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『ブルース・ブラザース』:1980、アメリカ

 イリノイ州の刑務所から出所したジェイク・ブルースは、孤児院で共に暮らしたエルウッドに出迎えられた。孤児院へと出向いた2人は、シスターと面会した。2人は彼女から、固定資産税の5000ドルを用意しなければ施設が孤児院が無くなると聞かされる。

 教会に行った2人は神の啓示を受け、かつて仲間と共に組んでいたブルース・バンドを再結成し、金を稼ごうと考える。免許停止中のエルウッドが車を運転したため、2人は警官に捕まりそうになるが、そのまま逃走した。ジェイクが結婚式をすっぽかした女に命を狙われつつも、2人は安ホテルに宿泊し、かつての仲間を集めに出掛けた。

 ジェイクとエルウッドは、まずラウンジで演奏していたスティーヴ・クロッパー、ドナルド・ダン、マーフィー・ダン、ウィリー・ホール、トム・マローンに声を掛けた。さらにフランス料理店のマネージャーになっていたアラン・ルーヴィン、ファーストフード店で働いていたマット・マーフィーとルー・マリーニも招集し、ブルース・ブラザーズ・バンドを再結成した。

 ジェイクとエルウッドたちはカントリー・バンドに成り済まし、ボブのカントリー・クラブで演奏する。だが、飲みまくったビール代を請求され、金を払わずに逃亡する。そのため、本物のカントリー・バンドとボブに追われることになってしまった。

 ブルース・ブラザーズ・バンドは、パレス・ホテルで演奏することになった。警察が包囲する中、バンドは観客の喝采を浴びる。レコード会社の社長から契約の手付金として1万ドルを受け取ったジェイクとエルウッドは会場を抜け出すが、警察が追って来る…。

 監督はジョン・ランディス、脚本はダン・エイクロイド&ジョン・ランディス、製作はロバート・K・ワイズ、製作協力はジョージ・フォルシーJr.&デヴィッド・ソスナ、製作総指揮はバーニー・ブリルスタイン、撮影はスティーヴン・M・カッツ、編集はジョージ・フォルシーJr.、美術はジョン・ロイド、衣装はデボラ・ナドゥールマン、伴奏音楽はエルマー・バーンスタイン。

 出演はジョン・ベルーシ、ダン・エイクロイド、ジェームズ・ブラウン、キャブ・キャロウェイ、レイ・チャールズ、アレサ・フランクリン、スティーヴ・クロッパー、ドナルド・ダン、マーフィー・ダン、ウィリー・ホール、トム・マローン、ルー・マリーニ、マット・マーフィー、アラン・ルービン、キャリー・フィッシャー、ヘンリー・ギブソン、ジョン・キャンディー、キャスリーン・フリーマン他。

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 人気番組『サタデー・ナイト・ライブ』の人気キャラクター、“ブルース・ブラザーズ”を映画化した作品。
 番組で人気が高まり、さらに発売したレコードのヒットがあって(全米ナンバーワンにもなった)、その勢いを受ける形で映画が作られた。

 ちょいデブのジョン・ベルーシとスリムだった頃のダン・エイクロイドが、ホットなソウルでクールに決める。
 2人は黒い帽子にサングラス、黒のネクタイに黒のスーツと、黒で統一した服装だ。このファッションも、かなり重要な要素である。

 ヴォーカルを担当するフロントの2人(ダン・エイクロイドはブルース・ハープも演奏する)はコメディアンだが、バンドのメンバーは、ブッカーT&MG'sのスティーヴ・クロッパーとドナルド・ダンを始めとして、本物の一流ミュージシャンが揃っている。
 なお、劇中に登場するブルース・ブラザーズ・バンドは、第1弾アルバム『ブルースは絆』のパーソネルからサックスのトム・スコットが抜け、キーボードがポール・シェーファーからマーフィー・ダン、ドラムがスティーヴ・ジョーダンからウィリー・ホールに交替している。

 出演者の顔触れが、バラエティに富んでいる。ジェイクの命を狙うキャリー・フィッシャー、刑事のジョン・キャンディー、納税課の係員スティーヴン・スピルバーグ、さらにツイッギー、フランク・オズ、ジョン・ランディス、ポール・ルーベンス(ピーウィー・ハーマン)など。
 ミュージシャンも多く出演している。聖歌隊にチャカ・カーン、ストリート・ミュージシャン役でジョン・リー・フッカー、囚人役で元イーグルスのジョー・ウォルシュ、他に『オン・アンド・オン』などのヒット曲を持つスティーヴン・ビショップ、ブルース・ミュージシャンのパイントップ・パーキンス、ウィリー・スミス、ルーサー・ジョンソン、カルヴィン・ジョーンズ。

 そんなミュージシャンの中でも特筆すべきは、神父役のジェームズ・ブラウン、マット・マーフィー夫人のアレサ・フランクリン、楽器店の主人レイ・チャールズ、ホテルの司会キャブ・キャロウェイの4名だろう。
 彼らは、それぞれパワフルに歌ってくれる。

 ジェームズ・ブラウンは教会で、聖歌隊と共にゴスペルの『オールド・ランドマーク』を歌う。このシーンの盛り上がりっぷりは凄い。
 アレサ・フランクリンは3人のコーラスとサックスのルー・マリーニを従えて、自身のヒット曲『シンク』を歌う。その迫力は見事。

 楽器店では、レイ・チャールズがジェイクとエルウッド、そしてバンドを従え、キーボードを演奏しながら歌う。このシーンの高揚感といったら。
 そしてキャブ・キャロウェイは、代表曲『ミニ・ザ・ムーチャー』を披露する。このシーンの楽しさといったら。

 ブルース・ブラザーズ・バンドの演奏としては、『お前をはなさない』と『ピーター・ガン』、『シー・コート・ザ・ケティ』がBGMに流れる。
 そしてカントリー・クラブで『ギミ・サム・ラヴィン』『ローハイド』『スタンド・バイ・ユアマン』、パレス・ホテルで『エブリバディ・ニード・ムサバディ』『スウィート・ホーム・シカゴ』、刑務所で『監獄ロック』を演奏する。

 この映画、音楽だけでなく、アクションも充実している。序盤から、激しいカーアクションが待っている。バンドのオープニング曲である『お前をはなさない』に乗せて、ジェイクとエルウッドの乗った車が、アーケードにある何軒もの店を壊しまくる。
 続いては、『ピーター・ガン』に乗せて、キャリー・フィッシャーがバズーカ砲でホテルの玄関を破壊。翌朝には、ジェイクとエルウッドの泊まっている部屋が爆破される。だが、ジェイクとエルウッドは慌てず騒がず、あくまでもクールに対応する。これがイイ。

 終盤は、コメディー映画とは思えないぐらいの大アクション。何十台もの車が走るカーチェイス、そしてカークラッシュ。ヘリコプターや戦車まで登場し、数百人の警官隊がビルを取り囲む。
 とにかく、そこらのアクション映画に負けないぐらいに車を潰しまくる。

 これぞエンターテインメント。グルーヴ感に満ちた映画だ。
 歌があり、踊りがあり、笑いがあり、友情があり、人間愛があり、銃撃戦やカーチェイスといったアクションがあり、ダイナマイトなソウルがある。
 キレがあり、ノリがあり、リズムがあり、そしてブルースがある。

(観賞日:2003年9月2日)

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