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season3 30話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)

26.『激突! チャンピオン・ネモ
~チャンピオンロード、決着~』

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 みんなを回復させ、オモダカと共にリーグの入り口に行くと、

「ヨーコ!」

 元気な声と共にネモがやってきた。

「ネモさん!」
「言わなくてもわかるよ。チャンピオンになったんでしょ!」
「うん!」

 うなずくヨーコ。

「ピーカチュ!」

 ぴっかりさんがどや顔で出てくる。いたずらっぽく笑うネモ。

「えへへ、知ってた」
「え、なして?」
「ヨーコが実技試験終わったころに、トップから連絡もらってたんだ」
「なあんだ」

 オモダカを見て笑うヨーコ。オモダカもクスクス笑っている。ぴっかりさんはちょっとすね顔。
 ネモ、真剣な顔になって、

「わたしはチャンピオン! ヨーコもチャンピオン! 今のわたしたちは同じチャンピオンランク! つまり対等な関係なんだよ!」

 深呼吸するネモ。

「……と、いうことで、改めて」

 微笑むネモ。

「──わたしの、ライバルになってください!」

 ヨーコ、少し驚き、でもすぐに照れ笑いして、

「──うちでよければ、よろこんで!」
「──や・っ・た・ー・っ!!」

 ネモ、一呼吸おいて大喜び!

「もうライバル同士だもん、心置きなく勝負できる! それじゃさっそく……、わたしの本気ぶつけるよ!」
「チャンピオン・ネモ、お待ちください」

 構えるネモを止めるオモダカ。

「あ、トップ! どうしたんですか?」
「チャンピオン・ヨーコとピカチュウたちは、チャンピオンテストを終えたばかり」

 オモダカ、周囲を見回し、

「それにもうこんな時間です。チャンピオンなら、相手への思いやりも大切になさってね」
「うっ、そうでした……。いっつも忘れちゃう! ごめんねヨーコ、ぴっかりさん」
「ううん。明日やろう」
「ピーカチュウ」

 笑うヨーコ。許してやるわよ、な感じで鳴くぴっかりさん。

「それに、対等なライバル同士の記念すべき初めての勝負が、こんな道端でよろしいのですか?」

 オモダカに言われ、ネモ、ヨーコ達に首をかしげ、

「えっ、あー、そう言われると……、たしかに?」
「うん……」「ピカ……」

 うなずくヨーコとぴっかりさん。
 ネモ、オモダカに向き直って、

「それじゃ、ポケモンリーグのバトルコート貸してください!」

 しかしオモダカ、少し考え、

「ふむ……、おふたりにとって、もっとふさわしい場所があるのではないですか?」
「えー! わたしたちにふさわしい場所?
 ……どこだろ? ヨーコ」
「うーん、ネモさん家の裏のコートは?」
「アハハ! うちの裏か! 初めて勝負したもんねー。でもわたしにとっては身近すぎて、ちょっと特別感がないかもなー」
「ほうかね……」

 笑いながら言うネモに、ヨーコ首をひねる。

「ヨーコ、他に候補ない?」
「うーん……」

 と、初めて階段を登った時に見た、テーブルシティの真ん中が思い浮かぶ。あそこなら……。

「テーブルシティの真ん中んとこは? バトルコートあったじゃろ?」
「テーブルシティ……、いいね! わたしたちが旅立った場所!」

 ネモも大きくうなずく。

「じゃろ? いつかあそこで勝負出来たらと思うとったんよ」
「わたしも!」

 ネモ、しみじみ目を閉じ、

「ねえヨーコ……、クラベル先生が言ってた課外授業、自分だけの宝探し、覚えてる?」
「うん、もちろん」

 ネモ、嬉しそうに、

「わたしにとっての宝は、本気の力をぶつけあえる対等なライバル……、きっとヨーコの存在だったんだよ!」
「えっ、ちいと大げさすぎやせんかね……」

 照れるヨーコ。

「大げさじゃないよ! 本当だもん!」

 ネモ、言い切る。じわじわ嬉しさが込み上げるヨーコ。

「そういうわけでヨーコ、明日の朝9時、テーブルシティ中央広場! バトルコートで待ってるからー!」

 手を振り去るネモ。

「うん、おやすみー!」

 ヨーコも手を振り返す。

「互いが互いを尊敬できる。……うらやましい関係ですね」

 オモダカ、優しい目で見送っている。と、

「トップー! ヨーコー!」

 入り口でチリとポピーが手を振っている。アオキも一緒。

「仮眠室確保したでー!」
「あんないするので、こちらにどーぞー!」
「参りましょうか。今夜はしっかりお休みしなければ」
「はい!」

 ということで、3人が仮眠室を案内してくれる。トイレ&シャワールームつきという至れり尽くせり使用に驚くヨーコ(ハッサクは先にアカデミーへ。アオキはオフィスの方に泊まるとのこと)。

「え、お部屋使わんで大丈夫なんですか?」

 ヨーコが聞くと、アオキ、オモダカをチラリと見て、

「お構い無く」
(あ、嫌なんじゃねこれは)

 部屋に入ろうとすると、よく知った優しい声が。
「ヨーコ」

 振り向くと、周作だった。ハネすけもひょっこり顔を出している。
「ハネ!」
「ハネすけ、お父さん……」

 色々込み上げてきて、ぎゅ、と抱きつく。

「なんじゃあ。新しいチャンピオンさんは、甘えん坊じゃのう」

 優しく撫でながらもからかう周作。見守る相棒2匹。

「え、お父さんも知っとるん?」
「ついさっき、トップから知らせてもろうたんじゃ。……おめでとうヨーコ。お疲れさん。
 向こうの父ちゃんと母ちゃんも、きっと喜んどるで」
「──うん!」

 オモダカも交えてネモとの勝負等を色々話し、周作とハネすけ、一旦家へ。

「お母さん達にも伝えとってねー!」
「ああ!」
「ハーネー!」

 仮眠室でシャワーを浴び、ベッドに潜り込むヨーコ。

「勝負楽しみなねえ、ぴっかりさん」

 ぴっかりさんのボールに声をかけ、眠りにつく。



 翌朝。身支度してるとオモダカが(ここでノースリーブシャツ目撃し顔を赤らめる)。

「朝食、ご一緒していただけますか?」
「恐縮です!」

 とたんに鳴り出す腹の虫。

「ポケフードもありますよ」

 ということで、まだ誰もいない食堂にて互いのポケモン達と共に簡単な朝食を取るふたり。

「あ、ほうじゃトップ、あのですね……」
「はい」

 ボタンのことについてお礼を言う。オモダカからは気にしない、良い友人ですね、みたいなことを言われる。改めてお礼を告げるヨーコ。
 それから片付けをして、リーグ入り口へ。

「私トップとは呼ばれていますが、チャンピオン・ネモは私との最終試験ですら力を温存しておりました」
「なんと……」

 オモダカ笑い、

「貴方になら、彼女も本気を見せてくれそうですね」

 オモダカ、クラベルを呼び出すということでオフィスへ戻る。ヨーコ、リーグを出て走り出す。
 でも待ちきれなくてミライドンにライド!

「ミライドンさん、うち、ネモさんと勝負するん! ボールの中から見とってくれる?」
「アギャス!」

 ミライドンも嬉しそうに返事する。
 そしてバトルコートが見えてきて、ミライドンが降りて歩くヨーコ。
 ネモの後ろ姿が見えてきた。



 ネモ、今までのことを回想する。自分がパルデアに来てからチャンピオンになるまでの道筋、そしてヨーコとの日々。

「もうすぐだよ……」

 ボールに語りかけるネモ。

「──ネモさん」
「あ!」

 振り向くネモ。

「──来たね、ヨーコ」
「──うん」
「チャンピオン同士のポケモン勝負、噂を聞き付けてみんな集まってきたみたい」

 アカデミーやそこいらから、バトルコート周りへやって来る。チリとポピーは一緒に見守っている。

「ありゃ」

 照れ隠しに笑うヨーコ。

「ここにいる全員! みーんなの中で……、わたしが一番楽しみなんだよ」

 ふたり、目線を交わしながら位置につく。
 オモダカとクラベル、少し離れたところで見守っている。ハッサクは生徒に混じって、その後ろでこっそり帰るアオキ。入れ替わりにやってくる周すずとハネすけ。

「舞台は整った!
 ──わたしの本気の力と……、実ったきみの力……」

 お互い、最初のポケモンのボールを出す。

「どっちが強いか勝負しよっ!」
「──望むところじゃ!」

 笑顔で叫ぶヨーコ。互いに最初の一体! ルガルガン対ぴっかりさん!

「ずっとずーっと待ってたの! 最高の勝負……、始めるよ!
 ルガルガン、ドリルライナー!」

 ぴっかりさん、さっそくもろにくらってさっそくピンチ!

「ぴっかりさん!」
「きっつい一撃、どうだ! 本気出せるって楽しい!!」

 でも持ちこたえるぴっかりさん。特性せいでんきでまひになるルガルガン。ただでは倒れてやらない。ニヤリとヨーコに笑うぴっかりさん。

「ぴっかりさん……」

 ヨーコ、決意し、

「一発当てちゃれ! アイアンテール!」

 力をふり絞り、まひで動けないながらもアクセルロックを出そうとするルガルガンにアイアンテールぶち当てワンパン! 倒れるルガルガン。

「お返しじゃあ!」
「最初に教えたタイプ相性がわたしをピンチにするなんて!」

 驚くが嬉しそうなネモ。
 2体目、ミミズズ対ポンさん。ローキックかまして効果抜群。しかしミミズズ、倒れずアイアンテール。ポンさん、くらった勢いでバック転しツタこんぼうかますもいまいち。
 アイアンテールかわし下から滑り込みローキック! 倒れるミミズズ。
 3体目、ヌメルゴン対ヒナじろう。
 ヒナじろうさっそくルミナコリジョンで特防下げる。りゅうのはどうに耐えマジカルシャイン! でも倒れないヌメルゴン。りゅうのはどうでピンチ! だがすぐにマジカルシャインでとどめ!
 4体目、パーモット対まんじゅう。
 れいとうパンチで効果抜群! がんせきふうじで少しだけ動きを封じ込むも、パーモットはインファイトで砕き勢いそのままれいとうパンチ!
 急所に当たってピンチ!

「絶対に負けたくない! その思いでつかんだ急所!」
「さすが……」

 顔がひきつりつつも笑うヨーコ。しかしもちこたえるまんじゅう!

「パーモット! れいとうパンチ!」
「でかしたまんじゅう! じしん返したれ!」

 間合いに入った瞬間じしんでワンパン! 倒れるパーモット。
 5体目、ノココッチ対ゴンさん。
 ノーマル同士の戦いにお互い考え込む。先に動いたのはノココッチ。とぐろを巻くで攻撃防御命中率を上げる。ゴンさん、はらだいこで最大まで攻撃上昇。ノココッチ、再びとぐろを巻くで能力上昇。攻撃にそなえる。ゴンさんのしかかり。やはり倒れないノココッチ。
 ためにためた攻撃力でドリルライナー! 倒れるゴンさん。ポンさん続投。ドラゴンダイブをくらうがハイパードリルをいなしてツタこんぼうでとどめ!
 いよいよ最後の6体目、

「最後はこの子か……、ベストを尽くしてくるんだよ!」

 ボールに語りかけ、ラウドボーン出すネモ!

「真打ちのお出ましじゃ! 頼んだわっぷるさん!」

 ヨーコはわっぷるさん!

「ここ一番の大勝負! かがやけわっぷるさん!」

 わっぷるさんテラスタル!

「光れ、かがやけ! わたしの最高の宝物!!」

 ネモもラウドボーンテラスタル!
 アクロバットで削るも、フレアソングを放つラウドボーン。かわすが強力になったシャドーボールを当てられる。またまたアクロバットで撹乱。しかしシャドーボールがぶち当たりピンチに。

「けどこれでええ……。特性:げきりゅうの威力をくらえ! アクアステップ!」

 わっぷるさんアクアステップ!

「ラウドボーン、フレアソング!」

 放たれるほのおの鳥。それに打ち勝ち、急所にあてワンパン!

「ここ一番で当ててくる! ラッキー飛び越えて才能だよ!」

 そして倒れるラウドボーン。勝敗は決した。
 ネモ、ラウドボーンを戻し、そのまま腕で顔を覆う。

「お疲れ様」

 わっぷるさんを戻し、ネモを伺うヨーコ。
 みんなそれぞれ様子を伺う。ヨーコ、ネモに歩みより、顔を覗き込んで、

「──ネモさ」
「や……、やったー!!」

 喜びを爆発させるネモ。

「え……」
「すごい! すごいよ! ヨーコは最強だ! うれしいなー!」
「え、え?」

 戸惑うヨーコ。すずいっと迫るネモ。

「だってわたし本気で戦ったのに……、本気で……、──くぅぅー……。アーッハッハッハ!」

 大笑いして本当に嬉しそうなネモ。こっちまで笑顔になる。

「ポケモン勝負ってさあ! 思ってる以上にずっと! ずーっと楽しいよね!!」

 しみじみうなずくクラベルとオモダカ。

「ほうじゃね、ネモさん!」

 ヨーコうなずく。手を差し出すネモ。

「ありがとう! 次は負けない!」
「……うん!」

 ヨーコ、ネモと固い握手。周りから盛大な拍手。周すず涙目。

「さ! ヨーコ! ひと休みしたらもう一度! ポケモン勝負しよっ!」
「え」

 感動のシーンになったのに少しずっこけるヨーコ。やれやれ顔のクラベル&オモダカ。ありゃー顔の周すず。ハネすけはキョトン。

「あの、ちょ、ネモさん?」
「次はどの子で戦おうかなー!?」
「勝負! 勝負するけえ回復させてー!?」

 昼近くの空に、ヨーコの声が響き渡った……。



 Cパート。ネモから解放され部屋に戻ると電話が。

「はい、北條陽子です」
『よう、ペパーだぜ!』
「ペパーさん!」
『チャンピオンになって、ついでに生徒会長に勝ったんだってな! おめでとうちゃん!』
「うん、ありがとう」
『バウワウ!』
「マフィティフさん!」
『おわっ、跳びつくなって! ヨーコの声聞いてなんかはしゃいでる!』
「あはは……」
『あ、そうだ本題! エリアゼロに行くって話、オマエ覚えてるよな!?』
「そりゃもちろん!」
『だよなー! さすがの記憶力ちゃんだぜ!
 ヨーコがいろんなトコでいろいろがんばったおかげでさ……、エリアゼロに同行してくれる仲間をふたり確保できたぜ!』
「良かった! ありがとうペパーさん」
『へへ! こんだけ人数そろえりゃあ文句ねえだろ! 明日の朝6時! エリアゼロに向けて4人で出発だー! 取りあえず集合しようぜ!』
「うん! どこに行けばええ?」
『ゼロゲートって施設で待ってる。位置情報送るからそこに来いよ! 待ってるからなー!
お疲れちゃーん!』
『ワワウ! ワウ!』

 電話切れる。ぴっかりさん出てきて話しかけてくる。

「ピカ?」
「うん。また冒険じゃ」
「ピッカチュウ!」

 目を輝かせるぴっかりさん。

「行き先はパルデアの大穴……。しっかり休まんとね」

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