債務債権での「情」

多くの相談を受けてきましたが、
債権者と債務者が同時に参加する場は初めてでした。

その社長は「双方の円満な解決を目指したい」という書面を債権者から受け取り、僕をその場に同席させたのです。

社長「もう稼ぐ能力がないので返済放棄させて下さい」
相手「まだ返せるだろ!じゃあどーやって生活してるんだよ!」
社長「別の仕事やってるので」
相手「じゃあその収入をこっちに充当させろよ!」
社長「個人での返済義務はないはずですけど、それで払ってしまったら確定申告で私はどう処理すればいいんです?」
相手「…」
社長「贈与扱いされるのでは? 帳簿の債務も減らないですよね?」
相手「…」
社長「ずっと減らない債務の返済って、双方の円満になってますか?」
相手「はぁ…では法的手段とらせてもらうよ…」
社長「是非!借金は時効を迎えてるので、援用(終了)で終わらせましょ」
相手「…」
社長「そちらも債権を損金処理できるので節税になりますね」
相手「…お前に情はないのか?」
社長「法的手段を取るって今脅してきて、コチラに情を見せろって随分都合良くないですか?」
相手「…」
社長「情を絡めるならいいですよ。でもそちらも情を見せてくださいよ」
相手「こちらが? 何をするんだよ?」
社長「もう一度お金貸して下さい笑」

こんなやりとりを1時間ほど続けました。
一定の理解を示したものの、上司の手前 引き下がることが出来ない相手。
次の相談者の時間も迫ったため、最後の提案をしました。

社長「もう連絡しないと約束してくれたら5万払います。いかがでしょう?そうすればメンツも立つのでは?」

相手は帰って行きました。
1円の回収もできぬまま、相手はチャンスを失いました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?