食ライターの本棚 part.2
思いつきで"食ライター"という肩書きを作ってみました。
本好きにとって、他人の本棚って気になりますよね。同時にライターとして、同業者の愛用ガジェット(資料用の本も含む)なども気になります。だからこそ、この連載企画をやってみようかなと。
私はかれこれ13年ほど食に関する記事や台本を作ってきました。そんな中、資料や知識の源としてお世話になった、「食に関する本」をサラッと紹介していきます。
図解 人類の進化
本書は2009年に講談社から単行本として刊行された『絵でわかる人類進化』を、新書版として2021年に再刊行したもの。
遺伝学者の斎藤成也先生を中心に、海部陽介、米田穣、隅山健太各氏が本文を執筆。人類の進化が図表を用いながら総合的に解説されています。
さて、食に関する記事を書くのと何が関係あるの?と思う方もいるかと思いますが、意外とこれが大事。動物は食べ物無くして生きていけません。
出アフリカだとか、気候変動だとか、そういうことを繰り返して現生人類が生まれています。その流れを知ることで、食文化の形成にいたった背景をよりリアルに理解することができるのではないかと思っています。
目次を見ると、どうも小難しそう…と思いますが、もともとは絵で解説するのがコンセプトだった本であるため、サラッと読めるボリューム。それでいて要所要所をしっかり捉えた内容だと思います。
人類は肉食を始めてから脳が発達するようになった…とか、なるほど〜と思える内容が詰まっています。
そして、この本と合わせて読みたいのが次の本です。
魚食の人類史
これを上の本と合わせて読むと、本当に面白いです。タイトルにこそ「魚」と入っていますが、農耕文化にも触れられおり、人類誕生から現代に至るまでの食習慣にスポットが当たった本でしょう。
さらにいうと、ネアンデルタール人が生存競争に破れた理由、ホモ・サピエンスが世界中に拡散した理由、なぜ大河に文明が発達したのか、そういうことが分かってきます。
終章では日本人の魚食文化、鰹節菌、うま味、竜宮城なんかまで話は広がります。
これらの本に合わせて、前回紹介した「ファッションフードあります」も読むと、食文化の形成とは本当におもしろく感じます。
ちょっとした郷土料理や調味料がなぜ生まれたのか、なぜ愛されているのか?そんなことを人類史を背景に考えると、答えは簡単に見つかるかもしれません。