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選ばれる接客に自信がつく本

はじめに

本書は、
お客様に選ばれ続けるための接客法をバッチリと紹介する本です。

内容は、
既刊拙著「一番つかえるクレーム対応のやり方がわかる本」(日本実業出版社)等の見直し内容に、youtubeショート動画とイラストを加えて紹介します。

紹介する技法は、
すぐに使えて、すぐに効果があり、いろんな場面に応用が利く技法です。
自分らしさを活かす技法です。

会社を団体や組織と、お客様を住民やステークホルダーといった言葉に変えれば、どの業種や職業の方にもお役立ていただけます。

例として紹介している言葉づかいと非言語による表現は、実際には相手のお客様や状況、内容に合わせて変えていただく必要があります。

本書が、
あなたのビジネス・サポーターとしてお役に立てれば幸いです。
田中義樹



第1章 接客での重要な心がけ

1 マイナスイメージを生ませない!

お客様に選ばれる応対には、「接客のプロでしょ。ちゃんとやったら」といったマイナスイメージを生みやすい状況での応対を、意識的に感じのよいものにすることが大事です。

お客様からの評価は、イメージと思い込みが優先します。
お客様が感じたイメージは、プラス面よりもマイナス面のほうが膨らみも広がりも大きいものです。

マイナスイメージは、思い込みや評判を生みやすいのです。
また、マイナス面はプラス面を包み込みがちです。

一般的にはよいと評価される応対も、その応対を体験する前に、すでに別の部分で「不親切だった」といったマイナスイメージを持たれていると、その応対の評価はマイナスになりやすいと言えます。
ましてやイメージが思い込みになっていると、その傾向は強まります。

お客様に選ばれる応対には、マイナスイメージを生みやすい状況での応対を大事にする必要があります。
それには、次のことを心がけるようにします。
①暇なときこそ真剣に! 
 忙しいときほど丁寧に!
②あたり前と感じたときほど親切に! 
 イラっときたときこそソフトに!


2 暇なときこそ真剣に! 忙しいときほど丁寧に!

まず、「暇なときこそ真剣に!」ですが、
暇なときこそ
「感じのよいスタッフね。入ってみようかしら」
「この店ならきっとファンが増えるだろうな」
と感じてもらえる状況をつくるようにします。

暇なときには、「ダラリ感」が出がちです。
「スタッフ同士で雑談をして、暇そうね」
「ダラッとしているわね。真剣に仕事をしたら」
と感じさせる状況をつくらないようにすることが大事です。

お客様がいらっしゃらなくても、通常以上に真剣に、掃除でも商品整理でも行うことです。
誰が見ても、誰も見ていなくてもきびきびとした仕事ぶりは、やがて、自分と組織のよい評判につながるはずです。

開店しているのに、店内でミーティングというのもいただけません。
こういったことや休憩は、お客様に見えないところですることです。
また、休憩時間に制服を着て外に出る場合には、組織の広告塔としての配慮が必要です。
少なくとも、感じのよいあいさつと動作を心がけるようにします。

次に、「忙しいときほど丁寧に!」とは、
忙しいときには、
「いやぁ、すごいね。この忙しい状況にあっても、あんなに感じのよい応対ができるなんて、感心だね」
と感じてもらえる応対を心がけるようにします。

忙しいときには、「お客様をさばく」といった「粗雑感」や「待たされ感」を生みがちです。

「雑だな。きわめて事務的で不快だな」
「目先のことだけではなく、待っている客をほっておかないでね」
といったことを感じさせる応対をしないことが大事です。

忙しいときこそ、
「忙しいのにきちんとしてもらって、いい気分だわ」
「活気のある、感じのいい店だな」
と思ってもらえる応対をすることです。

粗雑感を生みやすい状況にあっては、「恐れ入ります」といったクッション言葉の活用や感じのよい言葉づかい、動作を意識する必要があります。
また、「待たされ感」を生まないためには、途中で「お待たせして申し訳ございません」といった声かけや、理由や見込み時間を伝えるといった配慮も大切です。

焦りは禁物です。
ゆっくりではなく、てきぱきとした対応を心がけるようにします。


3 あたり前と感じたときほど親切に! イラっときたときこそソフトに!

まず、「あたり前と感じたときほど親切に!」ですが、
「そんなことあたり前でしょ」
と感じたときには、
「ご親切にありがとうございます」
と、お客さまに快く受け入れてもらえる応対を心がけようにします。

お客様応対においては、お客様に恥をかかせないことが大事です。

接客担当者は、自身の担当分野に関しては、お客様よりはあれもこれも知っています。
また、これまでの経験から、お客様よりは先も読めますし、周囲も見えます。
それはあたり前のことです。

ただ、それをお客様に求めてしまうと、
「それはできないです。ご存じなかったですか」
とか、
「そんな所はありませんけど、それは漢字でこのように書くのですか?」「はい」
「これは○○と読むんです」
といったお客さまに恥をかかせるような応対になりがちです。

あたり前と感じたときには、
「恐れ入ります。○○につきましては、○○ということから○○になります。よろしいでしょうか?」
「恐れ入ります。それはこちらでしょうか?私も最初はそのように読んだのですが、実は○○と読みます。読み方はひとつではありませんからね」
といったように、
クッション言葉を入れてわかりやすく説明します。

お客様に勝ち誇るような言動は、サービスにおいてはレッドカードです。

次に、「イラっときたときこそソフトに!」とは、
イラっときたときには、
「恐れ入ります。もう一度○○していただけますか。ありがとうございます」
といったお客様目線に立ったソフトな応対を心がけます。

「早くしてくれませんか。他のお客様がお待ちなので」
「事前に言ってくださいよ。ムダ手間になったじゃないですか」
といった感じが伝わる応対をしないことです。

イラっときたときには、
「恐れ入ります。○○の部分を見てみられてはどうでしょうか?これまでですと、出てきているケースが多いですから」
といったように、クッション言葉を入れてお願いします。

また、お待ちのお客様には、相手のお客様に恥をかかせないという前提のもとで、配慮の気持ちを表情と動作で伝えます。

「暇なときこそ真剣に! 忙しいときほど丁寧に!」
「あたり前と感じたときほど親切に! イラっときたときこそソフトに!」 お客様第一意識を働かせることです。


4 プラスで迎え、プラスの展開をし、リピートにつなげる

お客様に選ばれる応対とは、プラスで迎え、プラスの展開をし、リピート(繰り返しのご利用)につなげる応対です。

リピートということがピンとこないか、マイナスのニュアンスで感じられる業種の方には、新たな拡がりと解釈していただければと思います。

たとえば、病院のように「完治して再利用がないほうがよい」と受け止められるところでは、
「○○さん、○○を探しているのなら○○が優れている○○病院にしたら」
といった、新たな拡がりと解釈してくださいということです。

実際にいろんなお客様に応対していると、そんなきれいごとで展開するものではないと思われるでしょう。
そのとおりです。

お客様との関係にも当然、相性が合う、合わないがあります。
お客様のご要望に応えられないこともあります。
とはいえ、接客の醍醐味であり、やりがいは、そうしたところを超えて繰り返しのご利用につなげることのはずです。

各部分での主なポイントは次の通りです。
①プラスで迎えるポイント
・入ってみたくなる雰囲気をつくる
・お客様との心の距離感を“ほどよい”ものにする
②プラス展開でのポイント
・聴くことを大切にする
・気づきを生む働きかけをする
③リピートにつなげるポイント
・ご期待に沿えたことを確認する
・今後のフォローを伝える

次からは、いろんなシーンで活用できるお客様に選ばれるための応対法を紹介します。


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