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「俺の背中を見て育て」はもう古い ~キーワードは『ノイズ』と『タイパ』~

初めに

「お願いしたことしかやらない」
「事細かく説明しないと理解してくれない」
「自分で考えてくれない」
etc.

20代の部下を持つ上司の方々は、このようなお悩みをお持ちでしょうか。
これまでは自分がやっているところを見せて学ばせたり、何か書類などの提出物がある時、何が間違っているか細かく説明しないで突っ返すといった方法で教育をしてきても問題にはなりませんでした。
では、近年で今までのやり方が通用しなくなってしまった原因はどこにあるのでしょうか。
もし、これまでの方法でしか部下を指導してこなかった方は是非最後までご一読ください。
このままでは「昭和が、、」と馬鹿にされてしまいますよ。
では、行きましょう。

20代の育ってきた環境が関係している

皆さまは何かを調べる時、どうしていたでしょうか。
言葉の意味を調べたいときは辞書を開き、世の中の情勢を知りたいときは新聞を読み、美味しいお店を知りたいときは自分の足でお店まで行き実際に食べる。
当たり前かもしれませんが、何か疑問を持った時、自ら行動して知識を蓄えてきました。その時、これは何だろうと疑問を持つモノに出会った時、更に調べますよね。
この行動力はどれも素晴らしいことなのです。
自分で調べたことなので覚えがいいですし、何より自信をもって誰かに伝えることもできます。
広い知識と言えるでしょう。

それに対し、今の20代はいわゆるデジタルネイティブ世代です。
言葉の意味を知りたければスマホで検索し、世の中の情勢を知りたいときはスマホで自分の知りたいニュースだけを検索し、美味しいお店を知りたいときはスマホで検索して☆が多いお店を予約する。
良い悪いは一旦おいておきまして、これまでに比べて、はるかに結論に行きつくのが早くなりました。また、自分の知りたい情報だけを知ることができるので、それ以外のことにあまり興味を示さなくなってしまいました。
それよりも、「あなたの趣味に似ている作品」といったように、自分の趣味趣向、価値観の近しい人と意見を交換できるようにもなりました。
狭く、深い知識と言えるでしょう。

大切なのは『ノイズ』があるかないか

これまで述べてきたように、20代はとにかく自分の知りたいことを調べる力は非常にありますが、興味がないことにはあまり興味を示してくれません。
『ノイズ』を嫌うのです。

これまでの感覚とは違う感覚を持っているため、冒頭の、
「お願いしたことしかやらない」
「事細かく説明しないと理解してくれない」
「自分で考えてくれない」
といった状況ができてしまうのです。

若い人からしたら
「お願いしたことしかやらない」→「言われたことはした」
「事細かく説明しないと理解してくれない」→「言われていないから知らなかった」
「自分で考えてくれない」→「考えろと言われていないから、言われたことはした」
という思考回路になるわけですね。

対応方法について

まず初めに、「そういう思考回路だから仕方がない」と認めてあげてください。
相手は悪気があってやっているわけではないのです。
世の中が、そのような思考回路になるようになってしまったのです。
理解できないかもしれませんが、ここは割り切らないと次のステップに進むことはできませんよ。

次に、「ある程度道を示す」ことをしてあげてください。
手取り足取り教えてあげる必要はありません。
例えを1つ挙げましょう。

あなたはA社に勤めています。B社とは非常に関係が良好で、いつも見積書を出す際、合計金額から20%引いているとします。
20代の部下にB社に送る見積書の作成を依頼したとしましたが、通常金額で出てきてしまいました。

これまでの指導方法では、「作り直せ」だけでよかったかもしれません。
ですが、この方法だと何が悪かったのか伝わらないため、関係ない所を修正してくるかもしれません。
あなたは「なんで気が付かない」とストレスを溜めますが、
20代の部下も「どこが悪いのか言ってよ」とストレスが溜めてしまいます。

そこは「金額が違うよ。B社は○○円になるから。それと、B社とB社以外でこれまでの見積金額がどうなっているか追加で調べてみて」と伝えてあげてください。
どこが間違っているのかを理解できるので、まず正しい見積書が出てきます。
また、追加で調べるよう命令することで、B社の関係を理解してもらえます。
そうなれば、次からB社の見積金額についてあれこれ言わなくて済みます。

最後に「道を示しつつ、仕事を任せて」あげてください。
『ノイズ』パートでご説明した通り、自分の知りたいと思ったことを調べる力は非常にあります。
それを利用してあげるのです。
仕事を任せることで、自己成長もできる場所だと思ってもらうことを意識しましょう。
20代は『ノイズ』の他に『タイパ』も非常に大切にしています。
どれだけコストよくできるか。
上司陣の労力はかかりますが、一度進ませてあげさえすれば、後は勝手にやってくれるのです。

最後に

「最近の若者は~」とひとくくりにして歩み寄るのをやめないでください。
20代も「おっさんが、昭和が~」と思いつつ、何とか顔色を見て頑張ろうとしてくれています。
それでも20代の思考回路に付いていけないと思われた方は、是非下記の本を読んでみてください。
色々と考えされられる内容になっていますよ。

■なぜ働いていると本が読めなくなるのか (集英社新書)

今後も人手不足が一層深刻になっていきます。
1人でも多くの社員に残ってもらうためにも、会社を存続させるためにも、相手を理解してあげる所から是非始めてみてください。
あなたが変われるか変われないかで部下がいるかいないかの状況になりますよ。

◆参考資料
「タイパ」重視の若手社員に「俺の背中を見て育て」はNG 働きやすいのに退職率が高い会社の落とし穴


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