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なぜ事務処理を放置する公務員がときどきいるのか?

公務員が事務処理を放置して、懲戒処分されることが度々起きています。

公務員ってただ、書類をチェックするのが仕事なんでしょ?なんで自分の仕事さえできないの?周りは誰も気づかないの?って思うかもしれません。
今回はそのミスの構造について、個人的な見解を書きます。懲戒処分については、こちらにちょっと書いています。

1.仕事があまりにも属人的すぎる

地方公務員が所属する自治体の規模により大小はあると思いますが、網羅的に組織されていると思います。簡単に思いついたただけでも総務、企画、人事、福祉、土木、税務、衛生、出納などと、多岐に亘ります。どこの自治体にもこれぐらいあるのではないでしょうか。
また、組織には、部があって、課があって、係があると思います。一見すると、公務員はチームで仕事をしているっぽいのですが、実際は大きく異なります。
公務員の業務は住民サービス全体を包括し、かつ多岐に渡るので、事務分掌により、業務の分担を細かく分けられています。
それにより、各職員によって、細かく事務分担が割り振られています。○○担当と言ったら、この人しかいない。という状態が通常です。これは新規採用職員だろうが、ベテラン職員であろうが同じです。
係長などの中間管理職以上が細かい事務分掌を持つのはあまりないと思いますが、長年の懸案事項やトップからの指示事項があると、その事務を受け持つことがあります。また、小さい自治体だと、管理職であっても細かい事務分掌を持つことは珍しくないようです。

このような状態だと、何が起こるのかというと、○○事務について、庁内で精通している人ってその1人だけになるんですよね。
他の誰かに聞いても、「わからない」ってなるんです。
どうしても、知りたいことがあるとき、直属の上司ではなく、その前任に聞くことがよくあります。しょっちゅうあります。
それ以外にも、とある事務の担当職員がいないと、住民が来ても「あいにく担当が不在で・・・」っていう言い訳がまかり通るときもあります。(例外あり。)

2.なぜ公務員の仕事は属人的になるのか

ある公務員が○○の担当ねって言われたら、その事務の一切合切全てを請け負うことになります。
例えば、来年度から君は、○○補助金の担当ね。新規事業で来年度からやるからよろしく。って言われたら、

  • 補助金の予算要求、財政担当との予算折衝

  • 他自治体の動向調査、国省庁の動きを見る

  • 国省庁との補助金のヒアリング

  • 補助金交付要綱の作成

  • 国省庁への補助金の概算交付申請

  • 補助金の箇所付け(どこにどれだけの金額を割り振るのか)

  • 補助金申請の案内

  • 補助金申請の受付、内容審査

  • 補助金の交付決定

  • 補助金執行後の完了検査

  • 補助金決算業務

  • 国省庁への補助金交付確定申請(以下ループ。順番はこれどおりではないことがある。)

と、いうような一連の業務を全て担当1人で請け負います。もちろん、係としてチームで行うところ(補助金申請の受付等)は多少ありますが、細かい事務となる、補助金の予算要求、決算、交付申請、内容審査は担当職員が専ら対応することとなります。
ざっと上記をご覧になるとわかるかもしれませんが、公務員の業務は例えるなら「焼鳥の串刺し」のようです。とある事務に関して、一貫して業務を請け負います。各フローで担当が異なるではなく、一本串のように、全てのフローにおいて担当職員がメインになります。

なんで、こんなことになるのでしょうか。理由は3つあると思います。
1つは「公務員の組織体制が、定例業務にあってはボトムアップ型であること」(特命事項などは首長のトップダウンとなることがある。)
2つは「他の職員も同様に専任の担当事務をもっているから」
3つは理念的ですが、「担当が1人として、属人化することで、その担当の専門性を増すことができ、また同時に業務に対する責任感を芽生えさせることができる」
この3つ目がかなりキーポイントな気がします。個人的な見解です。

3.困ったらどうなるのか

順調に仕事をこなしていれば、この機能は正常に働くと思います。
しかし、ちょっとしたことで事務でつまづきがあったりしたらどうでしょう。
困ったら上司に相談すればいいのですが、これだけ1つの事務で多くの作業があると、上司に相談しても、細かいところまでアドバイスはくれません。
また、最近は、公務員の定数削減、同僚の休職等により、職場もゆとりが決してあるわけではありません。
過去例を調べて、同様事例を探してみる。前任に聞いてみる。同じような事務をやっている他の自治体に聞いてみる。と解決法は他にもあるかもしれません。
しかし、日々の業務で手一杯だと、そこまで手が回せるでしょうか。

人手が足らず、他の業務を回していたら、いつの間にか定時を過ぎていた。外はもう真っ暗。今日も何もできなかった。

今やっている、あの事務の案件。どうしよう。早くやらないと。でも、そもそもなかったことにできれば。。。。

と魔が差してしまう前に。。。。

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