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某番組のマラソン企画で思った3つのこと

ウルトラマラソンを知らない人からすると、この番組の企画はどう映るのでしょう。

人間が100㎞走れるなんて信じられないかもしれませんが、ウルトラマラソン愛好家は沢山いますし、瞬発力をあまり必要としない競技なので年齢高めの方たちが楽しんでいます。
この私が完走したんだから、実はそんなにハードモードではない競技です。

まずは挑戦された方たちに拍手を送りたいです。
その方達に敬意を評しつつ、この番組を見ていないことを断った上で、
あえて書きたいと思います。

1.遅くないか?

完走した方たちは大体17時間前後くらいだったそうです。
優勝したハリー杉山さんや井上咲良さんはランニング番組のMCを務めるくらいの人。ハリーさんはサブ3を目指す実力派。井上さんは毎日10km走っています。

炎天下であること、周回コースで単調だったこと、100㎞というなれない距離を差し引いても、これは遅いです。たいていのウルトラマラソンの制限時間は14時間だから、失格扱いです。

井上さんの記録が16時間半ということは、9分54秒/1㎞。
これは早歩きと変わりません。

「必要以上に休憩時間を取らずに100kmの道のりを走った場合、いつゴールすることができるのか?」

このコンセプトなら、早い市民ランナーなら10時間を切ります。
世界記録は6時間台なのですから。

2.フォームがフルマラソンっぽい

切り抜きの静止画しか確認できませんが、
膝の高さ、腕の振りなどが、明らかにフルマラソンの走りですよね。

そのフォームなら10時間切るのでは?

ウルトラなら、1km/7分だいで12時間で走れます。
初心者ランナーさんの速いジョギングくらいです。
ウルトラののんびり走るフォームだと、絵に迫力がないからカメラが回っている時間はペースをあげて走り、そうでない時はゆっくり歩いていないと、17時間でゴールはおかしいと思います。

3.なんで記録が発表されないの?

前述しましたが、この投稿をするために記録を調べようとしても、公式記録がどこにもありませんでした。かろうじて記事の端に
「完走者は17時間前後でゴールした」
「井上咲良さんが16時間半でゴールした」

と書いてあるだけ。
公式な大会じゃない、ただの番組の企画だからとはいえ、あまりにも挑戦者に失礼だと思います。
番組企画者の欲しい絵が撮れたら、あとはどうでもいい。そう思えてなりません。

ウルトラマラソンが誤解されないことを祈るばかり

来月には別の放送局でもマラソンをするでしょう。
こうした企画のお粗末さを持って、「ヤラセがある」「骨折しても走らせるなんて」「炎天下で100kmも走らせるのはおかしい!」とウルトラマラソンを批判されてしまっては、とても悲しいです。

テレビ局の方達には、再考していただきたいです。
何のために走らせるのかを。

重ねて申し上げますが、挑戦された方々に敬意を評します。