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小雪舞う古都にて⑤”初詣”:私小説「クラブ活動と私」

小雪の降る中、ダブルデートのような八坂神社への
下見を無事(?)終えたオレ達4人。
そして迎えた12月31日、大晦日。


♪~~

口笛が聞こえる。
高らかに鳴り響く”ゼビウス”のファンファーレ。
金田かねだが迎えに来たらしいな。

アイツはいつも、ウチの前を自転車で通る時は
挨拶がわりにあの口笛を吹いていく。
少しはご近所のことも考えろよな、その口笛。
もう夜も9時前なんやぞ。

「おう、かみちゃん!行こか。」


オレは上村かみむら 博昭ひろあき、Y高の1年生だ。

で、コイツは金田かねだ まこと
近所に住んでる幼馴染で親友、いや腐れ縁かな。

今日はこれから創作部のみんなと二年参りだ。
場所は京都・八坂神社、そして平安神宮。
この企画を立案した小塚こづか先輩、そしてその親友で
オレの”憧れの人”でもある松川まつかわ先輩と4人で先週の
うちに下見は済ませてある。ルートはバッチリだ。
まぁ、まさか”あんなこと”になるなんて思っても
みなかったけど。
なんかまだ松川さんと目を合わせるのは照れくさい。
ってそれはいつものことか。

駅で他にも何人かと合流。今回は一旦大阪・梅田まで
出て、そこで全員揃ったら特急で京都へ移動する。
ウチの最寄り駅も乗り換えには便利だけど、そんなに
大きい駅じゃないから今回みたいに大人数になると
集まるだけでも大変だしな。


ほとんどの面子が揃う中、松川さんと村上の2人が
集合時間を過ぎても来ない。いつものことだ。
などと思っていたら村上がホームからではなく
駅の改札のほうなら走ってきた。
「何、どっか行ってたん、村上?」
金田の問いに村上は予想外の答えを返してくる。
「東京から戻ってきたところやねん。」
「はぁ?!」
思わず金田とハモってしまった。
K洋堂で模型の原型師を目指している村上は、どうも
その関係でコミケの売り子をやらされてたらしい。
「・・・寝れてる?」
ちょっと心配になって聞いてみる。
「帰りの新幹線でちょっとだけ。」
相変わらず不健康まっしぐらな生活してんな、ホンマ
大丈夫かよ・・・。

そこへ後ろから声がした。
「お待たせ~。」
何故毎回この人はオレの後ろから現れるんだろうか。
それにしても周りの反応がちょっとおかしい。
「うわっ?!」
振り向いて思わず声をあげてしまった。
「うわ、っていうのはないんちゃう、かみちゃん?」

そこに居たのは”振袖姿”の松川さんだった。

「・・・かみちゃん?」
思わず見惚れたまま一瞬固まってしまったオレに、
松川さんがもう一度声を掛けてくる。
「どうかした?」という風に、首を傾げながら。

「あ、いや、ごめんなさい。えっと・・・。」
何か気の利いた一言も言おうとしたところに、
カメラ片手に小塚さんがスゴい勢いで松川さんに
向かってきた。
「すごぉい松川先輩ちーぱん!着付け大変やったんちゃう?」
そう言いながら何度かシャッターを切っている。
小塚先輩氷ちゃん、ほらこれ。こないだ買ったやつ。」
そう言ってポーチに着けたキーホルダーを見せる。
先週の下見の時に買ったものだろう。
「いいやんこれ。可愛いなぁ。」
なんかこの2人のやり取りを見てると和むなぁ。

「で、何やったかみちゃん?」
「え、ほら、着付け大変そうかなぁ、って。」
そう言うと先輩2人がくすくす笑いだした。
かみちゃん、それ今アタシが言うたやん。」
言いながら小塚さんに軽く二の腕を叩かれた。
「他の人よりは慣れてるから、そこまでちゃうよ。」
なるほど、確かにこの人は単に和服が似合うだけ
じゃなくて、着慣れてる感じがする。
あの夏祭りの時の浴衣もそうだった。

今回も小塚さんに写真の焼き増しを頼まないと。

「ほな揃ったし、行こっか。」
小塚さんの一声で、みんな京都行きのホームへと
歩き始める。

目指すは京都、四条通り。
そしてその先にある、八坂神社へ。

人でごった返す年越しの瞬間の八坂神社。

【あとがき】
ここまでお付き合いいただきまして、ありがとう
ごさいます。御礼申し上げます。

此度の私小説は私のエッセイ(でいいのかな?)記事
”クラブ活動と私”の中でも初期に書いたエピソード、
「八坂神社と私」をベースに、その後書き進めた
様々なエピソードの中から『高校入学から1年生の
年末を迎えるまで』の期間のものをピックアップして
盛り込んだ、いわば”総集編”的なものです。

元記事は私がまだnoteを始めてから日が浅いうちに
書いたもので、今見ると「うーん」と残念な感じに
なってしまっていてどうにかしたかったんですよね。特に私を取り巻く3人の登場人物、その三者三様の
魅力というものをもっとしっかりとお伝え出来れば、という思いが強くありました。

そこへ私にヒントというか、インスピレーションを
下さったのが女王まりか様でした。

まりか様の自叙伝的小説と、そこへ寄せた私の
コメントに対するまりか様のご返答。

私も、Ramberkさんの部活シリーズを読み進めていきます😆
多分、K君や氷子さんと映画に行った話は、お話にし易いと思いますので、書かれたら教えてください⭐️

これが今回この私小説を書いたキッカケです。

改めて読み返してみて「ちょっと詰め込みすぎて
説明が多いな・・・」とは思ったのですが、これが
今の時点での私の限界かな、と。

K君(金田)、氷子さん(小塚先輩)、玉ちゃん(松川先輩)
3人の良さが少しでもお読みいただいた方に伝わって
いれば幸いです。

もちろんこの二年参り以降も高校生活は続いて
いきますし、後輩たちを交えたエピソードもすでに
いくつか記事にしています。
その辺りもまた機会があれば、このような形で
取り上げられたら面白いかな、と考えております。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

《クラブ活動と私まとめ》

《女王まりか様推薦!爆笑エピソード》


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