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詩71 詩人というものは歌を唄わぬものだから

詩人というものは歌を唄わぬものだから
哀しいときに大きく息を吐くのです
愛する者が旅立つ時に無音に耳を澄ますのです
あなたがわたしの小さい頃から守護霊のように
暖かい伴奏を奏でて自由に踊らせて頂いたわたくし
青年にはまだ成人にもまだそれは知ることはなかった
美しい音色が消えてステップだけが響く時
風がクレッシェンドからデクレッシェンドへ
さよならが心をすっかり寂しく吹かせると
ハーモニーもリズムも微笑みと共に去って
美しい演奏会が幕を下ろし暗闇に照らされて
あなたのことを振り返り名前を呼ぶのです
ここまで阿呆なトンチンカンをお許しください
それでも詩人は歌を唄わぬようにうたう
哀しいとき大きく声を出さぬように
詞を言霊にしてあなたに感謝をうたう為に

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