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season1 26話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)

26.『シーの劇薬』


 翌日、前にピケタウン近くにあったのを確認したスター団どく組「チーム・シー」のアジトへ向かうヨーコ。
 しるしの木立に入っていくと、アジト近くにネルケが。

「ヨーコ!」
「ネルケさん?」
「そうだ、今のオレはネルケ。素晴らしい適応力だぜ」
「はあ」
「いい機会だ……、この前話そびれた続きを聞いてくれ」

 居住まいを正すヨーコ。

「オレがスターダスト大作戦をしてるのは、スター団の問題と謎を探るため、スター団に入っている生徒達の不登校の理由を知るためだ。団を解散させたいカシオペアと利害は一致してるしな。実際、ヨーコとスターダスト大作戦に加われてスター団に近付くことが出来たし、団のやつらと話してわかってきたこともあるんだ。
 だが、もう少し情報が欲しい。そのために、残るチームのスター団たちとも話がしたいんだ」
「……なるほど。それは、うちもちょっと気になります」
「そうか。感謝する。アジトに挑むなら力貸すぜ。またな、ヨーコ」
「……謎が謎を呼ぶ、かね……」

 腕を組みながら歩いて近づいていくと、何やら揉めている。

「……いい加減帰ってくれない?」
「やだ! どく組ボスのシュウメイ殿に会いたいんだ!」
「だからさ、本人に言われてるの! 団員以外は誰も通すなって!」
「絶対会う! シュウメイ殿とおはなしするんだ! ヒロノブって言えばわかるから!」
「勘弁してくれよ、もう……」

 訝しみながら近づくヨーコ。

「あのう……」
「あれ?」
「あーあ、また誰か来ちゃったよ。スター団の新人ってこんなにめんどいんだ……」
「……まって新人さん! この人ってヨーコじゃない?」
「え、ヨーコって……、うちらにケンカ売ってるヤツ?」
「はい、カチコみしとります北條陽子です」

 ヨーコが名乗ると、キッ! とにらむヒロノブ。慌てる新人したっぱ。

「……やはり!」
「わわ、ヤベえー! 昨日オールでゲームしてたし、アジトのヤツら、絶対寝てる……」
(平和過ぎる……!)

 思わずツッコんでしまうヨーコ。

「……ここはまかせて! 新人さんは仲間を起こして!」
「はっ? なんでオマエが?」

 申し出るヒロノブにいぶかる新人したっぱ。

「アジトがむぼーびだと、シュウメイ殿もあぶないんでしょ!」
「あんた、なんでそこまで……?」

 思わず聞いてしまうヨーコ。答えるヒロノブ。

「シュウメイ殿は恩人でありぼくの同胞……!
 危機には万難を排し馳せ参じるが道理なんだい!」
「……!」

 ヨーコ、目を見開く。

「ちょっとなに言ってるかわかんないけど、助かるぜ!」

 アジトに戻る新人。

「同胞を狙う奸物めは、ぼくが相手になるぞ!」

 ヨーコ、ひとつ息をつき決意した顔で、

「わかりました。お相手お願いします」

 自分に活を入れるヒロノブ。

「キエエエエイ!」

 そして、

「やるぞ相棒!」

 ゴクリンを出す!

「まんじゅう、露払いじゃ!」
「ドオオー!」

 ヨーコ側、まんじゅう登場!
 マッドショットで効果抜群を狙うが、たくわえるをされ仕留めきれず。

「固い……」
「はきだせ!」

 ゴクリンからはきだす攻撃をくらうまんじゅう。しかし防御と特防が下がったのをついて、

「マッドショット二発目!」

 今度こそ仕留める。
 ヒロノブ、次、シルシュルー。

「進化前のルーさんか……。何度かやって弱点知っとるわ!」

 マッドショットを放つが、かわされきりさくをうける。急所に当たる。

「なら、まんじゅう、地面に向かってマッドショット!」

 滑りやすくし、足をとられたところを仕留める。

「敗軍の将は兵を語らず……、シュウメイ殿……、ごめんなさい」

 まんじゅうを回復させながらヒロノブを黙って見るヨーコ。
 そこでネルケが。

「ヨーコ、大丈夫か!」
「ネルケさん!」
「アジトを見張ってたんだが、急に騒がしくなったんでな。こっちで何かあったのかと気になって来たんだが……」

 うめくヒロノブ。

「ううっ……! ここで新手だなんて……!!」
「彼は……、うちの生徒? スター団ではなさそうだが……」

 ネルケが聞くと、ヒロノブ、しっかりと顔を上げ、

「スター団ではないけど……、シュウメイ殿はぼくの同胞! どうしてもあの人に会わなきゃいけないんだ!」
「……訳あり、みたいだな」
「ええ」

 うなずくヨーコ。

「ちょっと話を聞いてみるぜ。ヨーコは先にアジトを頼む」
「はい」
「さあ行こうぜあんた。悪いようにはしないからさ」

 ネルケ、ヒロノブと別の場所へ。
 それを見送っていると電話が。

「はい、ヨーコです」
『カシオペアだ。スター団のところに来ていたようだな。見張りに対処できたか』
「はい」
『そのアジトに集まっているのは、スター団どく組……、チーム・シー。
 ボスのシュウメイは、手先が器用な服飾担当。ちょっと……、一風変わった男だ』
「はあ」
『彼の行動は予測不能……。こちらの宣戦布告に対しどう出てくるかは不明だが、シュウメイが現れるまで可能な限り団のポケモンを減らすんだ。
 準備が出来次第、ゴングを鳴らして大作戦開始! チーム・シーにカチこんでくれ』
「わかりました」

 ボールを出し、

「みんな、ええかね?」
 ボール内でうなずくみんな。ゴングを鳴らす。



 鳴り響くスピーカー。
『とうとううちのアジトにもスターダストなんとかがやってきました! 他のチームのカタキをとって、みんなで輝きましょうー!
 10分以内に団のポケモン30匹倒せたら、ボスもお前を認めるかもな!!』

 ということでレッツゴー勝負開始。

「観念せいやおりゃあ!」

 ネルケから遠いところでどくにやられるも、回復方法があることを思い出し素早く観察。自販機へ。無事回復。再び蹴散らす。

「オレたちじゃかなわない! ボスを呼んでくるんだ!!」

 音がしてスターモービルとともにシュウメイ登場。

「……シュウメイ、推参。ユーがヨーコか」
「はい、北條陽子です」
(確かに変わっとりんさる。不覚にもかっこええけど)

「スター団に仇なす不届き者、我がポイズンにて蝕んでくれよう」
「──いつでもどうぞ」
「シュウメイ! 推して参る!!」

 シュウメイ、スカタンクを出す。ヨーコはぴっかりさん。

「我が来たからには、不届き者は成敗するのみ!」

 ぴっかりさんエレキボール。しかしどくどくをくらう。進まないうちにあなをほるを食らわすもベノムショックで倒れかける。
 回復するきのみをわたし休ませる。

「ごめんねぴっかりさん、休んどって」

 まんじゅうに交代。マッドショットで仕留める。
 次、ブロロローム。マッドショットを食らわすもじならしを返される。

「我が妙技にて徐々に蝕まれるがよい!」
「まんじゅう、がんせきふうじ!」

 動きを封じ、マッドショット! ブロロローム倒れる。
 次ベトベトン。とけるを使われる前にがんせきふうじ&マッドショットで完封。

「ポイズン食らわば皿まで! シュウメイこの命最期まで!!」

 シー・スターモービル登場!

「……かっこええね」

 素直に感心するヨーコ。自分でも不思議。

「じゃ、真打ちのために舞台作ろっかまんじゅう!」
「オオー!」

 マッドショットで滑りやすくしついでに体力削る。ニトロチャージを受けてお返しにがんせきふうじ。しかしどくびしがまかれる。

「特性、どくげしょう……」
「くっ……」

 なるべく体力を削るが、ニトロチャージであったまったホイールスピンにやられる。
 でも場作りは出来た!

「散らかしてしもうたけど、あんたの舞台じゃわっぷるさん!」

 真打ちわっぷるさん登場! どくをくらうも、まっすぐな目でうなずく。

「──さっさとかたをつけよう! テラスタル!」

 テラスタルしてみずのはどう。こんらんさせることに成功。動きも封じてあるので、思ったように身動きとれない。
 けたぐり。効果抜群ではないがかなり効いた。だいぶプスプスいっているスターモービル。

「重い相手ほど効く技じゃ!」
「敵ながら見事……」

 最後の一騎討ち!

「ホイールスピン!」
「けたぐり!」

 わっぷるさん、押し勝つ!

「勝ったぁ……!」
「みんな、すまぬ……」

 シュウメイ、回想。



「全身全霊とて抗えぬが定め……。定めは掟……。掟ゆえ、これを……。ユーになら預けられる」
「ありがとうございます」

 お辞儀し合う。ダンバッジをくれる。

「ダストをシュートする術、記されたカラクリをば」

 ダストシュートのわざマシンももらう。

「すみません」
「ユーの名は……、ヨーコだったか。恨み辛みも浮かばぬほど、鮮やかな完敗でござった……」

 称えられ、気持ちが動くヨーコ。
 と、

「シュウメイ殿!!」

 ヒロノブとネルケがやってくる。

「ど、同胞?」
「どうしてもあんたに会って、直接話がしたいそうだ」

 ヒロノブ、シュウメイに必死に、

「シュウメイ殿聞いて! ちょっとだけでいいんだ!!」
「……何故(なにゆえ)、ここに?」
「同胞を助けたくて! このまま不登校が続けば、シュウメイ殿は退学処分なんでしょ……?」
「……」

 沈黙するシュウメイ。肯定の意味だと全員悟る。

「いじめられっ子だったぼくたちが今学校に通えてるのは、スター団が頑張ってくれたあの大作戦のお陰! そんな人達が退学なんて、ぼく、いやなんだ!」
「……すまぬ」
「まだマジボスって人に連絡はつかないの……?」
「うむ、あの日以来……。
 マジボス殿がいなければ団はなく……、団がなければ、ウキウキアカデミーライフはなし! マジボス殿がご帰還されるまで、我らはアジトを守り続ける他なし!」

 ネルケ聞く。

「あんたたちがそこまで信頼してるマジボスってのは、一体誰なんだ?」
「我らは実際にマジボス殿とお会いしたことはないのだ。本人いわく引きこもりとのこと……。我ら同様、いじめが発端らしいが……」
「かわいそう……」

 同情するヒロノブ。思わずうなずくヨーコ。

「真の名も姿も知らぬが、我らの輩に変わりはない。我らはただマジボス殿のカムバックをアジトで待つのみぞ!」
「だから、シュウメイ殿は学校に行かないんだね……」

 うつむくヒロノブ。なんと言ったらいいかわからないヨーコ。ヒロノブ顔を上げ、

「……でも忘れないで! シュウメイ殿には、スター団以外にもぼくっていう同胞がいるんだって!」
「同胞……。……かたじない」

 ポツリとつぶやくネルケ。

「いじめ……、不登校……。また一歩真相に近づいたな。いやそんなことよりも……」

 ヨーコ、ネルケを見る。

「生徒たちが抱いている問題や……、行動理由……、そして大事な絆……。全く関知出来ていなかった自分が恥ずかしいです」
「ク……、ネルケさん……」

 ヨーコ、もにょもにょが確信へと変わっていく感覚。

「フッ……、スター団のみが至宝と信じてきたが……。……誤りだったやもしれぬな」

 マスクの下で、微笑むシュウメイ。



 アジトを出ると、電話がなってカシオペアが。
『……ヨーコ』
「カシオペアさん、終わったで」

 ダンバッジを見せるヨーコ。

『ふむ。確かに。これでボスがいなくなったチーム・シーは壊滅するだろう。
 ……シュウメイ』

 また物思いに耽っているらしいカシオペア。

『……すまない。色々と思うことがあってな。これで残るアジトは2か所……、スターダスト大作戦は順調だな。
 ──ヨーコにはこの作戦の最終目標を伝えておきたい』
「最終目標?」

 少し緊張が走るヨーコ。

『それは……、5人のボスを集めてスター団を作った真の黒幕……、マジボスを倒すことだ』
「ボスの人からよう聞いたけど、どがな人なんです?」
『5人のボスを率いる謎の人物。その正体はいっさい不明だ……。ヤツを倒し解散を宣言させれば、スター団は完璧に終わる。目立つことを嫌うマジボスは、アジトを持たず正体も隠している。だが、ボスが全員引退すれば、表舞台に現れるはずだ。
 ──約束の報酬だ。ヨーコのスマホにLPをチャージしておこう』
そしていつも通りLPとわざマシンのデータをもらう。

「ありがとうございます」
『強い技を覚えさせて、今後に役立ててくれ。
 ……まもなく補給班も着くだろう』

 少し間があってボタン到着。

「う、うーっす……、ヨーコ」
「ボタンさん」
「え、えと……、なんか深刻な話してた?」
「うん、まぁ」

 ミライドン登場。

「アギャッス!!」
「ミライドンさん!」
「うげげっ! あなたには聞いてないって!」

 ボタンの制止にお構い無く顔をなめるミライドン。

「ああぁぁー……!!」
「ミライドンさんストップ! ストップ!!」

 止めるヨーコ。その後カシオペアから伝えられたことを話す。

「黒幕の存在……。カシオペアからうちも聞いた。
スター団の創始者、諸悪の根元……、そいつを倒さないと、うちの宝は失われちゃう……」
「ボタンさんの宝? どういうこと?」
「あ、いや、その……。えと……、報酬! 忘れないうちに……、ん!」

 半ば押し付けられるように落とし物もらう。

「じゃ、渡したから」
「あの、ボタンさん……?」
「──ヨーコ……、負けないで」

 去っていくボタン。
 ますます謎が深まって首を捻りまくるヨーコ達。でもはっきりしたことならある。

「──晴美さんのお墓を荒らそうとしたことは許しとらん。けど……、でも……、悪い人達には思えんようになってきたし……、退学させとうなくなった」

 ボールの中でうなずくぴっかりさん達。

 学校に戻り、少し悩みながらぴっかりさん達。回復してもらうべく医務室へ向かう途中、エントランスにミモザ先生が。

「ミモザ先生!」
「あ、ヨーコ。ごめん、今医務室留守にしちゃってるー。あたしに用事だった?」
「ええ。ちょっとやりあって」
「ああ、ちょっと待ってね……」

 回復してくれた。

「はい、応急処置。すり傷切り傷こさえるほどよっぽど冒険してんだねー」
「ええまぁ。というか珍しいですね。医務室じゃのうてここにおるなんて」
「アハッ、ちょっとねー、勉強してんの。もっかい養護教諭の試験、頑張ってみようかなって……」
「えっ、すごい!」
「あ、言っとくけど、誰かさんが宝探しがんばってんのに影響されたとかじゃないからね! いやちょっとは関係あるかもだけど!
 ──だから、ちょっと感謝してたり……」

 そっぽを向いちゃうミモザ先生。嬉しいヨーコ。

「あ、そろそろ休み時間終わっちゃう! ヨーコ、応援しててよね!」
「はい!」

 微笑むヨーコ。
 部屋に戻りすずに電話。

『どしたん』
「なんとなく」

 ヨーコ、一旦言葉を切り、

「お母さん、あのね」

 かくかくしかじか。気分晴れる。

「正しいってことを色々考えんとね」

 翌日気分を変えるため、ハッコウシティでスマホロトムのカバーをピカチュウに変更。
 ぴっかりさんと笑い合っていると、電話が。

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