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「出る杭を打つ側」になっていないか?

よく、
「日本では出る杭は打たれる」
「だから新しいイノベーションが起きにくい」
なんて聞くことはないだろうか。

今はわからないが、何年か前に小学校のリレーで順位付けを辞めてみんな1位とか、学芸会でみんな主役とか、そんなことになっていると聞いたことがある。
みんな横並びで平等に、はみ出すな、目立つな、抜きんでるな!
という教育を国をあげてやっている(いた)わけである。

きっとこういう教育方針に決めた大人たちは横並びが好きで抜きんでていこうとする人を否定するのだろうし元々協調性を重んじる日本人がこの教育を受けたら横並びが当たり前という文化が強めに植え付けられていると思う。

(本当の優れた能力を開花させないために長い年月をかけてGHQが日本人を骨抜きにする教育にしている、なんて話もあったりするけれど、、、
真相はわからないが、少なくとも積極的に個性、才能を伸ばす、抜きんでる人を育てる教育ではないと思う)

チームワークや協調性を持つこと自体は良いことだと思う。やっぱり基本的に人って優しい。
ただ、やはり何事もバランスなので同時にはみ出したり飛び抜けた人を認めることもとても大事だと思う。

この潜在的に入り込んだ
「横並びでないといけない」
「マナーが悪い奴は許さん」
「ルールを守るのは当たり前なのになんでできないの?」
という大多数が持っているであろう倫理観は時に出る杭を打っていたり、
そんなつもりはなくても攻撃的になっていたりさらし首にして相手を苦しめているかもしれない。

先日、とあるアーティストのライブに行ってきた。コロナも落ち着き、ライブでは声出しが解禁されていてみんなキャーとかイェーイとか思い思いの言葉を発していてライブはとても盛り上がっていた。
MCのコーナーでメンバーが何の気なしに話しているとファンの1人が「今日、誕生日!!」と声を届けた。


その声が届き、「あ、誕生日?おめでとうございます!」とメンバー全員や他のお客さんからもおめでとうと拍手が起きた。

誕生日とライブが重なってて、しかもチケット取れてこの場に来れてよかったね、よく声に出したよ、自分の誕生日とライブが重なるとか夢だなーと思っていた。

コロナ前もバンドのライブに行くとこんな掛け合いはよく起こっていたし、メンバーとお客さんの会話が面白かったりもする。
だいぶ前にELLEGARDENのライブに行ったときには友人が曲と曲の合間に「愛してるー!!」と叫んだら「俺も愛してるよ!」と返事をもらい、その子だけじゃなく会場全体がうぉぉぉぉと湧いていた。

BUMP OF CHICKENのライブだと男性の野太い声で「藤君、オレ今日誕生日!」とめっちゃアピールして笑いながら「おめでとう」って返しているやり取りに会場全体がほっこりするシーンなんかも個人的には記憶に残っていて好きな場面だったりする。

ただ、それを良しと思わない人もいた。
「自分だけファンサもらおうとするんじゃない」とか
「自分アピールにしらける雰囲気が漂った」と
SNSに書き込んでいたのをたまたま見たことがある。

書き込んだ人がそう感じたなら仕方ない。自分だけ目立つな、抜きんでるなと教育を受けてきて他の人の迷惑にならないように真面目に生きてきたのだから。

やってはいけない
「目立つことをやっている人」
「ルールを守らない人」
は腹立たしいだろう。

ただ、それをSNSで書き込んでいる人が多ければ多いほどこういう未来が待っている可能性はないだろうか。

「メンバーと会話すると話せなかった人がイヤな思いをするのでメンバーに声かけはNGです。ファンサを受けなかった人がいると不満が出るので目線を合わせる、ハイタッチ、タオル投げはなしにします。声援の量で人気の差が出るので声出しはなしでお願いします。」

出る杭を打とうとすると同時に自分もできることが減る、という未来。

きっと、書き込んだ人は「やってはいけないことをやった人」が許せないわけだから、「やって良ければやりたい」のである。
自分のお誕生日にメンバーや会場中の人におめでとうって祝われたら、めちゃくちゃ嬉しいはず。その裏返しなのだ。
つい人は、自分の正義感や意思に反することは否定してしまう。

日常生活に置き換えてもちょっとした出る杭打ちは良く行われている。

そういう私は後輩がいい仕事をして他の人に褒められていると心の中で「え、私もできてたし、この部分が気になるんだけど、、、そんな褒めること?」とうっかり出る杭を打つ側になってしまいそうになる。
そんな嫉妬深い自分にまだまだ未熟だなと気づかされる。

そういうときはちょっと心に余裕がないんだな、ライバル心とプライドの高さが出たなと素直に認めて深呼吸したり一旦違うことを考えるようにしたり
藤井風の「優しさ」を脳内再生して気持ちを落ち着かせるようにしている。

自分が打たれるときは敏感に気づくけど打つ側になっている時は無意識なので気づきにくい。好きなことや夢中になっていることほどこの「出る杭の存在」はつい気になってしまうと思う。

うっかり出る杭を打つ側になっていないか、我が身を振り返る時間は人生でとても大事であることを肝に銘じたい。



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