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日記;父母覚書

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脳内出血で倒れた父と認知症の母。もう亡くなりましたが、日記にしたためていたメモを後悔する事に意味を感じ公開します。
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2024年4月の記事一覧

父の顔

父の顔

「何をどう言ってもつまらんのぅ。」

と、父がふっと笑う。

その顔があまりに寂しくて

帰宅後も脳裏から離れない。

豪胆でまさに九州男児そのものだった父、

やんちゃを重ねた十代

そして、企業を興した二十代

転身して、経済より誇りを望んだ三十代

父の人生は(父が手記をとうの昔、現役の頃、わたしに預けたのだ)

まさに波乱万丈、そして、輝かしい業績を残した人生であった。

8年前、突然倒れ

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祖父へ

祖父へ

どうか・・わたしを、そして、あなたの息子とあなたが大事になさった嫁(わたしの母)をお見守り下さい。

おじいちゃん、おじいちゃん、泣き言を言わず、静かに息を引き取ったあなたに

似ても似つかぬあなたの息子、我が父は・・今日も今日とて、口角泡飛ばし、文句ばかり言っております。

七夕の短冊・・毎年同じ願い事なの。

*馬に乗って荒野を駆け巡りたい

まぁ・・裸馬で高校に通った悪童たる父ですから・・さ

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祖父よ 祖母よ

大樹よ
空よ
草原よ
山々よ

かの地は時隔てて遠くなりにけり

それでも
わたしに かくあれと
幼き心に教えて下さった
温厚なる敬愛する祖父の魂が
風に乗って聴こえてくるようです

 

母:回想

母:回想

お母さん、お誕生日おめでとう!

ぇっと・・何歳になったんだっけ?”

「38歳よ。わたしは、38歳から年を取らないの。」

遠い昔の記憶、母の名言。

洋装も和装も似合った母の並外れた美貌。

小中学校の保護者会、校長先生筆頭に男性教師達が色めき立ち

母を観に来ていたと、後に知る。

そんな騒動を・・我が兄は恥じ入っていたのだった。

昨日ホームで見た母の明朗さ、思いがけず観た闊達さー

車椅

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