受験制度をやめよう。そんな社会で使えない子供を産むようなものは


 『学力で学校を分ける必要は、実はそんなにない』

「前回は能力で分けました。なら今回は評価方法について話しあうべきだと思います」
「まぁ、そうだな」
「で、評価はどうするのですか?テストやって順位でも張り出しますか?」
「いやもう、競争って意味がないと思うんだよ。学力も上がらないし、使えない人間しか生まないし。だからテストも受験も止めてしまおうぜ
「どういうことですか?」

「学力で学校を分けて、それに合った教育するのが効率が良いって話だよね」
「まぁそうですね」
「でもそれってさ。教室で先生が黒板で一気にやるからそういう方が良いのであって、前に言った個人がコンピューターで好きに学べる状態にすれば意味がないよね。学力違っててもちゃんと勉強できるだろ」
「あー、確かに」
「他にはさ。受験で何かに向かって努力する態度が、本人を成長させる、だから受験は必要だみたいな話もあるよな」
「そういう物言いもありますね。でもどうせなら役に立つ勉強内容にしろとは思いますけどね」
「まぁその辺りは前回の科目をやってくれって話で今は別の話だな。別に真剣に努力するを身に付けたいなら、他のことでもいいだろうに。それなのに、無理矢理やらせるってのは、将来の勉強する気を奪うだけだと思うんだよね」
「なるほど」
「それとさ。お前は賢いお前はバカって分けることになる方が、より悪い結果になるんだわ」
バカってされた方が、拗ねて勉強しなくなりますしね。賢い側に嫉妬して、いじめたりもする
「逆に賢い側もいじめる場合もある。お前はバカだと除け者にする。教室でやる場合もあれば、将来上司や官僚政治家になって、下の人間を見捨てた取り組みをするようになる」
あいつらろくに勉強してこなかったじゃねぇか。どうしてろくに努力もしてない連中のことを配慮する必要があるんだよ。自業自得じゃないかと
「エリートコースに入れたわけでもない私にとっては、学歴と無能は関係しないと強く言いたいところですがね」
「ん?何かあったのか?」
「私は昔、建設の作業員をやってたんですよ。そこでは私より学歴が低い人とか中卒高卒の人が私よりよっぽど使えて――というか私迷惑かけたよなー。もう土下座したい気分で――」
「あぁそういう愚痴は今回はいいや。次に進めるぜ。まぁそもそも学力で分けた方が良いっていうけどさ、だいたい社会の職場っていろんな学歴の人が集まるんだぜ。その職場にいなくても、対応する客とか他の会社も違う学歴の人がいるんだぜ。彼らとどんなこと考えているか、どんな会話すべきかを学ぶ機会を奪うってどうなのよって話さ」
「しかし、学歴が低い人が集まると、乱暴者がいていじめが起きるのでは?という懸念があるけど。もしかしてそういうのに耐えろとかいうつもり?」
「そんなことはないな。そもそもいじめって学歴が低いことが根本の原因じゃないから高校くらいまでは分けなくていい」
「それはどういう……」
「それはまだ早い。いじめは今度まとめて話す予定だから、今回は気にしなくていい」
「わかりました」

 『皆ができるように教えるは、理想ではない』

「まぁつまり格差ができるってわけだ。競争をすると。勉強だけでなく将来の収入格差にもなってくるな、これは」
「でも、エリート育てるには良いのでは?下は下でもそれなりに仕事分けられているわけですし」
「まぁ僅かなエリートで経済成長できた時代はそれでもいいんだけどね。でもAI時代には、皆が賢くなきゃいけないんだな。それぞれが自分でそれなりに考えられるようにならなきゃ全体が成長なんてし得ない。だから従来の教育の考え方を変える必要がある
「それって何ですか?」
教えてもできないのが悪いって考え方。これを、皆ができないのは教える側が悪いって形にする
「……理想ですけど、そんなのできるんですか?」
「実は簡単なんだよな」
「えっ」
「黒板で前に書いて教えるスタイル。これだとこれについていけないのが悪いって形になる」
「逆に進みすぎても悪いって形になりますね」
「そういうこと。だからできない相手やできる相手は、教室以外の場所へ、自腹で塾に行けって話になる」
「できる相手ならともかく、できない相手って家庭が貧しい場合が多いですしね。家庭の貧しさが学力影響しますし。教育に興味がない家庭や子供を否定している家庭も多いです。その状況で果たして塾なんて行けるんですかね?」
「そういうことだな。でもこれを、一人一人課題やって進捗を見て教師が個別に教えていく個別指導とか、コンピューターで最高の授業を自由な速度で見ていく授業にしたらどうだ」
「皆ができることを目指せるように、できる人は伸ばせるようにもなりますね!」
「そういうことだな。個別指導でダメなら補充の授業、補充の授業でダメなら短期集中の講義をやらせる。それでもダメなら留年とかになってくるけど、それでも皆のできないをなくそうって気持ちは伝わってくるだろ」
「はい。これはいけますね」

 『入試システムが使えない人間を作る理由』

「あぁでも結局受験やテストの順位あるから、競争からは抜け出せないのでは?」
「最初も言ったけど、それもなくすべきだと思ってるんだよね俺は。あれは使えない人間しか生まないから」
「んーどうして使えない人間しか生まないって断言できるんですか?」
「お前は社会の仕事って同じものばかりだと思う?」
「違うのがたくさんありますね」
「なら違う力が必要だよな」
「まぁそうですね」
「ところで違いってどうやって生まれると思う」
「違う勉強や活動をすることかと思います」
「じゃあ、それをやる時間や流れってさ、社会人の前の子供時代にあると思う?」
「んー。自分を振り返ると中学は高校の受験勉強で国数理社英。高校は大学の受験勉強で文系なら国社英。大学は1年や2年は大した専門なく、就活の為に4年は勉強できずで、結局学校で違いを産む勉強を大してできてませんね。それじゃあ使えない人間が育つも無理はないですね
「じゃあ、入る勉強で違う科目やればいいんじゃね」
「うーん。それは無理かと。受験はテストの結果で分けると科目は同じにしざるを得ないですね。そうじゃないと複数の学校受験できなくなりますし
「つまり、入口で評価する形って使えない人間しか生まないってことだよな」
「ですね。有名大学出たら使えるとも限らないのに得たり、下から出た有能が名前だけで切られることもなくなる。前者は入ったら勉強せずに怠け、後者は不貞腐れ勉強しなくなる可能性が出てきます
「その通りだ」
「大学自身の評価も、卒業する方が難しい方が個々の大学が責任を取りやすくなりますしね。この能力に満たない人は卒業させてませんので、卒業した人は雇っても大丈夫ですと言えるわけですから。それが大学自体のブランドを上げることにもなり、地方大学でも有名大学に太刀打ちできる
「そうだな」
「うーん。入るは簡単だが卒業は難しいですか。そんな大学に変えられますかね」
「卒業する方が難しいとか海外じゃ普通だぞ。モデルは幾らでもあるんだ。それを真似できないなんてありえないだろ」
「確かに」
「小中では基本的な能力の成績で評価で高校に行ける。高校も基本的な能力と、大学でやるような自主的な取り組みの半々くらいの成績で大学に行ける。大学ではじっくり勉強と研究の成績で就職先が決まる。これで違う勉強や活動をして多様な能力になったから、社会で使えるようになるだろ。これを目指していこうぜ」
「成績は前に言ってた、普通の能力を狙う赤点制度ではなく、他の優れた能力で赤点補完ができるってやつでいいですか?」
「他にもあるんだよな。まぁ次に話すけどね。何か疑問とかある?」

 『相対評価をやめよう。教師評価だけもやめよう』

「んーでも、成績で行く先決まるのは受験みたいな競争を生み出しませんが、それでも成績での競争は産みますよね。クラスや他の学校と比較しなくちゃいけないんですよね。それは競争になるのでは?」
「ん?まぁその場合だとおそらく、教師に媚びる競争も始まるだろうな。学問的正しさより、教師が望む答えに合うように生徒が動くようになる。そしてその態度はそのまま、上司の言いなりになって会社潰す人間になるんだろうな
「んー。どうすればいいんですか?」
「自己評価を踏まえた、教師評価にすべきだろうな」
「どういうことですか?」
自分で自分の学習目標やカリキュラムを立てる。それが実現できたか自己評価をする。教師は他の生徒と比較せず、その生徒が自分の目標を達成したかで評価する
「自分で学習目標やカリキュラムを立てて、それを評価するんですか?」
「だってさ。社会人ってそういうものだろ。自分に何が不足か考えて、それを得る方法を考え、その取り組みを行い、その能力を得ていく。与えられるものでは受け身で成長しにくいから、自主的な勉強で成長するもんだろ」
「確かに。ならその習慣を早いうちに得られるのは良いですね
「そうだな。それに教師の努力も含まれることで、生徒の成績も上がるしな」
「ん?」
「仮に今までだったら、クラスの平均点とかで評価されてただろ。その場合、頑張ってできない生徒を上げたところで、全体からすれば僅かなものだから、よっぽど全体を上げないと評価されなかったと思う。できない生徒をできるようにさせるになるまで頑張る、そういった教師の頑張りのモチベーションが持たなくて、成績が上がりにくかったと思う。それなら、できない生徒を当日休ませたる方が簡単だしな。だけどどれくさい生徒が伸びたかで考えるなら、一人上げたら評価に反映される。反映されたらやる気になり、他の生徒も教えるの頑張ろうとなっていく。そして成績が上がっていくということだ」
「なるほど」

「しかしさすがに、高校から大学、大学から就職になったら競争で選ばざるを得なくなりますね」
「それでも、自分のしてきた研究ややりたい分野で競争が分散されるし、得意な能力でも競争でも分散されて選びやすいようになる。有名大学や大企業だから選ぶことによる安易な競争も減る。企業側にも利点はあるぜ。大勢の募集者の中から本当に自分の会社への興味も力もあるかもわからない相手から選ぶという困難な仕事も減り、結局能力なかったから辞めたり辞めさせるミスマッチも減る。これだけでも多くの不幸を減らすことができるんじゃねぇのか?


「というわけで、評価方法を変えて無意味な競争をなくす案はどうでしたでしょうか?」
「疑問や反論があるならくれよな。教育を良くする為に、不幸な子供をこれ以上生み出さない為にも、脱落する人のない楽しい社会を作る為にも、どんどん議論と実践をしていこうぜ。ちなみに次回はいよいよいじめ問題について話すつもりだ」

追伸:なお今回は尾木ママの『取り残される日本の教育 わが子のために親が知っておくべきこと』を大いに参考させていただきました。良い本でしたので読むことをおススメします。


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