見出し画像

【想像させて】PIXTA。

耳鼻科の診療時間が終わり、
そこで働く看護師たちはコロナ対策として、
患者で溢れかえる待合室の現状を
なんとかしようと頭を働かしていた。


答えは、十分ほどで出た。
「診察を間近に控える患者」と、
「診察までに時間がかかる患者」を分ける
というものだ。

診察までに時間がかかる患者は、
広い待合室に。
診察を間近に控える患者は、
診察室の前に用意した空間に。

それも診察の流れに併せて、
自動的に前に移動してもらいたい。
看護師は決して多くはない。席の移動を
一人一人に説明していては埒が開かないのだ。

「字で書いてもダメ! 誰も見ないから」
「じゃー……イラスト描ける人います?」
「わたしダメ」
「わたしも全然ダメ」
「わたしも」
「わたしも全くダメ」
「パソコンで調べたら出てこないかしら?」
「あっパソコンね!」

若いと言っても、そこそこいっている若手の看護師が
院内のパソコンで調べると、すぐにそれは出てきた。

「あ、これスゴイいいじゃない!」
「これピッタリだね!」
「じゃーこれでいいですかね?」
「少し言葉付け足すぐらいでいいんじゃないかしら」
「そうね!」
「あれ? これなんかバッテン? 英語でなんか薄く書いてあるわね。これなにかしら?」
「印刷したら消えるんじゃないの?」

若手の看護師は、
言葉を追加したイラストをコピー機で印刷した。
他の看護師たちがその様子を見守っている。

「やっぱり消えないわね」
「でも、あんまりわかんないんじゃない?」
「このP?I? どういう意味なんだろうね」
「見たことない単語だわ」
「わたしわかんない」
「わたしも全然わかんない」
「わたしも」
「わたしも全くわかんない」
「誰も気にしないわよ」
「ほとんど見えないよ」
「そうよね!」
「わかればいいのよ」
「じゃー貼っときますね!」

※この物語は想像です。登場する人物名、団体名は実在のものとは関係ありません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?