見出し画像

『ダーティハリー』:1971、アメリカ

 舞台はサンフランシスコ。屋上のプールで泳いでいた女が狙撃され、死亡した。サソリと名乗る犯人は市に対して脅迫状を送り付け、10万ドルを支払わなければ次はカトリックの神父か黒人を殺害すると予告する。

 市長は金の工面に時間が掛かると釈明して当座を凌ごうとするが、犯人は予告通りに黒人少年を射殺する。サンフランシスコ市警殺人課のハリー・キャラハンは、次に犯人が神父を狙うと考えて張り込むが逃げられてしまう。

 犯人は14歳の少女を誘拐し、20万ドルを要求する。金の運び役を引き受けたハリーは犯人に傷を負わせて捕まえるが、少女は既に殺されていた。しかも違法捜査があったということで、犯人は釈放されてしまう…。

 監督&製作はドン・シーゲル、原案はハリー・ジュリアン・フィンク&リタ・M・フィンク、脚本はハリー・ジュリアン・フィンク&リタ・M・フィンク&ディーン・ライズナー、製作総指揮はロバート・デイリー、撮影はブルース・サーティーズ、編集&製作協力はカール・ピンギトア、美術はデイル・ヘネシー、音楽はラロ・シフリン。

 主演はクリント・イーストウッド、共演はハリー・ガーディノ、レニ・サントーニ、ジョン・ヴァーノン、アンディー・ロビンソン、ジョン・ラーチ、ジョン・ミッチャム、メイ・マーサー、リン・エッジングトン、ルース・コバート、ウッドロウ・パーフレイ、ジョセフ・ソマー、ウィリアム・パターソン、ジェームズ・ノーラン、モーリス・S・アージェント他。

―――――――――

 B級アクション映画の傑作。
 当初はフランク・シナトラやジョン・ウェインにオフォーの話が行ったらしいが、彼らに断られたため、マカロニ・ウエスタンのスターだったクリント・イーストウッドが主演することになった。

 クール&デンジャラス・ガイ、ハリー・キャラハン。法律の不条理や警察機構の限界を、ダーティな暴力によって超えてしまう。
 イカしたシーンが幾つもある。ホットドッグを食べながら銀行強盗を撃つシーンや、拳銃に残った弾丸の数について犯人に語る2度のシーン、サソリが人質と共に乗り込んだバスを橋の上で待ち構えるシーンなど。

 ある意味、チャールズ・ブロンソンの“デス・ウィッシュ”シリーズと共通するものを感じる。
 それはつまり、「悪い奴には容赦するな」という考え方だ。情けのカケラも無く冷酷に犯人と対峙するハリーの姿が、ハードな雰囲気を作り出す。

 そして、その冷徹さを納得させるだけの凶悪さを、サソリ役のアンディー・ロビンソンが見せている。
 舞台で活動していたロビンソンは今作品が映画デビューなのだが、犯人役が彼でなかったら、ここまでの傑作にはならなかっただろう。

 クールな表情で警察バッジを投げ捨てるというラストシーンは、警察機構に対してもクソッタレと言っているのだと感じられる。
 それを考えると、続編を作っちゃいけなかったのかもしれないなあ。まあ、ヒットしたから続編を作りたくなるのは分かるけど。

(観賞日:2002年2月14日)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?