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柿を育てて販売する“柿農家”の仕事

丸金青果で働く太田さんと小藪さんをもとまるが訪問

丸金青果は、本巣市の特産品として有名な富有柿を育てて、販売する柿農家さん。昭和の始めから90年以上も、柿一筋で商売をしており、現在の社長で4代目です。
今回は、丸金青果5代目で、柿の栽培を担当している太田匡隆(くにたか)さんと、お金の管理や宣伝を担当している小藪果寿(かず)さんの仕事を見学しました。太田さんと小藪さんはいとこ同士。もともと柿農家とは関係のない仕事をしていた2人が5代目となり、どんな気持ちで仕事に携わっているか取材しました。


丸金青果の5代目の太田匡隆さんと小藪果寿さん

富有柿の産地を守り継ぐために

丸金青果では、約6万㎡の畑で2000本以上の柿の木を育てています。自分の畑で栽培した柿のほかにも、近くの柿農家さんが育てた柿も買い取って販売しているため、収穫時期には柿が入ったケースが所狭しと並びます。


丸金青果が主に栽培・販売をしている富有柿

栽培を担当している太田さんの仕事は、冬に柿の葉が落ちた頃からスタート。1~3月の間に枝を切って形を整える剪定(せんてい)を行い、春になって枝から芽や葉が出てつぼみができると、養分を取り合わないよう、1本の枝に5~6個ついているつぼみを1個に間引きます。実がなった後も、生育の悪い実や、傷ついた実を間引いて、残った柿に養分が行き届くようにします。秋に寒さが増し、柿が色づいてくると収穫のサイン。柿の実は、霜が降りて凍ると柔らかくなってしまうため、色づいたら大勢で一気に収穫するそうです。


たわわに柿の実がついたが実る柿畑

従業員と一緒に、2000本以上の木を1本1本回って作業をする太田さん。栽培の作業は、柿の成長と競うようにスピーディーに行わなければならず、とても大変な作業ですが、「柿は手間をかければかけるほど、大きくて甘い実をつけてくれます。収穫の時にずっしりと重い実を手にすると、1年間、頑張ってよかったと思います」と、誇らしそうに話してくれました。


「本巣市は柿の成長に欠かせない寒暖差があり、柿栽培に適した土地」と話す太田さん

柿の木を育てること以外に、太田さんの大切な仕事が、植えてから80年以上経って衰えた木を切って、新しい木を植える作業です。植え替えはとても労力がかかる上、新しい木は植えた後、実をつけるまでに4~5年もかかります。しかし太田さんは、「最近は、柿農家もどんどん少なくなっています。富有柿の産地を守り続けるためにも、この畑を受け継いでいきたいです」と、計画的に植え替えをしています。

喜んでもらうために心を込めて

次に小藪さんが案内してくれたのが、収穫した柿をサイズ別に分ける選果場。ベルトコンベアで運ばれてきた柿は、重さによってS・M・L・2L・3Lの5段階に選別され、傷がないかなどをチェックした後、選りすぐりの柿だけが出荷されます。富有柿は贈答品として購入されることも多く、小藪さんは「栽培から箱詰めまでを行っているからこそ、常に品質のいい柿を届けられます。『今年も丸金青果さんに頼んでよかった』と言ってもらえるのが、何よりうれしいですね」と、目を輝かせます。


1つ1つを確認し、ていねいに作業

また丸金青果では、富有柿を長く楽しんでもらいたいと試行錯誤を続け、11月に収穫した柿を低温で保存して12月以降も出荷できる「冷蔵富有柿(フレッシュパック)」をつくりました。こうした商品をより多くの人に知ってもらうため、ホームページから注文ができるネット販売をスタート。小藪さんは、メールや電話の応対や注文の受付などを担当しています。注文は徐々に増えているといい、小藪さんは「多くの人に柿を食べてもらって、富有柿や本巣のファンを増やしたい」と意欲を見せています。


旬と変わらない固い食感と濃厚な甘味が味わえる冷蔵富有柿(フレッシュパック)

より多くの人に柿を味わってもらいたい

地域の大切なブランド柿である富有柿や、産地で働く柿農家のことをもっと多くの人に知ってほしいと考えた太田さんと小藪さんは、2019年から直売所をオープン。店内では、お客様が自分で柿を手に取りながら、好きな柿を選ぶことができます。販売担当の“柿娘”からおいしい柿の選び方などを聞いたり、おまけをしてもらったりと、直売所ならではの楽しみもあり、店内にはいつも笑い声が響きます。


直売所で働く“柿娘”の皆さん

「丸金青果の名前は、創業者の太田金造の名前と『富有柿のようにまあるいご縁を大事に』という思いからつけられました。直売所も、お客様とのコミュニケーションの場にしていきたいです」と話す太田さんと小藪さん。2021年からはイベントも開催し、訪れた人に楽しんでもらえる直売所を目指しています。

丸金青果と本巣市に対する想い

柿の産地をなくしたくない、おいしい柿のことをもっと多くの人に知ってもらいたいという想いで、若い世代として柿農家の仕事に携わっている2人。色々と試行錯誤しながら、手探りで毎日働いているそうです。「柿を販売できる時期は1年に1回しかありません。ただ、その時期に来てくださるお客様を大切にして、丸金青果のことはもちろん、もっと本巣市のことも知ってもらえたらいいですね」と小藪さんは笑顔で語ってくれました。



真冬でも楽しめる「冷蔵富有柿(フレッシュパック)」は、12月~2月末まで販売しています。
直売所での購入のほか、ホームページや電話、FAX、メールの注文や発送も可能。
お歳暮やお年賀の手土産などにもおすすめです!



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