【不思議体験】「覚えてはいけない名前」がある幸せ(後半)
(前半からの続き)
「えっ・・・、どういうこと?」
真夏で蒸し暑かった周囲の空気が、サーッと一気に冷たく乾いたものに変わっていきます
なぜかというと、その携帯は、電話帳に登録されていない電話番号から着信した場合、携帯には発信者の電話番号が表示されるのみで、発信者の名前が表示されることはないからです
要するに、さっき携帯の画面に表示された個人の名前はどうやっても表示されるはずがない・・・
急に得たいの知れない怖さが湧き上がってきたそのとき・・・
ブルブルブルっと、携帯電話が震えます
携帯に表示されたのは、唯一電話帳に登録されていた監査部署の部署名
通話ボタンを押して、「もしもし、お疲れ様です」と応答すると、監査部署の担当者の方からの電話でした
「すいません、少しトラブルがありまして、今日の監査はキャンセルさせてください、連絡が遅くなって申し訳ないです、次の予定は決まり次第ご連絡させていただきます、失礼します・・・」
電話が切られようとしたそのとき、思い切って質問してみました
「すいません、つい10分ぐらい前にお電話いただきましたか?」
相手からの返答は「いいえ、してないです」
心の中で「そんなはずはないだろ、誰か掛けてきたのは間違いないんだから」と思った自分はストレートに次の質問をします
「いや、●●さんっていう方からさっき電話いただいたんですが、違いますか?」
さきほど画面に表示された個人の名前を伝えてみます
相手は、何を聞かれているのか理解しかねる様子で
「そういう名前の者はいませんが・・・」
相手の反応が嘘をついている様子がなかったので、「変なこと聞いてすいません、了解しました」と、電話を切ると、次々と疑問が湧いてきます
さっきの電話に表示された名前は何者なんだろう、何のために掛けてきたのだろう・・・
そして、ある発想が頭の中を駆け巡ります
もしかしたらあの電話は・・・
一刻も早くこの場を立ち去りたいと思った自分は、カバンを持って走ってその場を立ち去ります
行きの何倍もの長さに感じる帰路を走り抜け自部署に戻り、部屋の明かりを全て点け、気持ちを落ち着けて携帯を再度確認します
しかし、携帯のどこを探してもあの名前は見当たらない
「そうだ、会社の電話帳で検索したら見付かるんじゃないか」
急いで自分が常用しているパソコンを立ち上げて、社内イントラにある電話帳を検索すると
・・・やはり、あの名前は出てこない
ここでぼんやりと確信します
「あれって、霊的なものからの電話だったんじゃ・・・」
なぜか、あの名前を覚えていてはいけないような気がして、急いで忘れようとしますが、忘れようとすればするほど、頭の中に染み付いていきます
急いでパソコンを閉じ、会社を出て車に飛び乗り、大音量で歌を歌いながら帰りますが、ふとした瞬間にあの名前が頭をよぎります
家に着いても風呂に入っても寝ても覚めても・・・
あれから5年経った今では、あの名前を全く覚えていませんが、しばらくは思い出したり忘れたりを繰り返していました
あの電話はいったい誰からの電話だったのか、何を伝えたかったのか、いまだにわかりませんが、特に悪いことは一切起きませんでしたので、悪意のあるものではなかったのだろうなと思います
以上、自分の貴重な貴重な不思議体験でしたが、皆さんもこんな経験あるでしょうか
もし面白い記事があったら紹介いただけると嬉しいです
では、また次回、よろしくお願いします
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