気持ちだけはいつでも強く、前向きでいようってずっと昔から決めていたのに。

いつからこんなに中身まで弱くなっちゃったのかなぁ。

悔しいなぁ。


つらいなぁ。

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