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未来の学校の怪談を考える

学校に通ってた人なら誰しも興味をもったことがあるに違いない『学校の怪談』

もちろん自分もその1人。
自分たちの世代では怪談レストランが流行って文庫本が図書館でいつも貸し出し中になったりアニメが放送されたりしてたもんです。
友達の怪談レストランの5巻の名前のところマジックで上書きしてパクって怒られてた平田君は今何をしてるだろうか。肝心の本の中身より恐ろしくキレていた先生の顔もついでになんとなく浮かびます。


なっち~
これとかマジで懐かしい

さて、ただなんとなく怪談を思い出したときに、いつもふと考えることがあります。

あれ全部古すぎじゃない?

擦りすぎでしょ流石に、何年同じ話やってんだ。
もうあれやってること落語と同じだよ。語り手の腕に全てかかってる。
怪談初耳の小学生相手だからっていつまでも同じ料理しか作らない手抜きを半世紀前くらいからしてる。

思い返してみてください。
理科室にあんなガッツリ人体模型なんてありましたか。
二宮金次郎なんて実物見た記憶ないわ。
人面犬以前に今日日野良犬すら見んわ。
旧校舎ってどこだよ、連れてってくれや。

そもそも「旧校舎」というワード自体、戦後昭和のベビーブームで学校校舎の建て増しが頻発したからこそ広まった言葉らしい。
もうこの時点で時代遅れとかいう次元じゃない。

他にも、戦争とか兵隊の亡霊とかももう既にちょっと古い、というか事前知識が必要な時代になってきている。
「まず、昔に日本とアメリカが戦った戦争があってね、あいや僕もそのときは生まれてはいないんだけどとにかくそれでたくさんの人が死んじゃってね。え、あれ学校の授業とかで聞いたことない?そっか。。。。。。音楽室のベートーヴェンがね、そんな人知らない?」
てなります、じきに。もうなってるかも知れない。

怖い話にいちいち注釈入ってたら怖いもんも怖くない。稲川淳二が学芸員顔負けの講釈垂れてたら嫌でしょう。校長の話と同じようなもんです。


てことで未来の学校の怪談を考えるわけですがその前に

未来でも食っていける学校の怪談

も紹介。
きっと現代の怪談にも時代背景とかジェネレーションとか関係なく味がし続ける奴があるに違いない。

こっくりさん

これは廃る要素がない。鳥居の書かれた50音順表があればいいだけ、それこそ「kokkuri-san.png」をタブレットに表示すればいいだけなんだから。
そんでもってタブレットの画面が10円玉で傷だらけになってめちゃくちゃ怒られて学校でこっくりさんが禁止になるのが鉄板エピソードになる。
きっと2124年のりぼん8月号の付録はこっくりさん用のタブレット保護シートだと思います。

トイレの花子さん

「学校の○階のトイレの△番目の扉を×回ノックする」のハードルのちょうど良さが絶妙に小学生の心をくすぐる、いつまでも。
いくらトイレも100年経てば進化しているとは言え学校まで手が回っているわけなかろう、いつまでもエアコンすらついてないところがあるんだから。文科省も水回りまでは面倒見てくれませんわ。

プールで昔溺れて死んだ子の霊に足を引っ張られる

これも廃らない。というかプール関係の怪談は今後絶対に増える。というのも地球温暖化によって確実にプールの授業の回数が増えていく可能性が高いから、どう見積もってもプールの授業が減っていくことはないだろうし。
加えてプールの授業では性質上、スマホの持ち込みはじめ電子機器の入り込む余地がない、つまりはもう学校のプールの授業はここからの変化は望めない、なんか最近はスク水が変わってるみたいな話聞くけど。多分自分らの世代でいうところの昔はブルマ履いてたらしくて信じられんわおっさんホイホイみたいなポジションになってるに違いない。
ところでスク水とかマジで好きな人いるけど、自分も学校卒業したら良さわかるようになるのかなぁと思ってたけど全然そんなことなかった。ありゃ生まれもった性癖ですな、警察にお世話になるかドンキのコスプレ服コーナーにお世話になるかの人生です。


未来の学校の怪談を予想しよう

まぁそんな感じで、未来予想をする上でのポイントは

  1. 技術は進歩する

  2. 人間の心理は未来永劫変わらない

ということ。
加えて今回の学校の怪談というお題を加味すると
3.絶妙な前提条件のハードルのひくさ
がポイント。

SF作家に求められるのは車の誕生の予測でなく、渋滞という概念の予測である。

フレデリック・ポール

とはよく言ったもんで、技術進歩の先に取り扱う人間の心理を考えなきゃいけないらしいですわ。

1.液晶掲示板の電源ボタンを3分間押し続けると四次元に吸い込まれたタイムマシン部の生徒が液晶の向こうからこちらを覗いてくる

元ネタは『霊が大鏡の向こうからこちらを覗いてくる』モノ。
学校の廊下とか教室の後ろの黒板の横に学年通信とか保健だよりとか給食表とかが貼ってあるボードありますよね。あれ未来では全部電子化でモニターになってますよ、紙不足とかSDGsとかで。
あれ便利ですよきっと。
席替えとか冷凍ミカンのおかわりとか学期末の掃除当番とかのルーレット機能もついてて盛り上がるんですよね~。
係決めでもきまってモニター係は人気になって取り合いになるんですけど、高学年になったらみんな意外と仕事が多いことに気づいて敬遠するようになるんですよあれ。

まぁそんなモニターも電源を落としたら階段踊り場の大鏡と同じ。真っ暗になった画面の背後って怖いからね、ゲームのロード画面で誰しも体感したことあるでしょ。

んで、今の怪談では鏡の向こうに映るのは、相場は戦争で死んだ女の子とか兵隊とかその辺。先述の通りピンと来ませんわ。四次元空間とかに結びつけた方が都合がいい。タイムマシン部とかできてないかなぁ。パソコン部みたいなノリで。

そんで味噌は「電源ボタンを3分間押し続ける」というもの。絶妙に男子がやりたくなるくらいのハードル。
けど難しいんだよな~3分もバレずにやるの。でも皆がチャレンジするもんだからとうとうモニターが壊れて禁止令が出るんですよね。あれで最終的に怒られて時間食うのモニター係だから皆やりたくなくなるのよ。


2.4時44分に1階のトイレの鏡を見ると1回整形した自分の顔、2階の鏡を見ると2回整形した自分の顔、3階の鏡を見ると3回整形した自分の顔が見える。このとき自分の顔がもし鏡に映らなかったらその回数の整形手術が原因で死ぬ。

想像してみてください。未来の日本はルッキズムに支配されているに違いない。領土・領海・領空・ルックス、未来の日本ではこれらを侵犯することは許されなくなってますよ。
もしブスが海外旅行するなら片道切符、帰りしな韓国によってきれいにならないと二度と日本に帰れません。これをいわゆる"整形トランジット”といいます。

そんな時代に、多感な少年少女の心理を突いた怪談が流行る、いやバズる日も近くありません。
一方、そんな未来でもきっとヤブ医者や闇医者ははびこってるはず。整形失敗して顔が崩壊してしまったり、細菌に感染して重篤な病気になったりみたいな話はブラックなマジ話として存在します。

自分が女子中学生だった頃のことを想像してください。男子は自分が中学生の頃、授業中は声小さいくせに休み時間は廊下で大声でたむろってた女子達のことを思い出してくれれば結構です。
こんな噂聞いたらどう思いますか?嘘だと思う反面、ずっと喉に引っかかるもんだからコソッと試しに行きたくなりませんか?
やってみたいけど、ちょっと怖いしバレたくないし。。。ハードルのちょうど良さよ、絶妙、学校の怪談てこーゆーのだから。

未来の時代観と学生の心理を突いたいい具合のができた気がする。


3.黒板を爪でひっかいたときに耳ではなく自分の口を押さえている人がいたら、その人はアンドロイド

これはどういうことかというと、
普通の人間なら不快な音だから耳を押さえるものの、アンドロイドは不快という概念はなく、自分のマイクが不具合を起こしていると勘違いするため口を押さえる。

これ結構いいんじゃない?

黒板ひっかきという学校の場面に則したちょうどいいハードル設定に怪談らしい「○○の人は××」という文言、加えて検索対象が未来要素のアンドロイド。Detroit become Humanみたいな世界観をイメージしていただけるとありがたい。

この怪談の肝は黒板をひっかくというハードルが低い割に明確に問題行動である点。一発でクラス中に響き渡ります。そこからはパンデミックよろしく学級閉鎖も辞さないスピードで学年学校学区外まで広がっていき、ビックリマンのウエハースがごとく社会問題に発展するでしょう。

悪名は無名に勝る、噂を流布した側はこの上ない愉悦を感じることでしょうな。
アンドロイドの方々には少々肩身の狭い思いをしてもらいますが、次のアップデートまで辛抱してください。「聴覚器官を黒板のスクラッチ音の音域に対応させました」と記載されているはずですから。

問題は未来の学校に黒板はあるのかという点。もしかしたらホワイトボードとか、それこそモニターになってるかも。
そのときは、

「校内放送がハウリングしたときに耳ではなく自分の口を押さえている人がいたら、その人はアンドロイド」

に変更しときます。複勝2点買いみたいなもんですな。


4.クラスメイトが皆下校した後に教室の床に消しゴムのかすをばらまいて帰り、翌日登校したときに全てきれいになっていたらクラスにレプティリアンがいる証拠

レプティリアンは自分のウロコが落ちていないか日々身だしなみに気をつけています。レプティリアンがいるクラスは放課後の掃除の時間の後でもレプティリアンが個人的に掃除している時間があります。これはそれの確認方法の一種です。

ポイントは消しゴムのかすを床にばらまくという小学生でもわかるちょっと悪いことをさせるハードル感。あまりこぞって皆でやると普通に学年集会で怒られます。
それで用務員さんがいつも掃除していることを知らされるのがオチですが、それでも男子はバカなんで信じ続けますきっと。小学生の頃マジで団地裏にこびとづかんのこびと探しに行った筆者が保証します、命かけますよ小学生ぶりに。
しかし、なけなしのお小遣いで買った飴でこびとおびき寄せたつもりがアリだらけになってたときは”大人の嘘”を肌で体感し枕を濡らしました。
まぁきっといい思い出になりますよこびと探しもレプティリアン探しも。


最後に

うーん、、、なんか正直3番のアンドロイドのやつをこすやつが思い浮かびそうにない。
けっこう個人的にこのアンドロイドのやついいネタになる気がする。まだまだ味しそうだからこれをネタにもっと引っ張りたい。

所見としては怪談考えるのは結構面白いと判明。ウミガメのスープじゃないけど、因果関係が明確に繋がる瞬間と根拠が屁理屈じゃないなって自分の中でわかった瞬間の気持ちよさいいかも。根本的な構成要素の一つが「奇怪さ」だからSFとリンクしているし。
幅が広がったかも知れない。

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