私は不倫していた。57話:脳のしくみ

最近まで読んでいた小説の主人公が「記憶は勝手に刻み込まれた。たぶん、大切なことだからだ。」と言っていた。
その通りだと思う反面、忘れられればいいのにと思う。別に現状、忘れられなくて悩んでいるほどのことはないがほんの時々、彼女との日々を思い出す。

楽しかったし、幸せだった。過去形なのが切ない。
そしてそんなことをまだ思っているのがみっともない。
私は元々結構女々しいタイプで、決していわゆる男らしさにあふれる感じではない。まあまあみみっちい性格で、例えばうちになったみかんをお隣のお子さんが去年毎日一個ずつ内緒で取っていたことなども覚えている程度にしつこい(笑)

それはともかく、小説の中の彼によれば「大切なことだから記憶は勝手に刻み込まれる。」じゃあ私の想いでも大切なことだから記憶に刻まれているのだろうか。今後この記憶がなんの役に立つことがあるのかは分からないが、確かに私には茶化されたくない大事な記憶なのは間違いない。
いわゆる普通の恋愛をする人から見たら、多分「不倫する人種」なんて気もち悪いくらいに思っているかもしれない。それでもいいやって思う。

別にわざわざ人に言うことでもないが、人にわざわざ言われるようなことでもない。それぞれ人には理由や事情があり、その結果として道ならぬ道を進んでいるのだ。
だから、いけない恋だとか誰も幸せにならないとかそんな適当なアドバイスは何の意味も持たないのだ。


だから、女々しい私はまだ彼女との思い出の鍵を捨てられないでいるのだ。
にゃお。

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